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報告と方針


今回ほとんど話は進みません。

次回からダンジョン編が始まっていきますので、もう少しお待ちください。

 







「勝手に先走ってごめんなさい……」




 ダンジョンを脱出して山を下る最中、父さんやアベル兄さんを初めとした腕っ節集団にばったり遭遇して、あっという間に確保された。

 調査内容について報告する間もなく怪我の有無を確認されたあと、村に連行されて説教の嵐を受けたのだ。




「しつこいかもしれんが、リアムお前はまだ子供なんだ。危険度の分からないダンジョンに一人で調査に入るなんて、経験の少ないお前のすることじゃない。最悪死んでいたかもしれないんだぞ」

「親父はこう言ってるけど、俺たちは本当に心配したんだ。もう少し頼ってくれてもいいんじゃないか?」

「リアム……貴方が強いのは知ってる。でも、まだ八歳なのよ?お願いだから無理はしないで……」




 もう一時間以上はそんな調子で叱られていた。

 それだけ心配を掛けてしまったのだと思えば申し訳ない限りだ。強くなって慢心していたのかもしれない。

 何度も頭を下げて、父さんたちと一緒に迎えてきてくれた人たちにも改めて感謝と謝罪を伝えてから、今回こうなった原因についての話に切り替わった。




「まあまあ、一旦そこまでにしてくれ。積もる話は後でな。今ダンジョンの内部に入ったのはリアム、お前だけだ。詳しい説明を頼む」

「はい、村長。普段と変わらず山で狩りをしている最中のことでした。不自然な魔力の動きを感知して────」




 村長のダンに促されて報告を始める。

 十日前に狩りをした時にはスキルに反応はなかったので恐らくその後に発生したこと。

 鑑定で確認できた情報からまだ完全に生成されておらず、Bランクのダンジョンになる可能性があり、90時間後くらいに完成する予定らしいということ。

 一階層はかなり広い造りになっていて魔物はゴブリン種しか出てこなかったが、既にDランクのゴブリンコマンダーが率いる部隊とは交戦しており、更に上位のゴブリンジェネラルなどが居るかもしれないこと。

 最終的にダンジョンは五階層になるということを順序立てて伝えた。




「……うぅむ。話に聞く限りだと、高難易度ダンジョンの特徴があるな。階層完結型だったか?」




 俺の話を聞いて難しそうに唸った父さんがそう言った。

 詳しく話を聞くと、一階層ごとに同一種族の魔物だけしか出現せず、次の階層に進むにはボス部屋に居るボスの魔物を倒さないと先に行けない。

 他にも色々な特徴の高難易度ダンジョンはあるらしいけど、その中でも結構危険な部類なのだとか。




「罠だらけのダンジョンよりはマシだけどな」

「狩人の使う仕掛け罠なら分かるけど、魔法罠なんて実物を見たこともないから気をつけないと」




 曰く、宝箱がたくさんある代わりに罠も馬鹿みたいに多いダンジョンに入ったことがあるらしい。

 かなり意地が悪いダンジョンだったそうで、罠を避けた先を狙った罠や解除した罠に重ねて巧妙に隠された罠など、散々な目に遭わされたと死んだ目で語っている。

 まあ、そういうことなら今回見つけたようなタイプのダンジョンで良かった、のかな?




「しかし、そうなると一階層のボスと言えば、やはり?」

「ああ、村長の考える通りだろうな。まず間違いなくゴブリンキングだろう」

「ゴブリンキング……Cランク魔物か。腕が鳴るぜ!」




 深刻そうな顔で話している村長と父さんを他所に、アベル兄さんはやる気満々の様子でシャドーボクシングみたいな動きをしている。

 不謹慎かもしれないが、俺もこのチャンスを逃す手はないと思っていた。

 二年後、十歳になったら俺は村を出て冒険者の養成学校に入学して、卒業後にはそのまま冒険者として世界を旅するつもりなのだ。



 冒険者学校なんて行かずにさっさと冒険者になれば良いと思うかもしれないが、そもそも冒険者になるには十二歳以上でなければならない。

 更に言えば、初めはGランク冒険者としてスタートすることになる。依頼はモノによっては子供のお使いと変わらないし、当然ながら報酬も依頼の難しさに比例して高くも安くもなる。魔物の討伐依頼なんてさせてもらえない。

 それに対して冒険者学校を卒業した場合は最低でもDランク冒険者から登録することができる上に、実力を認められるとCランク冒険者から始めることも可能なのだとか。



 ただし、そのためには実力を示さなければならない。

 既にDランク冒険者に相当する強さはあると言われているが、それは対人での戦闘能力だけだ。

 魔物相手の戦闘経験は少ないし、他にもダンジョンでの立ち回りとか、護衛依頼での動き方やら野営の仕方など知識はあっても未経験では難しいだろう。

 大体は冒険者学校で経験できるらしいから、それなら魔物との戦闘経験だけでも習熟していれば多少は勉強が楽になる。

 何よりも訓練だけではほぼ上がらないレベルを上げやすくなるのは大きなメリットだ。



 積極的に山に出るGランク魔物、例えばクレイジーモンキーにクレイジーボア、クレイジーウルフなんかを倒しては居るけど、アベル兄さんと比べても倍近い差がある。

 レベルを上げることで得られるステータス上昇と日々の鍛錬で得られるステータス上昇とでは全く別物だ。

 基礎となるステータスはかなり高いと自負しているし、ここから本格的にレベルを上げていければ将来的にAランク冒険者にもなれるかもしれない。

 ついでに言えば村に残る家族も強くなるから旅に出た後の心配をする必要もなくなるし、考えるほど良いこと尽くしだな。




「父上。提案があります。発言しても?」

「なんだノクス。言ってみなさい」




 そう言って手を挙げたノクス兄さんの発言を父さんが促す。

 多分父さんもノクス兄さんが言おうとしていることは分かっている……というより、これみんなも考えてることは同じだったっぽいな。

 敢えてノクス兄さんが言う形にしてるのは将来を見据えての布石だろうか。実績作りというやつだ。




「村で最高の戦力は父上です。次いで兄上とリアムになります。この三人を主軸として他に二、三人ほど選抜して、そのメンバーでダンジョンの本格的な調査、及び可能ならば攻略をしては如何でしょうか」

「なるほど。悪くないな。村長はどう思う?」

「ならこうしよう。マルスとアベルとリアムは固定メンバーにして、他の人員を希望者から都度入れ替えよう。村全体の強化になるし、視点が変われば見えるものも変わる」

「決まりですね。もちろん私も可能な範囲でお手伝いさせて頂きますよ」




 次期村長と目されるノクス兄さんが提案して、発言力の強い父さんが肯定して、村長が方針を決定する。

 牧師様は正式には村の住民ではないが、協力を申し出てくれた。恐らくはダンジョンに入る組ではなく、村の守りを固めてもらうことになるだろう。

 追加の人員は有事の際に魔物や盗賊と戦う人間。つまり、猟師の一家や自警団の人たちが対象になる。希望者がいればその限りではないが、基本的にはその辺りから選抜することになる。




「決まりだな。最初のメンバーはノクスは確定だが、他はどうする?」

「母上はマルクとゼシカを見ていないといけませんからね。取り敢えずは猟師たちと自警団から一人ずつが無難かと思います」

「そうだな。まずはそれで試してみよう。だが、報告を受けて問題なければ中心となる三人には攻略を第一に考えてもらい、調査は他の人員に任せることにする。危険はあるが、力を合わせて村のために頼んだぞ」




 最後に村長がそう告げて、その場は解散となった。

 準備もあるのでダンジョン突入は四日後として、それまでは選抜されたメンバーも含めて色々と決める必要があるだろう。

 ダンジョン内での役割分担や連携の確認など、やらなければいけないことはたくさんある。

 こう言ってはなんだけど、今から少し楽しみだ。









ゴブリンファイターの仮ステータスです。


【名前】なし

【種族】ゴブリンファイター

【性別】♂

【年齢】0歳

【状態】健康・悪臭

【ステータス】

 レベル:3

 HP:80/80

 MP:20/20

 筋力:45

 耐久:40

 敏捷:35

 器用:30

 魔力:10

 抵抗:15

 幸運:1

【スキル】

 身体強化Lv1

 剣術Lv3(または棒術Lv3) 投擲Lv2

【称号】

 なし


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