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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
2部 目指せスローライフ!? 4章 公爵家

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19話

「イシュバーン様。―それは。」

・・・真剣な顔をするセバス。


「―それは?」

ゴクリ。思わず唾を飲み込む。


「・・・腹上死です。」


―フクジョウシ?


「まさか、あのフクジョウシか?」

あまりのことに呆然としてしまう。


「はい。その腹上死です。」


二人の間に微妙な空気が流れる。


「・・・坊ちゃん、こちら本日の昼食です。」

セバスが眼鏡の位置を調節しながらこちらに手渡す。


「・・・ああ。」

俺はセバスから手渡されたバスケットに入った昼食を受け取る。


「―それでは私めはこれで。」

そう言うとセバスはさっさと別邸の方へ戻って行く。


黙って俺は誰もいない食堂でパンを口にする。

今日の昼食は割とメニューによく出てくる、何かの鳥の肉の肉増し増しとパンと何かの野菜である。豊富な栄養を持つ食事であることは一目で分かるが、まるで今の俺の心の中を表すようにぱさぱさとしている。


あのとき俺の爺さんの部屋で見た公爵家のご令嬢だという女性は、どことなくラズリーに似て、可愛らしい容姿をしていた。しかし、よく考えれば俺の爺さんなんぞの毒牙にかかるはずがないだろう。


「―単なる爺さんの横恋慕か何かだろうさ。」


もしゃもしゃと昼飯を平らげるが、やはりほとんど味はしなかった。




おかげでいい感じに頭がピンク色から離れることができたようだ。


「まあ、何か夢でも見ていたのだろう。」


ラズリーの家に招待されたのは、単に公爵から俺へ(ねぎら)いの意味があっただけだろう。

護衛もその労いの一環で、すぐに正式な者がラズリーの護衛に付くはずだ。

そして。


―まだまだ俺は弱い。

模擬戦をするわけではないが、鍛錬を怠れば、どんどん強くなっていくハーヴェルに後れを取ることになりかねない。


アイリスやプリムもどんどん力をつけていく。ルディですら、エミリーをハーヴェルに取られて、怒りに任せてハーヴェルを打倒しようとするのだ。


それどころか、学院には本来退場するはずだったセフィリアやラズリーといった才女もいる。


イシュバーンのポテンシャルは彼らに比べてお世辞にも高いとは言えない。


―鍛錬だ。鍛錬を怠るわけにはいかん。


「白い蛇が何だと言うのだ。まぐれとはいえ、フレイムサラマンダーにも勝てたのだ。あれより強い敵がいるとは思えん。」


―森に行こう。

何ならあの蛇を探しに行ってもよい。そうだ。俺はイシュバーン。俺に怖いモノなどない。




――しかし、意気込んで森に来てみたものの、特に森に変わった様子はない。


こちらの気分が乗っているのに、森はいつもの生命に溢れる様子を見せている。

俺はレーダーを使用して周囲を調べてみるが、ボアが何と3匹も近くにいた。


―不思議な術じゃ


!?

なんだ?今何かが頭に響いたぞ?


―どこだ?どこにいる?


だが、周囲を目で見ても、レーダーを放射しても何もいない。念のため、周囲の木々の上を探ってみるが、特に変わった様子はない。


「おい!見ているんだろう!出てきたらどうだ!?」

俺は叫んでみることにする。


フレイムサラマンダーが現れたときとは逆に、森の様子は生命で満ち溢れている。


「・・・帰るか?」

客観的な森の状態から判断すると、特に危険はないと思われる。だが、奇妙なことが起きていることも確かである。


―何じゃ、帰るのか


――まただ。やはりいる!間違いない!!


ふと、俺の周囲一帯だけ日陰になっていることに気が付く。そんな時間ではないはずだ。


―まさか。いつの間に。


頭上を見上げると、巨大な蛇が、すぐ真上の木を覆うようにして俺を見つめていた。



ッ!!!

俺は瞬間的に横に避ける!


―気が付くのが遅い。・・・何度も食うてやる機会はあったのだぞ。


蛇は悠々としており、こちらを襲ってくる様子はない。


―ちょうどよい。(なんじ)を試してやろう。乗り越えることができれば良いものをくれてやるぞ?


「ふん、蛇程度がこの俺を試せるなどとは、俺も見くびられたものだ。」

もちろんハッタリである。


―ふっふ。言いよるわ!


蛇の腹が大きく膨らむ!!


―ブレスか!?

俺はいつでも迅雷で回避できるように集中する!!!


――ヴェッ


すると、蛇は巨大な丸い岩?を吐き出したのである。

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