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星詠みと流星  作者: 黒崎メグ
二章 北へ
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【7】

「ノズ、わたし何も知らずただ守られているだけは嫌よ」

 守るという言葉は、セラに皇帝を思い起こさせた。皇帝から与えらる仮初めの安穏を、村人は守られていると称していた。

 それを受け入れているのが嫌で嫌でたまらなかったはずなのに、自分一人ではまだ何ひとつ成せないのか。そんな葛藤がセラの中に生まれている。

 ノズの好意もわかっているので、セラはいたたまれずに、ごめんなさいとか細く付け足した。

「いや悪いのはこちらだ。シューレの民である君にノズの発言は失言だった」

 ノズは気の聞いた言葉が見つからなかったのだろう。困ったように眉を寄せた彼に代わり、若様は怒るでもなく優しく答えた。

「わたし、ノズが言いたいこともわかるの。わたしは外界を知らない。何が危険で何が安全かも。自らで身を守る情報すらもたないもの」

 自由を求める選択をした自分は、シューレの皆とは違う。一種驕りにも似た感情が自身の中にあったことに、セラはこの時初めて気がついた。

 けれど一歩外に出てしまえば、自分はあまりにも無知でちっぽけだ。

「お願い、わたしに身を守る術を教えて」

  足りないものを学ばなければならない。それは進むための一歩だ。そのために頭を下げるのは苦ではなかった。セラは深々と頭を下げた。




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― 新着の感想 ―
[一言] 「お願い、私に身を護る術を教えて」が、心に刺さりました。 守られるだけの人生は嫌なんですよね(*^^*) 誰かから、何かから、それを学んで自分で自分を強くしたい。 私もそういう気持ちで生きて…
[良い点] 二章まで読み終えました。 シューレを出て若様たちの仲間に加わったセラが今後どうなるのか、引き続き楽しみたいと思います。 若様も素敵だなあと思いましたが、ノズのツンデレな感じも好きです。 こ…
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