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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
2部 目指せスローライフ!? 5章 ダンジョンアタック・・・?

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9話

―森へ来てみたが、何だか困ったことになった。

森に入ったばかりであるはずなのに、迷ってしまった。


森の雰囲気もいつもとは異なり、霧で包まれている。


―この森、こんな感じだったか?

いつかのような嫌な感じはないが、行けども行けども同じような景色が続く。


「―俺はボアを狩りに来たんだよな?」

こんな変な場所に来た覚えはない。どこだここは?


何だか生えている木もいつも見ているような、いかにも広葉樹といったありふれた木々とは異なり、うねうねと曲がりくねった形をしているものがあったり、地を広く這うようなものもある。


―これは明らかにおかしい。

一旦(いったん)森の入り口に戻ろうとしているが、今森のどの辺りにいるのかさっぱりだ。




そうして俺がしばらく森の中をあてもなく歩いていたときのこと。


「―イシュゼル、この森、何だかおかしいわ。」

何か女の声が聞こえて来た。


―イシュゼル

その名前には聞き覚えがあった。


「リーナ、いつもこの森はこんな様子じゃあないんだ。普通の森なんだ。どうも俺たちは迷っちまったらしい。」

間抜けな声でそんなことを言う男がいるようだ。


―どちらから聞こえる?あっちか?

俺は声の方へ進むことにする。


―いた。間抜けな顔の男をした男と、女の二人組だ。

俺はしばらく二人の後をついて行くことにする。


「リーナ、すまない、だが分かってくれないか?俺は君をこんなところに連れてくるつもりじゃあなかったんだ。本当だよ?愛しいリーナ。」


「―イシュゼル、構わないわ。私貴方となら、どこへでも行けるわ。」


――俺は一体(いったい)何を見せつけられているというのか?まさか幻覚か?


二人の乳繰り合いを冷静に観察しながら、後をつけていくことにする。


と、


ガサッ

―しまった。音を立ててしまった。


「誰だ!?」

イシュゼルの雰囲気が一変する。


「―出てこい。」

イシュゼルが静かな声で言う。


―やれやれだ。

「すまんな、邪魔するつもりはなかったんだ。」

俺は茂みから姿を現す。


「―おまえは誰だ?」

リーナと呼ばれた女を庇うようにして前へでるイシュゼル。


「俺か?俺はイシュバーン。・・・ただのイシュバーンだ。貴様は?」

およそ目の前の人物が誰であるのかは分かっているが、あえて確認することにする。


「―俺はイシュゼルだ。イシュゼル・ヘイムという。どうしてこんなところにいる?」

イシュゼルは警戒を解こうとはしない。


「それはこっちのセリフだと言いたいところだが・・・。森にボアを狩りに来ていたのだが、いつの間にかこんなところに迷いこんでしまったらしい。貴様がここにいる理由を聞かせてもらおうか?」


「俺は訳あって・・・冒険者!そう、冒険者をしている!!」


―何だかとってつけたような言い方だな?


「―それで?」

俺はイシュゼルに続きを促す。


「依頼の一環で森に来たら、何故かこんなところに来ちまったらしい。イシュバーンとやら、帰り道を知らないか?」


俺は女の方をちらっと見る。女の方も戸惑いを隠せないようだ。


「―駆け落ちか?」

俺はニヤリと笑う。状況からおおよそのことは推測できる。俺の爺さんの考えそうなことだ。


「うるさい!お前には関係ない!」

イシュゼルが大声で言う。


「―とにかくここを出るぞ。話はそれからだ。」


「あ、ああ。だがどうやって?」


「まずは川、あるいは水の流れのある場所を探すんだ。それを辿って行けば人里へ着くはずだ。」

このような森で人が集落を作る場合、きっと水場の近くであることが多いだろう。


「水、川か。リーナ、そんな場所をここまでに見たか?」


「え、ええ。確か・・・。」

リーナは何かを思い出そうとする。


俺は魔眼を使用する。

―だが、周囲には水の流れやそれらしいものは見当たらない。


「・・・思い出したわ!ここに来る前に水の流れる音を聞いた気がしたのよ!」


「本当か!?そっちに行ってみよう!」

イシュゼルがリーナの手を掴む。


「ええ、私の愛しいイシュゼル・・・。」


―抱き合う二人。

と、それを横で見る俺。


「・・・おい、そろそろいいか?」

俺はいつまでも抱きしめ合う二人に声をかける。


ぱっと二人は離れる。


「あ、ああ。イシュバーン。そうだな、行こうじゃあないか。」

「え、ええ、そうね!」

二人ともバツが悪そうにする。


―やれやれ。

俺は先を行く二人の後をついていくことにした。

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