「私の、『日記』。」
「ーーそうなんだよ、きっとそうなんだよ。
信じてるでしょ?どうせあんたも。」
どうだろう、こんな小説の書き出しは。どんな小説だと想像させるだろうか。青春がいっぱい詰まった、一面ガラス張りのような作品に見えるだろうか。そうだろうか。
いいや、こんな文章なんて、私の身が持たない。どうやら私はありきたりな青春群像文学作品に慣れ親しんだせいで、ありきたりな言葉をありきたりに羅列することしかできないようだ。
私は、中学生だ。小説家、みたいなもの、になってみたい。だから、試しに、ただただ、起こったことを、フィクションにしながら書いていく。
矛盾だらけなはずだ。私の独りよがりだ。面白くもない。そもそも中学生だと前もって言っておけば許されるのかと言えば、そうではない。舐めてかかってはいけない。
私の思想、私の生き方を全部、あなたに押し込みたい。
これは、私の試作品第一号、「日記」である。
プロローグを書き終えている。スマホで打って、推敲もクソもない、稚拙な文字たちが並んでいるのを見る。
まあ、いいんじゃないか。
じゃあ、もう二月だし。うっすら残っている四月からの記憶を呼び起こしておこう。頑張って伏線なんかも入れてみよう。