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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
2部 目指せスローライフ!? 4章 公爵家

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3話

ラズリーから語られたことは以下の通り。


グラウス・バルモンより学院の見学をしたいという申し出がセフィリアにあり、セフィリアだけでは心配だからとラズリーも一緒にどうかという話になったこと。


学院の門は開いており、堂々と正面から入ることができたこと。


教室までグラウスを案内したこと。


その後、謎の黒い集団に囲まれたこと。


それから意識を失い、その後イシュバーンに起こされるまでは、二人とも意識を失った状態であったこと。



俺も具体的にセフィリアとラズリーがどのようにしてあんな状況になったのかという経緯までは把握しておらず、今初めてそれについて聞くことができた。


「―なるほどね。ラズリー、その黒い集団について心当たりはあるかい?」

レグルスは自分のモノクルの位置をわずかに調節し、ラズリーに質問する。


「・・・ありません。何故あんな場所に現れたのか見当もつきません。」


「グラウス・バルモンはどうなった?」


「・・・気が付くと消えていました。」


「セフィリア、本当かい?」


「え、ええ・・。(わたくし)はラズリーよりも早く意識を失ったので、グラウスの行方については分かりませんわ。」


「ふむ。ガレリア、どう思う?」


「―そうですね、まずグラウスの行方が気になります。」

ガレリアがレグルスに意見を述べる。


「―ふむ。イシュバーン、君はグラウスの行方を知っているかい?」

レグルスは再度自分のモノクルの位置をわずかに調節し、今度は俺に質問してくる。


「俺が知っているはずはないだろう?」


すると、ピクッとレグルスが反応する。


―何だ?今の反応は?


「・・・なるほど。ではイシュバーン、君はあの黒い集団に心当たりはあるかな?」

急にレグルスの雰囲気が鋭いものに変わる。


「ないな。俺は単に通りすがりだ。屋上で寝ていた帰りにセフィリアとラズリーを見つけたにすぎない。」


「―ふむ。それではイシュバーン、君はそれらの仲間だったりするかい?」


「仲間?見てもいないどこの馬の骨かも分からん連中の仲間などあるはずもないだろう。」


「・・・ふむ。ではその連中と交戦したりとかはしなかったかな?」


―さっきから何なんだ?


「―いい加減にしろ。俺は連中のことなど何一つ知らん。」


「ラズリー、君はイシュバーンの言っていることをどう思う?」

再度モノクルの位置をわずかに調節するレグルス。


「え、ええ。私もイシュバーンの言っていることは本当だと思います。」

戸惑うラズリー。


「なるほど・・・。ガレリア、君は何か気になることがあるかい?」


「―いえ、私の方は何も。イシュバーンには後で屋上で寝るなと言っておきます。」


「三人とも事情は大体分かった。また何かあればこちらから連絡をする。特にセフィリアとラズリーは、休暇中は家の方でゆっくりするように。」


そうして俺たちは学院長室を退室した。




「―いかがでしたか?学院長。」

三人が部屋を退室してしばらくしてから、ガレリアがレグルスに訊ねる。


「まずセフィリア君は完全に白だね。どうやら本当に最初から最後まで意識を失っていたらしい。」


「それでは、ラズリーは?」


「ラズリー君の説明もほとんどは白。しかし、彼女はセフィリア君と異なり、意識を失っていたというところは赤が出た。つまり、ある程度どのようなことがあったのかを見ているのだろうね。」

そう言うと、レグルスはモノクルを取り外し、グラスを専用の布巾でぬぐう。


「一つ聞くが、ガレリア。イシュバーン君という生徒は学年きっての落ちこぼれ、確かそういう話だったね?」


「―ええ、そうです。イシュバーンは、それは酷いものですよ。」


「―ふむ。その彼の話は赤だらけだ。」

レグルスはグラスから目を外さずに言う。


「・・・学院長、どういうことでしょうか?」


「そうだね。まず、彼はグラウス君の行方を知っているし、セフィリア君とラズリー君が遭遇したという黒い集団にも心当たりがあるようだ。けれども、その連中と仲間ではない。そして、彼らと交戦したのは、彼だ。あの大量の血痕を作り出したのはきっと彼だね。」


「―まさか。にわかには信じられません。」

ガレリアは唖然とする。


「ラズリー君もイシュバーン君の言っていることは真実という点では赤が出たよ。彼らには何らかの事情があるのかもしれない。公爵には私から報告しておくのが良いだろうね。国王には・・・どうしようか。面倒なことになるかな?」


「・・・その魔道具は凄まじいですね。」


「これも万能ではないさ。」

そう言ってレグルスはモノクルをケースにしまう。


そして、レグルスはパチンと指を鳴らした。

すると、引き出しが勝手に開き、その中から何かの書類を取り出す。


「ガレリア、イシュバーン君は確か、入学時の魔力適性は最低ランクの-(マイナス)だったよね?」


「ええ、そのはずです。彼が入学できたのは、侯爵家のコネだと聞いております。」


「―そういえば、ハーヴェル君との模擬戦。あれはどうだったかな?」

レグルスは書類を見ながら呟く。


「あれは、ハーヴェルが意図的に魔法剣を外したのではなかったのでしょうか?」


「―ふむ。何か引っかかるね。ハーヴェル君を呼んで確かめてみようか。それに彼、テレジア家と何らかの関りがあるね。といっても公爵に聞いても教えてくれそうもないか。」


「承知しました。それでは私は失礼します。」

そう言うと、ガレリアは学院長室を退室する。


「・・・面倒なことになったなあ。」

レグルスの独り言が部屋に木霊するのだった。

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