第二章 藤堂麗奈
「藤堂麗奈です。よろしくお願いします。」
自己紹介をしていた時のみんなの顔が忘れられない。呆然と、私を見ていた。
HRが終わると、女子に質問攻めにされ、男子にはアドレスを聞かれて、やっと静かになったと思ったら別のクラスの人が大勢来て、とても賑やかな学校だと思った。
落ち着いて、隣に目を向けると、見覚えのある顔だと思った。その人は、引っ越して間もない頃、田んぼ道でぶつかった人だった。耳に派手なイヤリングをつけていたので、覚えていた。
しかし、チャライ人というのは、たいてい都会にいるものではないのか?私が苦手意識を持っている人と隣の席になるなんて…
でも、顔は悪くないようね。整ってるし、女子に人気があるみたい。どこにでも、イケメンはいるのね…
翌日、いつものように車で送ってもらい学校に行くと、何やら視線を感じた。
登校している生徒が、私を見ていた。その中には、チャラ男くんもいた。私、何か変?
一人で頭を悩ませていると、舌打ちが聞こえた。私に対してなのか、その女子生徒は私を睨んでいた。
家に帰ると、珍しく父が帰っていた。ちなみに、母はニューヨークへ出張中である。
何か私に話があるらしく、父の部屋に来ていた。
「麗奈、学校はどうかな?」
「はい、お父様。とても楽しいです。」
「それはよかった。実は、話しておかなければならないことがある。」
父は、とても真剣な顔で言った。
「今、麗奈が通っている学校の理事長は、私なんだ」
頭がついていけない。今なんて言った?
「今度、学校を立て直す予定なんだ。」
「そ、そうなんですね。」
複雑な気持ちになった。
次の日、学校が何やら騒がしかった。
私の教室の前で揉めている。1人はクラスメイトだが、もう1人は知らない。横に目をやるとチャラ男君がいた。しょうがないから彼に聞こう。
「あの…ツインテールの女の子はどなたでしょうか」
チャラ男君は驚いた顔をして、
「あ、えっと…美空鈴だよ。理事長の娘。」