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乙女ゲームの世界に転生したが、悪役令嬢がチート過ぎて諦めました。でも攻略開始です!  作者: ゆうき
第2章 入学後の激闘編(平民の分際でぇええ!な方たちとの闘いです)
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芸の道を行く人は応援したくなっちゃいますね。でも、貴族さんはのーさんきゅーなのです

さあて、来週の美少女戦士リーナちゃんは!


と、勢いよく次回予告のような発言をしましたが、本当に活躍する場面が盛り沢山だとはちょっと思っていませんでした。


突然別の世界に迷い込んだかのようにガラリと雰囲気が変わってしまった学園生活。


先日まで私たちに絡んでくる男の子はお邪魔虫さん筆頭であるラビリオさんだけだったのですが、見知らぬ方までやってくるようになったのです。


しかも授業以外の時間全て。


理由は分かりませんが教室だけではなく寮以外の校内で近寄ってくる少年たち。


いつから私たちはふぇろもんを分泌していたのでしょうね?と言いたくなるぐらいの盛況ぶりでした。


初日は私たちだけで対処していたのですが、二日目あたりからラビリオさんが割り込んでくるようになりまして、正直混沌としております。


何故かと申しますと現在のところラビリオさん対下位貴族の子息さん連合での戦いが発生しているからです。


狙われていたはずの私たちは気が付いたら関係ない状態になっていたのです。


どうしてこうなった?と私やルビーちゃんは首を傾げ、優しいチェルシーちゃんはあわあわオロオロしてその光景を眺めているのでした。


よく考えたらラビリオさんが囮になって私たちは労せずに三人できゃっはうふふと楽しめるのではないでしょうか?


うん、そうですね、そうしましょう!


私のきゃわいい妹であるルビーちゃんとチェルシーちゃんを愛でまくりますよー!むはー!


「あなた、本当に悪魔ね」


だから私は美少女小悪魔と何度も言ってますよ、ルビーちゃん。




「ふぅ、やっと引き下がりましたか」


「ラビリオさま、ありがとうございます」


「いえ、気にしないでください、チェルシーさん。婦女子にたいして暴言を吐くなどもってのほか。僕はそれが許せないだけですから」


「僕のチェルシーたんに手をだすなー、ですね、解るのです」


「しっ、言っちゃだめでしょ」


「ち、違いますよ!何を言っているのですか!?」


「そ、そんな私なんて」


「ち、違いますよ、チェルシーさん!違わなくないですが違います!」


「どっちなのよ、とツッコミは野暮よね。ラビリオさま、またリスティナの策に嵌ってますわ」


「はっ!?」


だんだんルビーちゃんもラビリオさんの扱いが変わってきましたね、良い傾向だと思うのです。


さて、下位貴族の子息さんたちがすぐに近寄ってきますから、その虫よけとしてラビリオさんが必ずオプションとして纏わり付くようになってしまいました。


昨日の昼休みなどは昼食も一緒に取りましたし、女子寮の近くまでついてきちゃったのです。


とうとうストーカーとして覚醒してしまったラビリオさんもそろそろ駆除したほうが良いのでしょうか?


でも駆除してしまうと虫よけが無くなってしまいますから別のお邪魔虫さんが現れるだけなので、私たちだけで対処可能といっても考えさせられます。


流石の私もこれほど引き寄せるとは思っていませんでしたし、正直面倒なのです。


もういっその事あの人たち全員駆除しちゃった方が良いのかもしれませんね。


「ちょ、ちょっとリスティナ。あなた物騒な事考えてるでしょ?」


「物騒、なのです?えいってするだけですから静かに片付きますよ」


「小首傾げながら言う内容じゃないわよ、まったく」


「あ、あの、流石に手を出すのはまずいと思うよ、リスティナちゃん」


「手は出さないのです。魔法でちょいちょいっとするだけなのです」


「どっちにしろダメに決まってるじゃないの!」


「えー」


「えー、じゃないわよ!」


「そ、そうだよ、リスティナちゃん。穏便に、ね?」


「むぅ、チェルシーちゃんが言うなら仕方がないのです」


「私はダメでチェルシーの言う事は聞くのね」


「やっぱり拗ねた表情のルビーちゃんもきゃわいいのです!むはー!」


「っ!?あ、あなた態とだったのね!こ、このー!」


「だ、だめですよ、ルビーちゃん!」


「は、放してよ、チェルシー!」


「ぼ、暴力はだめですよ、ルビーちゃん」


「むぅ、二人だけで遊ぶなんてずるいのです!私も混ざるのですよ!」


「「ひゃっ!?」」


「やっぱりルビーちゃんとチェルシーちゃんは柔らかくて良い匂いがするのですよ!むはー!」


「ちょ、ちょっとリスティナ、どこ触ってるのよ!?」


「く、くすぐったいです、リスティナちゃん!?」


先日からお邪魔虫さんがいっぱい集ってくるようになりましたが、そのような事は関係なく私たちは平常運転のまま楽しんで過ごしております。


ですので、駆除なんて面倒な事はしなくてもよいかな?とちょっと思ったりもしております。


だってそんな時間があるならきゃわいい娘さんたちを愛でたいですからね!


「きょ、教室で何をしているのですか、あなたたちは!?」


「あ、居たのですね、ラビリオさん」


「僕の扱いが酷い!?」


順調にリアクション役への配役変更が進んでますね、ラビリオさんは。


このまま攻略対象なヒーロー役を降板して欲しいものです。






そんな三日目の放課後、ラビリオさんは用事があるとかでわざわざ私たちにその旨を伝えてから帰っていきました。


その時の表情がとても申し訳なさそうにしておりましたが、別に同行や割り込みを頼んでいた訳でもありません。


こう言うと鬱陶しいとか邪魔だとか思っていたように聞こえますがほんのちょっと思っていただけなのです。


男の子に興味がない私でも自分たちの為にやってくれている人に対しては感謝しますよ、ちょっとだけ邪魔だと思っていても。


ええ、本当ですよ?私はきゃわいいお母さん、桜の聖女と呼ばれた母の娘、しかもとってもそっくりさんな美少女なのですから慈愛の心も持っているのです。


だんだん言い訳が苦しくなってきましたからこの話はここまでにしておきましょう、元々興味のない美少年なラビリオさんの事なのです。


そしてお邪魔虫さんから虫よけさんにクラスチェンジしていたラビリオさんがいなくなった訳ですから、当然のように近寄ってくる方たちがいるのです。


ご紹介いたしましょう、本日のやられ役のお三方です!


「やっとお前たちだけだな」


「おいおい。一応ヤグルさんもいるんだから言葉使いに気を付けろよ」


「そうだぞ、一応な」


「お前たちの方が失礼だろ、それじゃあ」


「まあ、別に良いだろ」


「そうだな、平民なんかと仲良くしているぐらいだから問題ないだろ」


「じゃあ、言葉使いとか言うなよ」


「違いないな」


「「「ははははは」」」


「えっと、今日はお財布持ってきてませんので」


「なんだ、平民?お金で解決したいのか?」


「おいおい、平民。お前が持ってるはした金で足りると思ってるのか?」


「その前に金で済ませる気もないけどな」


「違いない」


「「「くくくくく」」」


「鑑賞無料だったのですね」


「鑑賞?何を訳の分からな」


「三人で喜劇を見せてくれてたのですよね?」


「「ぷっ」」


「ち、違うわ!」


「そうだ!しかも今笑っただろ!」


「平民の分際で、お前!」


「でも、面白くないですからもう見せて頂かなくて結構なのです。役者の道は諦めた方がよさそうですよ」


「「「「「ぷっ」」」」」


「「「そんなの目指してねーよ!」」」


「あ、芸人の方でしたか。ちゃんとボケとツッコミと回しは出来てましたからネタをどうにかしたら面白くなると思うのです」


「「「芸人でもねえよ!」」」


「ないすりあくしょん、なのです!」


「「「「「「「ぷっ、ぷははははははははは!」」」」」」」


放課後になってからそれほど時間も経っていませんでしたから、子息さん三人組以外にも教室には沢山の生徒が残っていたのです。


そんな状況でショートコントを始めましたから役者希望の方たちと思ったのですが、どうやら芸人を目指していたようなのです。


前世での私はあまりテレビを見せて貰えなかったので、そっちの方はあまり詳しくありませんがちゃんと役割は熟せていたように思うのですよ。


でも肝心のシナリオがいまいちでしたから面白味に掛けていましたし、どなたか演出家を紹介してあげてください。


私は平民ですし王都で暮らし始めてまだ数ヵ月ですからそのようなコネもありませんからね、ご紹介できないのですよ。


ルビーちゃんとチェルシーちゃんにご存じないか聞こうとしたのですが現在取り込み中で聞けそうにないのです。


他のクラスメイトに聞こうと思っても残られた方たちも取り込み中のようでして聞けそうにないですね。


折角頑張っている方たちですから応援したかったのですが、これではどうしようもありません。


そもそも興味のない男の子たちですからこれ以上私も労力を使う必要はないですね、これぐらいにしておきましょう。


あどばいす、しただけで我慢して頂ければ助かるなぁ、と思いまして子息さんたちを見たのですが顔を真っ赤にしてげきおこぷんぷん?状態なのです。


一体どうしたのでしょうね?


「くっ、覚えてろ」


「おい、待てよ」


「お、おい」


「あ、やっぱり役者希望だったのですか?」


「「「ちげえよ!」」」


「「「「「「「あははははははははは」」」」」」」


慌てて教室を出ていく子息さんたちは、それは見事な三下役ぷりなのでした。




「はぁ、面白かった。って、あれは流石にまずいわよ、リスティナ」


「はーふーはーふー、はぁ。まさかあのように対応するとは思ってもみませんでした」


「チェルシーもそんな暢気な。あの三人は赤よね、たしか」


「そうだったと思いますが、主流派ではないと思いますよ。私も詳しい訳ではありませんが、あの方たちの家名はこのクラスで初めて知りましたから」


「取り入ろうと躍起になっている、といった所かしら」


赤というのは派閥の話でして先日お茶会にお誘い頂いたミレディお姉さまのご実家ヤクトワルト伯爵家を筆頭とした武闘派な派閥集団さんたちなのです。


旗頭となっているのは上位貴族であるダンさんのご実家ダンデライオン辺境伯家なのですが、実質的なリーダーはヤクトワルト伯爵家前当主さまだったりします。


他国との戦争や魔物退治に精を出す兵士さんが多い脳筋さん集団な赤の派閥なのですが、この前当主さまは頭脳派という変わり種なのです。


頭脳派というよりも猛獣使いといった方が正しい認識なのかもしれませんが、巧く派閥を操っているそうなのです。


元々は宰相を輩出し続ける家系出身でヤクトワルト伯爵家に婿養子として入られたという経歴をお持ちです。


当時のヤクトワルト家は子爵位だったそうなのですが、この前当主さまの手腕、前々回の隣国との大戦で多大な戦果を挙げての陞爵で伯爵家になったという傑物だったりするのです。


この大戦のときの戦果の原動力となったのが前当主さまと仲が良かったダンデライオン家の前当主さまの武勇だったなんて話もありますから、現在でも仲が良い家系なのだそうですよ。


この話は大変有名でして王都にある国立演劇場で大戦の様子を物語にした劇が毎年行われるほど国民に愛される方たち、英雄さんたちなのです。


なんだか話がそれてきましたので軌道修正するとしましょう。


要するにですね、赤の派閥に入りたい、入ったらもっと上に行きたいという貴族さんたちが大勢いるのですよ。


なぜって国の英雄さんたちに近寄れるわけですから親たちからしてみれば自身の地位を上げたいし、子供たちは憧れの英雄に会いたいという思いからそうなっているのです。


ですから、赤の派閥の主筋であるヤクトワルト伯爵家の方に頼まれたら喜び勇んで協力するという図式が成り立つのです。


何を頼んだのかはお察しなのですが、誰が頼んだかは目に見える範囲でも二人いらっしゃるので何とも言えないですね。


もちろん筆頭は次男のレオさんなのですが。


レオさんは切れ者である前当主さまを崇拝レベルで尊敬されているようですから本当は脳筋なのに頭脳派を気取った困ったちゃんなので、そういう事を如何にもやりそうなのです。


でも小物臭が半端ない方ですからね、早く諦めて脳筋への道を歩んだ方が良いと思うのですよ。


ん?別の道で閃きましたが、先ほどのお三方とカルテットを組んで芸人か役者の道に歩むのも悪くなさそうなのです。


良かったですね、演出家が見つかったのですよ!


面白いシナリオになるかは別なのですが。


「やっぱりレオさまの差し金かしら?」


「そろそろ謹慎が解けるといってもまだご実家ですし、難しいと思いますよ」


「それでも手紙とか従事で伝令すれば可能じゃない?」


「貴族の謹慎はその手の事も制限されますから難しいと思いますよ」


「うーん、でもそれって表向きでしょ?」


「確かにその通りなのですけど、でも今回はダンデライオン家からの依頼ですから流石に慣例通りの処置をしていると思いますよ」


「だったら貴族の面子を平民に馬鹿にされた、とかでヤクトワルト伯爵家自体が主導でやってるとか?」


「本家の方たちが介入してくるほどでもないと思いますよ。命に係る怪我を負ったとか家名を罵った訳ではないですからね」


「子のなす事に介入しては貴族の矜持が、と言う事?」


「そうですね、逆に面子が立たないと思います」


「なるほどね。でも、それじゃあミレディさま?色々リスティナの事を聞きまわってるし、先日わざわざお茶会にまで招待されたしね」


「ミレディさまも違うと思います。あの方は他者を使ってどうこうよりもご自身で解決したいと思う方ですから」


「ああ、確かにそういう感じよね、ミレディさまは」


「それにそういう事を思いつかないと言いますか」


「チェルシーもやっぱりリスティナに似てきたわね、そんなにはっきり言うなんて」


「あ!?ち、違うんですよ、そんなつもりは!」


「他者を使って蹴落とすなんて卑怯な事が大嫌いな正義感の強い清廉潔白なご令嬢、と言いたかったのよね、チェルシーは」


「そうです、そうです!もう、意地悪しないでください、ルビーちゃん!」


「うふふ、ごめんさない、チェルシー。ミレディさまが違うとしたらあの三人の場合、レオさまに取り入ろうと先走ってる可能性もあるわね」


「そうですね。でも、あの方たちだけではありませんから」


「そうよね。私たちに言掛りを付けてくる原因の一つがそれだというだけかも知れないわね」


「あ、あとはラビリオさまを始めダンさまとも交流がありますから」


「やっかみとか羨ましいとかそういう嫉妬心ね。こう考えると理由なんていっぱい出てくるわね」


「学園でも生まれの貴賤はない、としているのですからそのようにして頂ければよいのですけど」


「そう考える方が少数意見じゃないかしら?チェルシーは優しいからそう思うだけで」


「わ、私は別に優しい訳では。ただ、折角色々と学ぶ機会を得たのですから色々な方と交流したいと思っただけなのですよ」


「チェルシーが人格者過ぎて逆に怖くなるわね」


「なぜですか!?」


「うふふ、冗談よ」


「もう、酷いですよ、ルビーちゃん」


「話を戻すけど理由が特定できないから根本的な解決は難しいわね。やっぱりみんなと同じようにした方が良いのかしら?リスティナはどう思う?」


「・・・」


「リスティナ?」


「リスティナちゃん?」


「・・・むはー!」


「「ひっ!?」」


「さ、最高なのですよ!」


「な、何なのよ、急に!」


「美少女二人が悩まし気に小難しい話をして眉を顰めたり、小首をかしげたり、ニヤけたり、ぷんぷんしたり、困ったりといった百面相を見せてくれるなんて最強過ぎるのです!むはー!」


「ひっ!?」


「あなたさっきから静かだと思ったら話を聞いてたんじゃなくて私たちを観察してたのね!」


「観察じゃなくて愛でていたのです!」


本当にルビーちゃんとチェルシーちゃんはきゃわいいのです!


「どっちにしろ、怖いわよ!」


「これはお持ち帰りするしかないのですよ!むふー!」


「なっ、ちょ、放しなさいよ、リスティナ!」


「ひゃあ!?リ、リスティナちゃん、恥ずかしいから放して!」


「男の子がやったのなら問題ですけど、私は美少女なので微笑ましい午後の一コマなので問題ないのですよ!やっふー!」


「あるわよ!?」


「ありますーー!?」


さて、随分時間がたってしまいましたから私たちはそろそろ帰りますね、みなさんごめんあそばせ。


この時点で教室に残っていたのは平民さんたちばっかりですし、唖然としながらも会釈に会釈を返してくれる良い人たちなのでした。


このような方たちばっかりでしたら学園生活ももっと楽しいのですけどね。





と、ここで終わっていたらよかったのですが、寮までの帰り道にも別のお邪魔虫さんが集ってきまして一体どれほどいるのかと考えさせられました。


一匹見たら何十匹もいると思え、なあの黒い悪魔と同じなのかもしれませんね、あの方たちは。


興味のない人たちに近寄れても邪魔なだけですから鎧袖一触とばかりに蹴散らしておきました。


え?物理的にやったのか、ですか?違いますよ、一応交渉の末の出来事なのです。


「あ、あなたね。あれは交渉と言わないわよ」


「そ、そうですね、交渉ではなかったと思います」


「そうですか?ちゃんと会話してその成果があの人たちの逃亡、じゃなかったですね、引いてくれた、だと思うのです」


「相手を怒らせて恥をかかせてあの場に居れなくしただけでしょ!」


「いくら手を出せないといってもやりすぎたらまずいと思いますよ」


「そもそも私たち三人に男性五人で道を塞ぐ行為の方が恥知らずだと思うのですよ」


「確かにそうなんだけど」


「あのような目にあったのは初めてでした」


「まるで盗賊さんたちなのですよ、あれだと」


「盗賊と同じって・・・でも、そうね、似たようなものかしら」


「ルビーちゃんまで言っちゃうのですか!?」


「ところでリスティナ」


「なんですか、ルビーちゃん?」


「え?私はスルーなのですか?今日は私の日なのですか?」


「これもあなたが考えた作戦なの?」


「え?作戦、ですか?」


流石ルビーちゃん、気付いちゃいましたか。


私があの方たちをあしらっていたのは興味のない少年たちだからというだけではなく、ちゃんと思惑があったのですよ。


「だって態と騒ぎを大きくしてるじゃない、リスティナは」


「あ、そういえばそうですね」


「あとはこういう状況だったらあまり人が来ないようなところに逃げそうなのに、反対に人が多い場所へ行くし」


「今日の昼も中庭じゃなくて食堂でしたね」


「直接手を出しにくい状況に持って行っているだけかと思ったけど、それだけじゃなく彼らに恥をかかせているのね」


「あ、そういう事ですか」


そうなのです、私はあのお邪魔虫さんたちの面子を完全に潰さない程度に立たなくしていっているのです。


貴族さん、特に下位貴族さんほどに面子に拘る小さな人たちが多いですからね、周りに見ている人が多いほどその場に居れなくなるのです。


だって、みんなが見ている前で自分が馬鹿にしている平民からまともに相手にされず、しかも笑われてしまいますから。


そんな貴族としての面子が潰れるような状況に長時間いたり、潰れるかもしれない状況にもっていくとかやりたくないでしょうしね。


このまま続けていればそのうち私たちに近寄ってこなくなる、という作戦なのでした。


「よく思いついたわね。でも、そういう事だったら前もって言いなさいよね、リスティナ。まったく、心臓に悪い」


「確かにびっくりしましたね。でも、すごいですよ、リスティナちゃん。私には思いつかない内容です」


「でも、この作戦もレオさんが復学するまでしか使えないのですよ」


「え?どうしてですか?」


「あー、確かにそうね。ヤクトワルト伯爵家の子息を笑うなんて出来ないから」


「あ、そうですね。じゃあ、レオさまが戻ったらどうするの、リスティナちゃん?」


「うーん、どうしようか」


流石にレオさんが相手だとこの手を使う訳にいかないですよね、だって下手をしたら周りの貴族さんたちまで私たちに攻撃してくる可能性がありますから。


レオさん自体があれな人だとしても中位貴族、しかも赤の派閥の筆頭の子息さんが笑われるような状況にもっていかれるのを黙ってみていると思わないのです。


もしそのような事態になったとしたらチェルシーちゃんも言っていましたが、家名を陥れる事になれば伯爵家自体が黙っていないでしょうからそうなると流石にまずいのです。


本当に器の小さい、でも、爵位だけは高い人って面倒なのですよ。


「これはやっぱり完全に駆除を」


「それはダメ!それだけはダメよ、リスティナ!」


「そ、そうですよ、リスティナちゃん!」


「伯爵家の子息を亡き者になんて事になったらただじゃ済まないわよ?」


「私がやったなんて証拠は一切残しませんよ?」


「どうやってやるのよ!え?もしかして出来ちゃうの、そんなこと?あなたならやれるの、リスティナ!」


「お、落ち着いてルビーちゃん!その前にそんな事をしたらだめですよ。リスティナちゃん、やらないよね?ね?」


「冗談なのです」


「「冗談だったの!?」」


「流石にそこまではしませんよ」


「いやいやいや、冗談に聞こえなかったから」


「冗談でも言っちゃだめですよ、リスティナちゃん。はふぅ、びっくりした」


「慌てた後の驚いた表情もきゃわいいので思わず言っちゃいました。でも、反省はしていないのです!」


「「反省しなさい!」」


いくら邪魔だからと言ってそこまでは私でもやらないのです。


そんな事に時間を使うぐらいなら、ルビーちゃんとチェルシーちゃんと遊んでいたいのですよ!


私は可愛い美少女、綺麗な美少女を愛でる事が大好きなただの美少女ですし、そんな悪い事はしちゃいけないのです。


もしやっちゃたら母を悲しませる事になりますからね。


激おこぷんぷんで怒られるのはご褒美なのですが、悲しませるのは流石に、流石に、涙を流すお母さんもきゃわいいのでちょっと心が揺れちゃいますね。


でも、私は良い子なのでやらないのですよ。


「・・・やらないとは言ったけれど、やれないとは言ってないわね」


「あ」

お読みくださってありがとうございました。


お笑い芸人さんたちは凄いですよね、マジそう思います!

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