第一の希望
第一の希望
「My name is kamime ryouko ,nice to meet you. 」彼女は流暢に英語を話していた。
彼女の名は神女 良子、東都大学哲学部西洋哲学科教授でグノーシス主義を研究している。彼女が英語をうまく話せるのは彼女の祖父、カールトン ベンフォードが1980年日本に帝都大数学科教授として来て、そこで同僚の神女里菜と一目惚れして、国際結婚した。そして、そのうち日本国籍を取得して神女家の婿養子となった。しかし、祖父の一族はもうじぶん以外一族がいないのでどんな一族だったかを知らない。
思い出
小学校の頃、一度だけお父さんと一緒にエジプトに行ったことがある。
彼女は今、そのときのことを思い出していた。その頃はへんな三角形でできた建物とか頭が人のライオンとか全くそのものを理解できなかったのだがお父さんが妙にかしこまって説明するのが面白かった。
父は自分が小学校四年生のときに乗っていた飛行機が突然爆発して死んでしまった。
母は父がいなくなってから急に暗くなった。
父は帝都大の考古学部の教授でオリエントについて研究していた。
母はキリスト教徒でよく神の教えについて説いていた。
でも、父が死んだ後この世の神はなんでこんなにも無慈悲なんだろうと思った。
そんな時、私はグノーシス主義に出会った。
この世の神は正しい神ではない。
一部のものは神性が閉じ込められている。
ここを出て楽園に行くには知識がいる。
私はこの考え方に魅了されてしまった。
私は日本一の大学、東都大に入った。みんなが高校二年生の頃に。
そして、4年生のころ、書いた論文のおかげで主席卒業した。
その後、大学卒業と同時に助教まであがり、いまでは二十四歳にして教授となっている。
今、私はエジプトにいる。
グノーシス主義とは用語解説(作者)
グノーシス主義とはキリスト教、ユダヤ教に見られる一派。
グノーシスとはギリシャ語で知識という意味で人類を救済に導く究極の知恵を表す。
それらの考え方はキリスト教では異端とされ、弾圧されてきた。
その中でこの考え方がよく理解できる文章がある。
ユダの福音書である。
ユダとは有名なキリストを引き渡した裏切り者の十二使徒である。
そもそも福音とは良い知らせという意味であり、ユダのやったことはキリスト=神や救いのときが遅くなってしまった民衆にとってよい知らせのはずがないのだが。
内容をいうと
* この世界にいる神は最高神ではなく偽りの神である。
* 人は二種類いて、神性を持つのと持たざるもの。
* 人は私をあがめるが実際は侮辱するだろう。
* 私は神の国から来た。
* 私を売ったユダは神の国へいけるだろう。
* 十二使徒は偽りの神に操られている。
このように神を侮辱していると考えられて、現在では根絶されている。
この書にはプラトン哲学の影響も見られる。
一部のものは神の国に行くための知識が必要
これがこの考えの根幹である。
よくわからないと思いますがこれで用語解説を終わります。
エジプトでの学会
「神女先生、もう朝ですよ。相変わらず寝起きが遅いんですから。」葉山が言った。
「やべぇ。すまないな。昨日飲み過ぎてしまって。」神女は言った。
「先生、そんな話なんてどうでもいい。早く起きてください。早く起きないと学会が始まってしまいますよ。」
この男、葉山は彼女の研究室の助教である。
ちょっとおせっかいだが心は優しいのでお酒を飲みかわすことが多い。
因縁の地エジプトの行くことを決めたのは何日前のことか。
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「先生、招待状が届いてます。」ポスドク(博士研究員)の斧田が言った。
「だれから」神女が言った。
「英語でミズカミメ様へ グノーシス主義の起源の期限に関する国際学会からあなたを招待します。マルサス ポートレートより。と書かれてます。」
「マルサス先生だって、あの先生覚えておいてくれたのか。ネガロポリス国立大学教授の世界一有名な先生がなんで私のような研究者の下っ端を何で招待してくれたんだろう?」
「和訳しといて。斧田君と山田君。」
「うわあ、やなときに帰って来てしまったようだな。」
「愚痴言わない。さあとっとと仕事やる。」
「はい、相変わらず人使い粗いな、神女先生。」
「てっか、俺らいつまでこき使われているんだ。俺ら十代上なんだぞ。」
「僕も本当は猿山大でいいから教授になりたい。」
「うん。まあこの研究室で助教を仕留めないと。」
「でも、葉山先生がいる限り無駄じゃね。」
「そうだな。やっぱり先生に推薦してもらってアメリアのでも行った方がいいんじゃない。」
「早く仕事する。」神女は言った。
「はいはい、わかりました。」
「はいは一回。」
「はい。」2人は小さい声で言った。
翻訳するとかつてエジプトのナグ ハマディで発見されたナグ ハマディ写本はグノーシス主義研究に大きな影響を与えました。今、死海で裏死海文書が発見されました。この学会でその驚くべき内容を研究者の諸君に紹介したいと思います。と書かれていた。
4月1日にエジプトのカイロの国立アカデミーで会いましょう。
そう書かれていた。
彼女は思った。何で私が選ばれたのだろうかと。
彼女は確かに同じグノーシス主義を研究していたが彼女は哲学的な教義の分析と文章の比較によって初期のキリスト教にどのような集団に分かれていたのか、だった。
それに対して彼は考古学の視点からグノーシス系文書を発見して内容を解読する仕事で全く違うのである。
さらに彼女は確かに日本で有名なグノーシス研究者だが笠原ローマ大教授や西沼メガロポリス大助教など有名な先生はたくさんいる。
そこで彼女は斧田にマルサスが教授をしているメガロポリス大グノーシス文書研究室に国際電話させた。
すると招待状は送った。と答えて来た。
それで渋々日本を出るめにあってしまった。
なぜか?
彼女は硬水が大の苦手なのだ。
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東都国際空港出入国カウンター前
「じゃあ、行ってくるよ。研究室は頼むね」彼女は言った。
「分かりましたよ。そのかわり、おみあげ買ってこないと承知しませんからね。」山田が言った。
「分かってるよ。」彼女は言った。
「お前ら、わしがいない間論文進めとけよ。帰ったらチェックするからな。」葉山は言った。
「これで休みはおじゃんだな。」山田は一人つぶやいた。
そして彼女はエジプトに着いた。
「いやあ、飛行機に中は快適でしたねえ。さすが、ファーストクラスですよ。」葉山は言った。
「うん、それは良かったんだけど水が硬水であることに気づいて吐きそうになったわ。」彼女は言った。
「先生はその硬水嫌いの所直した方が良いと思いますよ。」葉山は言った。
「まあそうかも知れないわね。」彼女は言った。
「ところで我々はどこに行けば良いんですっけ?」葉山が尋ねた。
「国立アカデミー!ちゃんと覚えておいてよね、教授になりたかったらもう少し記憶力をつけなさい。」彼女は言った。
「相変わらず手厳しいやあ、で何使っていきます?」葉山が尋ねた。
「もう!迎えのバスかなにか来るのに決まっているでしょ、本当にもうどうしようもないんだから。」彼女は言った。
「先生、もしかしてあの人は?」葉山が話しだすと同時に神女は走り始めた。」
「笠原先生、ご無沙汰しています。ローマではどうでしたか?」彼女は尋ねた。
「相変わらずお前ははしたないなあ、そこを直さないとお嫁に行けないぞ。」笠原が言った。
「大丈夫です、結婚する気がないので。」彼女は答えた。
「ローマでは優秀な学生がいっぱいいて、中東にも近いから今回マルサス教授が発表される裏死海文書の発見の際は同行することができたぞ。それより森田と葉山はどうした。」笠原が言った。
「森田さんとは相変わらず中が悪いです。葉山君は。」そう言いかけると葉山がやって来てこう言った。
「もうしょげていませんから。」と言い出した。
「突然話しだす所直した方が良いぞ、そこがお前の悪いところだ。しかし、わしがいなくなってからお前の研究室も縮小されただろ。」
「はい、先生がいなくなってしまって分裂したんです。先生の研究室は。」彼女は答えた。
この時話していたことを理解するには五年前まで話を戻さなければならない。
もともと帝都大時代に笠山の恩師だった中田教授の頃、日本で唯一のグノーシス研究室として発足した。
そして敗戦後に帝都大は解体されて東都大になって新たに西都大が生まれた。
しかし東都大にはグノーシス研究室が残ったものの西都大にはできなかった。
そして笠山教授の頃には森田助教(当時)や主任研究員で神女や葉山がいるなどかなり優秀な人材が揃っていた。
しかし笠山教授にローマ大教授の話が持ちかかり、後継者争いが勃発してしまった。
当時、後継者候補第一位だったのが森田助教だった。
しかし神女がだした論文が大変有名になってしまい、結局教授になったのは神女だった。
それで森田は怒って、東都大を出て西の雄の西都大にグノーシス研究室を立ち上げた。
それで研究室から大量の人間が流出してしまった。
実は葉山も西都大の助教に誘われたのだが、それを断って東都大に残った。
これが四人の因縁の原因だったのである。
「ふうん、まあそんなところだと思っていたよ。」笠山が言った。
「ところで私は何で招待されたんでしょうか?」神女は言った。
「ああ、それはわしが招待してくれと頼んだのだよ。なぜなら、お前はあの論文書いたろ。なぜかこの文章だけはお前のグループとやらの何にも当てはまらないのだよ。」笠山が言った。
「そんなことってあるもん何ですか、あのグループに当てはまらないものなんて。」神女は言った。
「ある。私が調べることができたのはあの当時までに見つかっていた範囲内で調べたから。また、新しいグループがあるのかもしれないな。」神女は言った。
「おお、森田君。お久しぶり、西都大はどうだった?」笠山が聞いた。
「先生、もう知っているでしょ。あの小娘とは仲が悪いことを。」森田が答えた。
「まあ、仲直りしろよ。何だったら2人とも今すぐローマ大の助教にしてやろうか。」笠山が言った。
「まあ、それも良いかもしれませんね。ここで葉山君に教授にしてあげても良いと思うよ。」神女が言った。
「こんなやつと同じ大学で同格の同僚だと。虫唾が走る!」森田が言った。
「はい、はい。もういい加減にして下さい。分かるでしょ。ここがどんな場所か。」葉山が言った。
「そうだ。もういい加減にしてくれ。」笠山が言った。
「先生、申し開けございませんでした。すみませんでした。」森田と神女が答えた。
「ほら、マルサス先生が現れたよ。」笠山が言った。
「オヒサシブリデスネ、ミスターカサヤマ。」マルサスが話した。
「もしかして、マルサス先生は日本語しゃべれるんですか。」神女が聞いた。
「ああしゃべれる、彼はハーフだから。ただ、発音がおかしいけどね。」笠山が答えた。
「デハバスガキテイルノデソレニノッテクダサイ。」マルサスが言った。
そしてマルサスの言ったバスが来て、ついにアカデミーに着いた。
学会開幕
この学会では全て英語が使われていたので全て日本語訳して話さして頂きます。
「では学会を開幕さして頂きます。では発表を始めます。」マルサスが言った。
「私は二月に死海に向かいました。そこで裏死海文書という書物を発見しました。この書物の史的価値はかなり高いと言えます。なぜならこの書物は最古のグノーシス文書と言えます。なぜならこの書物は最古のグノーシス文書と言えます。この書物は謎の文字で書かれていたのですが同じ場所から出土したものがエジプト語と一緒に書かれていたために解読に成功しました。内容を話すとこの文書は最初からある文書の反対する文書として発生したと書かれている。これによるとこの世界には母体があるらしい。その世界は元々、正の物質と負の物質があった。それらはエネルギーを帯びていた。
ある時、膨大なエネルギーと心を持った物質が誕生した。それはヘルメスと言った。もちろんそれにも負の物質があった。しかし、その物質らは多くあった。だがお互いにぶつかり合って消滅していった。だが、正の物質が空間を負の物質で包み込み、世界をつくった。その空間はいわいるパラレルワールドで決して触れることができないように作られた。そして、正の物質の方が自らの力で作った空間の中に数々の物質でエネルギーを持った子を生み出した。そして、それでエネルギーを濃縮して大爆発を起こした。それでエネルギーを持たない物質を作った。それで星を作った。そして、ヘルメスは子を産んだ。クリエイター、プロトン、ニュートロン、エレクトロン、である。クリエイターは最初に生まれたクアンタムであった。しかし実はもう一つクアンタムがいた。長男であるデミウルゴスである。実の長男であったが邪悪であったために追放された。そこで、デミウルゴスはかなりのエネルギーをもっていたために全てのクアンタム(クリエイター以外)から一部のエネルギーと能力を奪い取tった。そして、それによってクアンタムをまねてアルコーンと言うものを作った。アルコーンはアンプロトン、アンニュートロン、アンエレクトロンからなっておりそれぞれ、クアンタムから奪った力を扱う疑似クアンタムなのである。そして、それは心を持たない物質プラズムを作った。プラズムにもアルコーンに対応しているのである。そして、三つのアルコーンがプラズムを融合してアトムというものを作った。これらは120個あり、そしてそれらを組み合わせて星を作った。そして、そのうち彼は傲慢であったために自らに似せて生物を作った。そして、全ての他の生物はただ一つの生物によって支配されるようにした。人間である。最初の人間であるリリスは神の言うことを聞かなかった。そこでデミウルゴスはもう一つリリンというものを作った。それまで女というものは存在しなかったが、それを誕生させたことによって堕落を招いた。そこで、神はクリエイターを使わした。その頃、人間を大量にデミウルゴスは創造したがリリスの2人の息子が歯向うことに困っていた。そこで自らの実体の一部を2人に埋め込もうとした。そこで、クリエイターが現れてデミウルゴスはお互いに封印し合った。クリエイターもデミウルゴスも大半のエネルギーと実体が消滅してしまったが残された一部のエネルギーと物質を二人に埋め込んだ。それぞれサレーとアダムである。
そして、サレーは彼らが復活するまでに世界を支配しようと計画した。そして、自らの子孫は努力をすれば天国に行けるという嘘の予言所を作った。パンドラの書である。それに対してアダムの子孫たちは隠れ、デミウルゴスを倒す技術である練金術を磨いている。この書を読む者たちよ、終末の日はもうすぐ来る。そして、デミウルゴスは消滅する。しかし、生き残るには知識を得よ。そして、その力を使って生き残れ。このような内容であった。しかし、謎なのが年代分析にかけると人類が生まれた年の数百年以内に誕生したことが確認されている。諸君に講演をしたのは、この謎を解明してほしいからである。マルサスの長い発表が終わった。「では意見などある方はいますか?」マルサスは聞いた。
それを聞くとほぼ全員が手を上げた。
大半の者は偽物だろうとか、年代測定器が故障していたんだろうか否定的な見方が多かった。そんな中、森田が発言した。「マルサス先生、確かにあなたをわたしは尊敬しています。しかし、こんな出まかせな発見を作らなくても良いのではないでしょうか。第一、考古学的観点からしても人が誕生してまもない時期に言葉を使っていたなんてことあるわけないでしょ。いい加減、おかしいことに気づいてください。」森田は完全否定してしまった。
続いて神女が発言した。
「マルサス先生のおっしゃることは確かに非現実的な部分もありますがこれだけはいえます。これは、恐らくは全ての大元のグノーシス文書と言えるでしょう。どうであれ、これは歴史的大発見といえます。」そして神女はこのような言葉で締めくくった。「ぜひ次の発掘の際は同行させてください。」と。
そして、最後に笠山が発表した。
「さきほど、あの書物が人類誕生時に生まれたのはエイプリルフールのジョークです。」
そういうと一同大笑いしてしまった。
「さて、ジョークはここまでにして実際は紀元前三千百五十年のエジプト統一を祝って、写本されたと同地から出土した石に刻まれていました。それにエジプト語でも書かれていたために解読できたのです。これはなんと今までの認識から外れて、古くからグノーシス的な考え方はあったということである。さらに、プラトン哲学から影響を受けたのではなくプラトン哲学の方が影響をうけたのであるということが分かった。私はこれを一大発見だと思う。私とマルサスが諸君を学会に招いたのは、これの分析をしてほしい。それによってグノーシス主義誕生の謎が明らかになると思う。今から書類を配る。それにはこの写本の全ての情報が書かれている。ぜひ読んで今後の研究に役立ててください。」そういって、発表を終えた。
その後学会は終了して、メンバー全員が大統領官邸に招待された。