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第10話 個人戦の開始

今日は日曜日でレイラとの特訓中。個人戦の訓練をつけてもらっているんだ。

少しずつレイラとの特訓が身になってきたとは思っているんだけど、実際はまだまだなんだよなぁ。


「明日から個人戦始まるよな。どうだ?いけそうか?」


話ながらにもかかわらず事も無げに模造剣を振るレイラ。


―――よっ、とっ、せいっ!?


僕はおっかなびっくりと言った様子で、懸命にレイラの剣を盾で受け、弾き、メイスで躱す。えっと、レイラはなんて言ったんだっけ?個人戦?

ああ、後期の成績判定の一つである個人戦が来週から始まるんだ。毎週月曜日は個人戦の授業の日で午前中は今までどおり先生の元で鍛錬。午後は同じクラス内の誰か一人と戦って勝ったら3点、負けたら0点。勝敗に関わらず、内容によって最大2点が加点される。それが10週続くので、合計10戦で最大50点の配点だ。


「うーん、最初は必ず上位と下位がぶつかるようになってるからねぇ。28位で下から3番目の僕は、必然的に3位のクサナギさんと当たる事になるね。彼女の得意武器は弓だから、近接武器じゃないのはまだ近接戦闘に慣れてない僕には救いな気がするけど、正直勝てる気は全くしないなぁ。」


「彼女は弓術士だったか?個人戦では僧侶以上に不利な職な気がするけど、それでもダメか?」


「うーん、ダンジョン探索とかで何度か一緒になったことあるけど、彼女は常に冷静で視野が広いんだよねぇ。個人戦の初戦だからといっても全く緊張しなさそうなんだよね、僕と違って。」


「それは…こうやって少しでも頑張るしかないな。それっ!」


ひたすら攻撃するレイラと守る僕。レイラは手を抜いて僕を指導するように戦ってくれているにも関わらず、僕は防戦一方で反撃が全くできていない。


「アキラ、棒立ちで受けない!もっと足を使って動くんだ。止まってるまとはとても攻撃しやすいぞ!」


「違う!そこは雑に盾で受けずに、上手く受け流して反撃する隙を作れ!」


レイラさんや、そうはいうけど結構それ難しくない?でもやらなきゃかぁ。とほー。


「私は来年絶対にAクラスになる。その時にアキラがAクラスじゃないとか許さないからな。」


「…善処します。」




翌月曜日。

午前中はいつも通り戦闘教官の元で、様々な武器を使った戦い方のレクチャーを受けた。そして午後は個人戦だ。この模擬戦は演習場で行われる。教官が話をしている。


「わかっていると思うが、今日から個人戦が始まる。場所はここ演習場だが、魔法結界によって怪我は負わない仕様だから、安心して全力を出すように。それと負けても内容によっては配点があるからハナから無理だと思われる相手でも全力を尽くせよ。よし、一番から対戦開始だ。始めろ!」


仕組みはよくわからないが、ここでの戦闘では怪我などが残らないらしい。かといって痛くないわけではないのだが…。


1位のクミコと30位のモブ太君との戦いが始まる。

制限時間は10分。10分で勝負が付かなかったら両者引き分け1点ずつだ。

って言ってるうちに終わった。


うーん、クミコ強いな。ん?演習場内から出る時にちらっとこっちを見たような…自意識過剰だったかも。気のせいだね。

次は2位のタクヤ君とモブ次郎君だ。対戦者じゃない場合はこうやって外から見学ができるんだけど…あ、もう終わった。強過ぎて参考にならないね。まぁ、一つ言えることはこういう上位と下位の対戦は実力差があり過ぎて下剋上どころか瞬殺で終わるってことだ。ん、次は僕の番だな。


「クサナギさん、よろしくね。」


「ああ。いい勝負にしよう。」


クサナギさんと握手をして離れ、両者ともに開始線に立ち開始の合図を待つ。


―――ブーッ!


開始のブザーで試合が始まる。僕はまずその場で軽く左右にステップした。うん、緊張してるかと思ったけど、ちゃんと動けてるな。よし…


―――ヒュンッ、カンッ!


うわっ、いきなり撃ってきた。なんとか盾で防げたけど、


―――ヒュンッヒュンッ、カンッ!グサッ!


その次の二発同時の射撃は片方しか防げず、足をやられてしまい僕は動きが完全に止まってしまった。そこを更に容赦なく矢の雨が降ってくる。弓術士相手に動けないのは致命的なので頑張って回復魔法で足を治すけど、相手は僕のそんな隙を見逃してはくれず、結果的に僕は為す術もなく…気付いたら演習場の外で倒れていた。致死ダメージをもらったために、敗北扱いで演習場の外に出されたのだ。


「ぎゃはははは。アイツ、何がしたかったんだ?弓術士相手に開始直後から距離を詰めないとか馬鹿じゃねえか、やる気あんのか?」


テルキナは取り巻きの連中と一緒に大笑いをしていた。その近くで観戦していたタクヤもそれには反論できずに苦笑いと言ったところだ。クミコ…と目が合うと露骨にため息をされて視線を背けられた。


演習場から出てきたクサナギさんに手を差し伸べられたので、その手を取るとそのまま起こしてくれた。そんな僕にクサナギさんもちょっと苦笑いだ。もう少し僕が出来ると思ってくれていたのかもしれない。


悔しい。

何もできなかったし、彼らの言葉に何も反論出来ない。僕は戦闘技術を磨くのももちろんだけど、もっと戦闘方法も学ばないといけない。

もっともっと頑張るしかない。


もちろん僕に加点は無かった。

[個人戦1/10終了:0点]

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