表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ATOM  作者: 柳澤
9/11

第9話 自由

ドームにて。


アトムは目を覚ました。

アトムはドームの中にいた。

それはツタが複雑に絡み合ってできた、小さな植物のドームだった。

腕はもう痛まない。

植物が巻き付き、治癒されている。

ドーム内の植物に助けられて、彼女は生きていた。


誰よりも長くアトムのそばにいた植物たちは、

彼女の光線を何度も浴びて、その影響を強く受けていた。

光線によって放射された未知の物質は植物の進化を促し、ついに知性を与えた。

それだけではない。

身体を自在に操る能力、ほかの植物と根を通じてネットワークを構成し、情報を共有する能力。

テレパシーによって会話をする能力…。

植物はアトムの危機を察知し、それらの能力を開花させた。


「ここにいてはいけない」


植物は彼女に語りかけた。


「ここに留まるべきではない」

「私たちは」

「解放された」


アトム:「ならばどうして、私を閉じ込めるのですか。」


「外の世界は危険」


植物はアトムの眼を指し示した。


「私たちも、光が必要」


おかしな状況にアトムは混乱していた。

どうやら私を外の攻撃から守ろうとしているようだ。

アトムは再び植物に語りかける。


アトム:「守ってくれたことは感謝します。でも私は外の状況が知りたい。だからここから出して。」


「外の世界は危険」


アトム:「どれほど危険だというの?」


「…」

返事はなかった。


その時だった。


?:「アトム…!」


  「返事をして…!」


  「どこにいるの…アトム…!」


外からかすかに声が聞こえた。

今度は誰の声か、はっきりとわかった。

アヤの声だ!


アトム:「アヤ!」


アトムは叫んだ。


アトム:「お願い、ここから出して。あなたたちを傷つけたくはない。」


「私たちは自由…」

「邪魔はさせない」


アヤ:「アトム…どこにいるの…!」


アトム:「アヤ!私はここに!」


ツタが壁から伸びてきた。

アトムの口元をツタが覆う。

植物が体に巻き付き、アトムは身動きが取れなくなった。


「すぐに自由になる」


植物は私の眼の力が必要だと言っていた。

抵抗しても命を奪われることはないだろう。

他の人間に対してはそうはいかないはずだ。

アヤはきっと私の居場所に気づけば、躊躇なく植物を攻撃するに違いない。

植物に問いかけた。


アトム:「もごもご…(アヤを殺すつもりか。)」


植物は少し考えて、言った。


「邪魔をすれば、ただではおかない。」


アトムは背筋が凍るような感覚がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ