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ATOM  作者: 柳澤
3/11

第3話 ここにいて

ドームにて。


「ここにいてはいけない。」


壁が閉まる直前、謎の声が聞こえた。


アトムはその場で数分の間待ってみたが、

あれからメッセージが届くことはなかった。

小型イヤホンからも声は聞こえない。

壁の向こうで何か起こったようだ。

意を決してもう一度ボタンを押した。


カチ。


カチ。


壁が開かない。


どうやら向こう側で電源が途絶えたらしい。


「アトムです。誰かいますか。」


イヤホンに話しかけても応答がない。

一度家に戻ろうか。

避難の準備をしておくべきだろうか。

振り返り来た道を引き返そうとした、

その時だった。



ドーーーン!

大きな音が天井から鳴り響いた。

ドーム内で反響し、揺れが起こる。


思わずアトムは耳をふさぎ、座り込んだ。


ドーーーン

今度はドームの側面から、先ほどに比べて幾分小さい音が鳴った。


アトムはその場で動けなくなった。


ドーーーン!


何者かがドームを破壊しようとしているに違いない。

ドームの出入り口は数か所あるが、どれも壁と一体化して厳重に閉鎖されている。

ドーム内の電源が切れた今、アトムに開ける手立てはなかった。


天井の埃が雪のように降ってくる。

枝葉がざわざわと音を立てる。


選択肢は2つあった。

ドームの中で安全な場所を探し助けを待つこと、あるいは

ドームの外に自力で脱出することだ。


ドームの外へ出るのは困難を極めるだろう。

それに外の方が危険な状況かもしれなかった。


「ここにいてはいけない。」


それでも唯一のメッセージが気がかりだ。




アトムは外に脱出することを選んだ。

誰が最後のメッセージを残したのか。

何がドームを破壊しようとしているのか。

ここにいてはそれを知る前にすべて終わってしまう予感がした。


まずは扉を一か所ずつ確認するべきか。

食料を持ち出すのはそれからでも間に合うだろうか。

時は一刻を争った。


20xx年3月10日、朝の7時過ぎ、外の天気は不明だが、今日ほど荒れた日はない。

数か月後、数年後になるまで、事件の真相は明かされないものだ。

あの時もそうだった。


アトムは立ち上がる。

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