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「空を吸い込みました。」


「空を吸い込むことにしたんだ。

逃げ出すことに慣れてしまっていたから。

自分だけだと荒んでいたから。

そんな僕と別れを告げたいんだ。」


そう言った時、君は泣きそうな顔をしていたね

「明日に向けて泣かない。」と君から決めた筈なのに

僕もつられて哀しくなりそうになった

てかなんで悲しむんねん


それでも僕はやめないよ

この空いっぱい、何もかもを吸い込んで

僕は、"勝利"する

だから、君は泣かなくてもいい

これからは悲しみのではなく

喜びの涙を流すのだから


―――そして僕は、吸い込んだ


空をいっぱい吸い込んだ

大切な人が近くにいることも気にせずに

空をいっぱい吸い込みました

空に何があるかも関係ない

どんな色なのかも関係ない

雲も、飛行機も、お星さまも

机の落書きとかでありそうな雑な生命体も

空にあるものは何もかも吸い込みました


そして僕は、吸い込みきった


その結果、僕には何が残ったのだろう


僕が空を吸い込みきったせいで

頭上には何も残っていない

一切の星も雲も、空を翔んでいた形をもつもの何もかも

すべてがいなくなってしまった

それらは今、すべて僕の体内にある

そしておそらく、胃の中にある

何か巨大なものが消化されていくのを感じているから


その結果、僕には何が残ったのだろう


僕の人間離れした吸引力のために

君はあからさまにひいていた

その目は間違いなく人間に対して向けるものではなく

何かこう、見たことない化物に対する目線だった

君は今、僕から遠く離れている

そして間違いなく、鹿児島県にいる

君のSNSアカウントを徹夜して探し当てたから


僕の住む世界では無が天を支配し

僕は大切な人も夢の欠片も失ってしまった

担任の先生に叱られておけば、こんなことにならなかったのかな

いま残っているのはこの事実だけ

「空を吸い込みました。」という事実だけ


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