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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
2部 目指せスローライフ!? 4章 公爵家

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17話

「さて、朝食も食べたし、公爵に挨拶だけして帰ろうと思う。」


俺がそう言うと、ラズリーが少しびっくりした様子だった。


「どうした?ラズリー。」


「・・・イシュバーンって意外と常識あるのね?」


「―お前は一体どういう目で俺を見ているんだよ?」

さすがに俺でも礼くらいは言う。


「―っと。そういや、ラズリーの護衛について公爵から詳しいことを聞けていなかったな。」


あの日は公爵も俺も酒を飲んでいて、何を話したのかあまり覚えていない。しかし、内容のない無駄話だったということだけは確かだ。


「―忘れてたでしょ?」

ラズリーが目を細める。


「とんでもない。金貨が出る仕事だからな。」


「・・・それだけ?」


ラズリーは随分と可愛らしい態度を取るようになったが、それに対してどう接するのが正解なのか、正直分からないところがある。


「さあな?」

とりあえず、その場をしのぎにかかる。


「あ!ごまかしたんだ!?」


まったく勘弁して欲しいと思う。

――そんなやり取りをしていると、


「おはようございます、イシュバーン。朝はもう食べたの?」

公爵夫人が朝の挨拶をする。


「ああ、実に美味しく頂いた。公爵は?礼を言おうと思うのだが。」


「あの人はまだ起きてはこないわ。もう帰るつもりかしら?」


「そうだな・・・。少し家でやることもある。だが、公爵には仕事の件も詳しく聞けてはいない。」

むろん、家でやることとは、鍛錬のことである。


「娘の護衛の件ね?大したことじゃないのよ。ただ少し、娘の様子を見る機会を増やして欲しいだけ。」


「ああ、それは構わないが・・・。それだけか?」

さすがにそれだけというわけではないだろう。


「そうね・・・。そうだ、たまにはお茶会に来てよ!」

ラズリーが少し考えた後、元気な声で言った。


―お茶会?お茶会ってあのお茶会か?貴族が集まってするというあれか??


「・・・お茶会ってあのお茶会か?」

俺はラズリーに確認する。


「そうそう!たまにセフィリアとお友達と一緒にやってるの!」


―重い。凄まじい重さだ。急にこの護衛という仕事が存在感を放ってくる。


「・・・ルディを呼んでもいいか?」

こういうときに頼れるのは我が心の友しかいない。


「うーん、どうかしら。緊張させちゃうんじゃないかなあ?」

首をかしげるラズリー。


―俺は? 俺は緊張するとは思っていないのか、こいつは。


チラッと公爵夫人の方を見ると、ニコニコと微笑んでいる。


―なんだ、これは。俺に行けと言うのか?お茶会に。


「・・・分かった。」

―とてもではないが、断ることができる雰囲気ではない。


「うん!また連絡するね!」

ニコニコするラズリー。


「娘の護衛の件はまたあの人に聞いておくわね。娘に伝えておくから、また後で聞いてちょうだいね。」


「そうだ!ねえ、今度は私がイシュバーンのおうちに泊まりに行っていい?」


――さらりととんでもないことを言うラズリー。


「―ラズリー、落ち着け。俺は既に侯爵家からは廃嫡されている。嫁入り前の娘が泊まりに来て良いわけがないだろう?」

俺は努めて冷静に答える。


―チラッと公爵夫人を見る。

相変わらず公爵夫人はニコニコとしている。


「いいじゃない!減るもんじゃないんだし!もし不安なら、ソフィアも連れて行くわよ?」


―どういう思考回路をしているんだ、こいつは。

女が増えることで何がどう不安が減るというのか?むしろアレがナニする要因が増える。


「ラズリー、そういう問題ではない。」

俺は努めて優しくラズリーに言う。


「お父様にも確認しないといけないのね?」

むむっという顔をする。


―いやいや、そうじゃない。

だが、ラズリーに上手く説明する方法が分からない。


「そうだな、公爵の許可をとる必要がある。」

もはやどうにでもなれだが、さすがに大事な嫁入り前の娘を、下位の、しかも廃嫡された男の家に寄越す親はいないだろう。


「・・・イシュバーンって意外と常識があるのね?」


おやっ?といった表情で、娘と同じことを公爵夫人が言うのだった。

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