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検索履歴、それはパンドラの箱

平:「例のプロジェクトの見積書はどうしたの?」


精悍な男性:「すいません、建材メーカーの一社が潰れたみたいで今替わりを探してます。

交渉が終わり次第、見積書を提出します。」


平:「概算で良いから出せない?

上から急げって言われてるのよ...」


精悍な男性:「正確な見積もり出さなきゃ現場が混乱しますよ。」


平:「そこはあなたの経験と勘で誤差がないように見積もるしかないでしょ。」


精悍な男性:「はぁ、無理ゲーすぎる...

先輩は今頃、定年後のスローライフなんだろうな...」





そんな元部下たちが忙しく働いているそのとき私こと寺島八雲は今パソコンに向かって人には言えないような検索履歴を作っています。


小学生 女子 なってしまった。


大人に戻る方法


などとネット上を調べてはいるが、有益な情報は得られない。

有名な推理漫画の主人公でさえ高校生から小学生になったわけで、早めの定年を迎えたおじさんが小学生になったなんて話は聞いたことがない...

加えて性別まで変わってしまったのだから難易度が高すぎませんか?


八雲:「とりあえず行動を振り返って、事態の収拾を図ろう。

確か昨日は散歩に出て疲れてそのまま寝たよな。

あれ?なんでそんなに疲れたんだっけ?」


色々と事態が飲み込めず、混乱しているのか口に出して初めて考えはまとまってきた。


八雲:「そうだ、女の子を追いかけて商店街を全力疾走したんだ。

もしかして追いかけられた少女の呪い?」


確かにおじさんに追いかけ回されれば嫌な思いをするだろうけど、私の場合運動能力がほぼない状態だったから全然追いつけなかったし、そもそも自分の姿さえ見られていないだろう。


八雲:「あ!

そういえばあのペンダント交番に届けない!」


完全に忘れてた!

今もまだポケットに入っているはずだろう。


八雲:「あれ?

確かここにいれたよな?」


ポケットを必死で探すがペンダントは見当たらない。


八雲:「小学生が落としたものを勝手に持ち帰って、あまつさえ無くしてしまうなんて。

きっとこれが原因でばちが当たったに違いない。

早くペンダントを見つけて呪いを解かないと...」


最悪の事態が思い浮かぶ。


八雲:「年金手続きができない!」


この姿で60代の男性って言い張るのは無理だ。

今までずっとコツコツと払ってきた年金が受け取れないなんて最悪だ。


八雲:「そうだ、昨日の帰り道をくまなく探してみよう。」


そう言って玄関まで向かおうとするが...


八雲:「この服じゃ外には出られないよな...」


シニア向けの男性服をダボダボで着ている状態だ。

とは言っても小学生向けの服なんて持ってないし。


八雲:「ネットで注文するしかないか...」


おじさんの名義のカードで女子小学生の服を買うのはどうなんだろう...

レベルの高いロリコン扱いされないかな?


八雲:「お、すごいな!

今日頼んだのに昼までには届くのか...」


あれ?玄関口でこの格好で対応しないといけないよな。

寺島八雲宛の荷物をダボダボのシニア服を来た幼女が受け取る...

まずい、どう考えても誤解される!





八雲:「これで大丈夫かな?」


割と小さめの服を切ったり、縫ったりしてなんとか体にあう服は出来たけど、やはり奇妙な格好だ。


八雲:「配達の人、ちょっと前衛的なファッションって思ってくれないかな?」


一瞬幼女を家に連れ込んだ独身のおじさんの老後はどのようなものになるのか不安な考えがよぎった。


ピンポーン!


八雲:「あ、届いたみたいだ。」


配達員:「荷物のお届けに参りました。」

私の姿を見ると少し変な表情を浮かべる。


配達員:「それじゃあここにサインをもらえますか?」


八雲:「あ、はい。」


そして名前を書いている途中でというよりもはや終盤まで行って気付く。

寺島八雲と書けば疑われるだろう。


配達員:「え~と寺島八雨さん、お子さんですね。

了解しました、こちらが荷物になります。」


よかった、なんとか凌いだ...

つい癖で八雲って書きそうになったけど、なんとか挽回出来た。


八雲:「うん、ピッタリ。」


フリフリの子供服を着るのはさすがに遠慮して大人っぽい雰囲気とか書いてある服を一式頼んだ。

とりあえず、今日の目標はペンダントを見つけて、予備の服も買っておこう。

ブラジャーとか買わないといけないんかな?

それだけは勘弁して欲しい...


八雲:「それじゃあ、行ってきますか...」





八雲:「やっぱり、どこにも無い...

確か茶屋を出たときにポケットにいれたよな。」


家から茶屋までくまなく探してきたがちっとも見つからない。


八雲:「それにしても体が軽いな。

人間ってこんな動けるものだったんだ...」


若いときは考えもしなかったけど、体を動かすことはこんなにも気分が良いとは。

結構な距離走ったけど疲れが見えない!

まったく、小学生は最高ですね!


八雲:「そろそろ、暗くなりそうだし必要なものだけ買って帰るか...」


夜遅くまで子供の姿で出歩くのはあまり良くないないだろう。

補導なんてされたら最後、身元を聞かれて一発アウトだ。


八雲:「いたっ!」

考え事をしながら歩いていたため目の前の人に気付かなかった。


八雲:「あ、すいません。

ちょっと考え事を...」


言っている途中で気付く、目の前にいる主婦と思われる女性が停止している。

一時停止ボタンを押したように固まっている。


八雲:「あれ?あれ?」


当たりを見回すと女性だけでなく全ての人や物が止まっている。

空を飛ぶ鳥でさえその場で固まっている。


八雲:「もうなんて日なんだろう...」


次から次へと理解を超えるイベントにもしかして自分は全力疾走の疲れで死んであの世にいるのではと思うほどであった。


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