俺の相棒が精霊だった件について

目が覚めたら、俺は知らない草原にいた。

いや、正確には「空から落ちてきて、地面に顔面から着地した」と言うべきだろう。

「いってぇ……って、どこだここ？」

見渡す限りファンタジーな風景。鳥じゃない何かが空を飛んでるし、地平線の向こうにはデカい城みたいなのが見える。

「……あ、これ、異世界転生ってやつか？」

テンプレ展開すぎて、逆に冷静になる俺。

ちなみに、元の世界では社畜として残業地獄を生きていた。過労死ってやつか。まぁいい、帰る理由も特にない。

すると、どこからともなく声が聞こえた。

『そこの勇者候補の人間。契約を結びませんか？』

振り返ると、そこには――

銀色の髪に、透き通るような青い瞳を持った少女（の姿をした何か）が、宙に浮いていた。

「誰だお前！？　ていうか勇者！？　候補！？　え、俺チート持ち！？」

『落ち着いてください。私は風の上位精霊、シルフィエル。

　本来は契約に数百年はかかる存在ですが……あなた、なかなか波長が合いそうなので即契約でいいですよ』

「即契約って軽っ！？ しかも俺、特に魔力とかないぞ？」

『いえ、ありますよ？ だって転生者ですもん。鑑定しますね。』

すると、目の前にステータスウィンドウが出現した。

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【ユウト】

•種族：人間（転生者）

•特性：超魔力循環体質、精霊親和性S

•スキル：

　・精霊契約（全属性）

　・魔法無詠唱

　・ステータス自動成長（戦闘でレベルUP）

　・パンがうまい（？？？）

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「なんだこの最後のスキル！？」

『パンがうまいスキルは、パンを食べた時にHPとMPが全回復します。パンさえあれば不死身です。』

「チートかよ！」

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第2章：契約したら世界がやばかった（テンプレ）

契約を結んだ瞬間、シルフィエルが俺の右手に宿った。

どうやら、精霊ってのは「人の魂とつながることで現界する」らしい。

すると、どこからともなく神託が届く。

『この世界は滅びかけている。勇者よ、魔王を討伐せよ』

「おい、急展開すぎない？」

『だいじょうぶです！ ユウトさんは私と契約したので、魔王とも互角に戦えます！』

「互角かよ！」

でも、やってやろうじゃないか。せっかく異世界来たんだ。

ブラック企業で社畜やってた人生よりは、100倍マシだ。

それに――

『あなたのような人が来てくれて、私は本当にうれしいです』

そう微笑むシルフィエルを見て、俺はこの世界で生きていくことを決めた。

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最終章：そして、勇者はパンを食う（テンプレ）

それから数ヶ月後。俺とシルフィエルは、仲間たちと共に魔王を倒した。

世界は平和になり、人々は俺を英雄と呼んだ。

でも、俺は言ってやった。

「いや、俺はただの転生者だ。パンを食ってただけだよ」

人々は笑った。パン屋は俺の像を作った。

スキル《パンがうまい》が、世界を救った瞬間だった。

そして俺は、精霊シルフィエルとともに旅を続ける。

次のパンを、探すために――。