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ダンジョン一階層-②


戦闘描写だけで一話使いました。

テンポ遅いですかね?読み辛かったらすみません。

 







 奥に進むほどダンジョンは難易度が上がる。

 スキルによる索敵を行えば強い敵性反応が幾つも見つかるし、段々と罠の数も増えて効果も解除方法もえげつなくなってくる。

 宝箱は見つけたらまず鑑定。ミミックや罠が無ければ即確保。有用な装備はすぐに活用する。



 そうして魔物を倒しながら進んでいくと、途中で大きな広間があった。

 そこは湧き部屋とでも言うのか、大量の魔物が密集する場所なのは以前調査に来た時に判明している。

 例に漏れず、今回も魔物の群れが俺たちを待ち構えていた。




「ゴブリンジェネラルが二匹、ゴブリンセイジが三匹、ゴブリンコマンダーが一匹か。ボス前の予行練習に丁度良さそうだな」

「ナイト五匹。プリースト三匹。ソルジャー十二匹。メイジ八匹。上位種勢揃いで、あとは雑魚多数って感じかな。やっぱりこの大広間は危険だし、みんなには入らないように改めて伝えないとね」

「手応えありそうなやつがたくさん居やがるなぁ!ジェネラルは一匹俺がもらうぜ!」




 父さんの言うように、ボスの前に戦う相手としては相応しい。

 実際にはもっと数が多いし、その分だけ統率スキルによる強化が重複すると考えれば厳しい戦いになるだろう。

 大体は俺の魔法で消し飛ぶとは思うが、討ち漏らしには気を付けないとな。




「無駄に時間掛けても仕方ないし、雑魚は一掃するよっ!────トルネード!!」




 風属性の中位魔法トルネード。魔物だらけの大広間を巨大な風の渦が蹂躙していく。

 広範囲を攻撃できる魔法であり、範囲指定も可能なので非常に使い勝手が良く大群相手の使用頻度は高い。

 トルネードに巻き上げられ、渦の中で衝突を繰り返してすり潰され、最後には地面に叩きつけられる。



 残った魔物はゴブリンジェネラル、ゴブリンセイジ、ゴブリンコマンダーが無傷。

 他にもゴブリンナイトが二匹、ゴブリンプリーストが一匹、ゴブリンソルジャーが五匹、ゴブリンメイジが四匹といったところで、ちらほらと運良く範囲外だった雑魚が少々。

 我ながら完璧な魔法コントロールである。本番はゴブリンキング含めて全員巻き込むつもりなので、もっと死屍累々になることだろう。



「リアムっ、ナイスだ!俺とアベルで斬り込むぞ!」

「おう!魔法使うやつは任せたぜ!」

「はいはい、行ってらっしゃい。アースバレット!ウィンドカッター!」




 強敵に向かって駆け出す二人を援護するため、威力が低い代わりに連発可能な低位魔法で邪魔する雑魚を仕留めて、セイジとプリーストとメイジを牽制。

 討ち漏らしの雑魚を片付ければ、本格的な戦闘に入る。




「威圧!挑発!大喝っ!うおおぉおおおっっーー!!!!!俺が相手だゴブリンの糞共ォっ!!」

「ハッハァー!どうしたどうしたっ、騎士様の誇りに賭けて止めてみやがれ!」




 俺がゴブリン種の魔法使いたちと魔法の撃ち合いをしている間にも、父さんとアベル兄さんはガンガン前に出ている。

 アクティブスキルによって怯ませ、注意を集め、最後に広間に響き渡る大声によって硬直させる。邪魔になる雑魚を蹴散らして、ゴブリンソルジャーを盾の上から一撃で斬り殺す。

 走っている最中に拾った石を投擲して吹き飛ばし、棒で手足を砕いて胴体を抉り、投げ飛ばしたゴブリンナイトの頭部を踏み潰す。



 重複したスキルによって強化されているにも関わらず、父さんとアベル兄さんは鎧袖一触で無双状態だった。

 あっという間に取り巻きを片付けてゴブリンジェネラルとの戦闘に移っていく。



 俺も敢えてプリーストだけを残して他を片付ける。

 メイジを火属性中位魔法のファイアランスで焼き殺し、セイジを防御魔法ごと風属性中位魔法のウィンドハンマーで叩き潰した。

 序でに余っていたゴブリンコマンダーを雷属性低位魔法のサンダーボルトで消し炭にする。低位とはいえ稀少魔法ならば話は違う。基本属性の中位魔法にも引けを取らない威力だ。

 俺の仕事はここまで、なんてこともない。まだ付与魔法がある。




「マッスルオーラ。ハードスキン。クイックステップ。ダブルセンス」




 それぞれ筋力強化、耐久強化、敏捷強化、器用強化の低位魔法を掛けて二人を援護する。

 まだ未熟なので強化倍率は一割程度が限界だが、元々優勢だった戦況に於いては決定的な要因となる。




「これで終わりだ!強撃ッ!!」

「ガァっ!?」




 父さんとゴブリンジェネラルの戦いは、攻撃系のアクティブスキルによって終結した。

 前衛タイプの冒険者なら大体持っていると言われる強撃を使用すると、剣身を赤く染まった魔力が覆って、凄まじい力が剣に満ちる。

 それを上段から一直線に振り下ろせば、必死に防ごうとしたゴブリンジェネラルの大盾諸共に両断してしまう。

 鉄の盾も鉄の鎧も関係なく、まるで紙細工のように潰し斬る絶大な破壊力は流石ダンジョン踏破の際にしか得られない類のスキルだと改めて思い知らされた。




「おおっ、力が溢れてくる!それじゃあ、二人を待たせてることだし、ここらで終いとしようぜ!」




 父さんから少し遅れて、付与魔法の恩恵を受けたアベル兄さんも締めに掛かる。

 棒を巧みに扱い盾を絡め取って引き剥がし、足の甲に先端を打ち下ろして機動力を奪い、足に引っ掛けて引き摺り倒したところに全体重を乗せた一撃で頭を潰す。

 即座に飛び退いて残心。威勢の良い言葉に騙されがちだが、実際には常に冷静で無駄のない立ち回りを好んでいるのだ。



 アベル兄さんの強みは不断の努力によって培った剣術、棒術、体術を組み合わせて昇華させた独自の戦闘術だ。

 やろうと思えば盾を使ったタンクもできるという、ある種の万能性にあると言っていいだろう。

 これはつまり相手によって戦い方を選べるということでもあり、結果としてゴブリンジェネラルは手も足も出なかった。




「よくやった!二人とも、完璧だ!」

「へへっ、リアムの的確な援護のお陰だな!流石は俺の弟だぜ!」

「この調子でボスも倒そう!」




 あの大群相手に傷一つなく快勝。

 戦法は同じでいくつもりだし、俺はもちろん二人も手応えを感じているらしい。

 今回は風魔法だったが、土魔法ならもっと強力な魔法を使用することもできる。ボス戦ではそっちを使うことになるだろう。




「あっ、宝箱だ。しかも二つも!」

「これは運が向いてきたな!両方ともリアムが開けていいぞ。その方が良い物が手に入るからな!」




 ということなので、魔物部屋を攻略したことに対する報酬なのか、部屋の中心に宝箱が落ちている。

 あり得ないけど念のため鑑定をするが、もちろんミミックでもないし、罠も掛かってはいない。報酬で出てくる宝箱にそういう無粋な物は付いていないのだ。

 幸運の能力値が高いほど宝箱の中身もレアになりやすいとのことで、最近は専ら宝箱係と化しているので特に感慨もなく中身を確認する。






【名称】マギトレントの魔杖

【分類】杖/武器/魔道具

【属性】無属性

【特記】Bランク。通常のマギトレントの杖が何者かの手によって魔道具に加工されている。所持者の魔力を使って魔弾を撃ち、障壁を張ることができる。

【ステータス】

 魔力+50

【スキル】

 魔弾+5




【名称】怪力の腕輪

【分類】腕輪/アクセサリー

【属性】無属性

【特記】Cランク。一時的に筋力を増やす。

【ステータス】

 筋力+50

【スキル】

 なし






 どちらも当たりの部類だ。幸運様々である。

 魔杖も腕輪も誰に持たせても意味があるというのは本当に助かる。揉める必要がないからな。

 特にアクティブスキルの魔力弾が付与された魔杖は誰が持っても効果的だろう。少し嵩張るが遠距離攻撃の手段はあって困るものではない。



 まあ、結局は魔杖を最も有効活用できる俺が持つことになり、腕輪は既に父は持っているためアベル兄さんが付けることになった。

 早速トレントの杖と入れ替えて、隣ではアベル兄さんも腕輪を装備している。

 ボスと戦う前に思わぬパワーアップイベントが挟まった。いよいよ俺たちに運が上向いて来ているのだろうか。



 何はともあれ、大広間に散らばった魔石とドロップアイテムを集めなくてはならない。

 俺たちは戦果を喜ぶのもそこそこに、黙々と作業を始めるのであった。









・魔法について


基本四属性には原則優劣は存在しない。属性ごとに相性はある。

攻撃的な魔法の多い火魔法が強いイメージはあるが、目視し難い風魔法や地味扱いされて警戒の薄い土魔法は玄人向け。水魔法は意外と殺意が高い。


稀少属性は制御が難しい代わりに、基本四属性とは一線を画す威力、効果、規模がある。

同じ実力同士で火魔法と雷魔法を撃ち合えば、余程のことがない限りは雷魔法があっさりと火魔法を食い破る結果になる。

ただ付与魔法や召喚魔法みたいな特殊な属性もあるので、一概には言えない。


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