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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
2部 目指せスローライフ!? 4章 公爵家

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5話

離れに着いてから、俺はふとセバスからの頼まれごとを思い出した。


―そういえば、ボアのステーキを頼まれているんだっけ?


フレイムサラマンダーや謎の影といった人外すぎる敵を相手にしていたので、すっかり忘れていた。


幸い、今日は予定が何もない。

セバスには来週中と言ってあるが、今日取りに行くのでも問題はないだろう。



そういうわけで、森へやって来た。

今日の森の様子はいつもと変わらないようだ。

鳥の鳴き声が聞こえており、森は生き物の気配で溢れている。


―これなら問題はないだろう。


俺は森へ入って少しのところでレーダーを使うことにする。


―いた。

ボアは俺のいる場所のすぐ近くで見つかった。


大体、ボアが見つかる場合、今いる場所のような森の浅い場所で見つかることが多い。


森の深い場所にまで踏み込んだことはあのフレイムサラマンダーとの戦闘のときが初めてである。だが、あんなものがうようよしているのであれば、森の奥へ立ち入るのは慎重にならなければならない。


―久しぶりにサンダーボルトを使ってみるか。


「天に住まう神イシュヴァルよ、その名において我は命じる。唸れ!サンダーボルト!」


バチバチッという音とともに、電撃がボアに飛んでいき、ボアに命中する。


「ブェ!」

短いボアの悲鳴が聞こえ、どさっとボアが倒れる。


あまりにも簡単に倒すことができるので、少しボアに申し訳なく思う。

かといって、森の奥で狩りをするのは少し躊躇われる。


―そういえば、ダンジョンがあったよな?

ヘイムの別邸の近くにはこの森の他に簡単なダンジョンがあるという話だったはずだ。

そこへ行くのはどうだろう?


もはや物語は俺の知っている「魔法王国エルドリア」というゲームの展開からは外れており、今後このイシュバーンにとってどんな展開が待ち受けているのかは想像もつかない。そのため、できるだけ自分自身を鍛えておく必要があるのだ。


「―どんな敵が来ようがこのイシュバーンの相手にはならない。」

そんなセリフがいえるように。


そんなことを考えながら、俺はボアの血抜きをさっさと終え、ズタ袋にボアを入れる。


これを持って別邸に行けば俺の親父と弟のイシュトと鉢合わせるかもしれない。そしてそれは面倒極まりないことである。


「あの二人はお小言が大好きだからな。」

人知れず俺は苦笑いをする。


食事どきになればメイドが夕食を持ってくる。その時にボアのことを伝えて取りに来るように言えばよいだろう。


そうして俺は森を出ようとすると。


―何かの視線を感じた。


なんだ?どこだ?

俺は咄嗟にレーダーを使う。視線を感じる距離ならばレーダーで探知可能であるはずだ。


しかし、見渡す限りにおいて、何もいない。

見渡す限りにおいて?


―木の上か!


そう思い、少し離れた場所にある木々の間を見上げると。


白い大蛇が少し離れた木の上からこちらを見ていた。かなりでかい。蜷局を巻いているので正確な大きさは分からないが、おそらくその長さだけならフレイムサラマンダーを余裕で超える!


「・・・敵か?」

だが、その視線から敵意は感じられない。


すると、その白い蛇は興味を失ったように去っていった。


「―ふう。」


あれは魔物だろうか?いや、あるいは森の主的な何かかもしれない。


「やはりボアを狩りすぎているのかもしれないな。」


あるいは、この前盛大にフレイムサラマンダーとドンパチしたので、こちらに興味を持たれてしまったか。

いずれにせよ、何らかの森からのサインと考えるべきだろう。



離れに戻り、しばらくすると、今回はセバスが夕食を持ってきた。


「坊ちゃん、お疲れ様です。しばらく学院はお休みですか?」


「ああ、そうだ。しばらく学院は休みだ。ボアを持ってきてやったぞ。ちょっと待っていてくれ。」

そう言うと、俺は台所に放置していたボア入りのズタ袋を玄関まで取りに行き、戻って来る。


「ありがとうございます。坊ちゃん。ご当主様も喜びましょう。」


「セバス、しばらくボアを取りに森へ行くのはやめておこうと思う。」


「どうかされましたか?」


「ああ、森で大きな白い蛇を見た。あれはあの森の主かもしれない。もしかするとボアを取りすぎているやつがいるので、見に来たのかもな。」

俺は思っていることをそのままセバスに伝える。


「白い蛇・・・ですか。」

神妙な顔になるセバス。


「セバス、何か心当たりがあるのか?」


少し気なる反応だ。


「いえ、イシュゼル様。坊ちゃんのお爺様も同じことを言っていたと思い出しまして。」


「俺の爺さんが?」


「ええ。どうやら、森の綺麗な湖でそのような大蛇を見たという話でした。ですが、あの森にはそんな湖は存在しないはずなのです。」


「それ以上は何も聞いていないのか?」

俺はセバスに確認する。


「―ええ。残念ながら。」


気になるといえば、気になるが、如何せん情報が少ない。

むやみに近づくべきではないだろう。


「俺はしばらくダンジョンの方に行ってみることにする。」

当初の方針をセバスに伝える。


「ダンジョンですか。承知しました。坊ちゃんなら問題ないでしょう。」


「俺の実力を疑わないのか?」


「―ええ。普通の御仁であれば、サラマンダーを狩ることはできないでしょうから。それでは私はこれで失礼します。」


そう言うと、セバスはボアを持って別邸の方に帰っていった。

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