【1人目①】
「えー、皆様本日は我が化け物軍の施設見学にお越しいただきありがとうございます。早速ではありますが、施設見学の前に化け物軍について簡単に説明をさせていただきたいと思います。化け物軍は正式名称を“軍事的化け物等々捕獲組織 ”といいます。化け物軍、とはこれの略称なわけですね。この化け物といいますのは、皆さんがご存知“狼少女 ”や“巨大鼠 ”等々を指しております。科学研究の負の産物であるこれらの化け物を捕獲し、国民の皆様の平和を守るのが我々化け物軍です。」
灰色の巨大なロビーにガイドの高い声が響き渡る。半年に1度、抽選で選ばれた約30人の一般人達は各々真剣な顔であたりを見渡している。彼等は東京駅からずっと目隠しをしたままバスで3時間ほど揺られ運ばれ、やっとで目隠しを取り外せたところなのだ。
「軍事秘密のため、皆さんに本部施設の場所や広さ、施設配置などの細かい情報をお教えすることは出来ませんが、見学可能スペースは存分に楽しんで頂きたいと思っております。では、まず皆さん右手の方へーーーーーーーー。」
それを遠くから見つめる3人組がいた。
「またやってるな。」
「ってゆっても半年に1回でしょう。」
「でも軍人を見る目には慣れないなぁ。」
「仕方ない。化け物を怖がるのは普通だろ。」
「えぇー?人間だよみんな。」
「見た目はな。武器持たせたら化け物と変わんねーよ。」
「あの人たちからしたら今の私達は動物園の動物と大差ないわよ。嫌でも慣れるか、私達も目に入れないかのどっちかよ。」
「むむむ……。どうしようもないのは分かるけどさぁ。」
「ほら、隊長のところに行くんだろ。早く行くぞ。お前のせいで医務室行きなんだから。」
「あれはわざとじゃない!」
「ほらほら、行くわよ~。」
そんなことをいいながら3人は職員通路へと姿を消した。