表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
2部 目指せスローライフ!? 4章 公爵家

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/205

1話

「模擬戦?」

何だ?ハーヴェルから模擬戦を申し込まれるなんてイベントは知らない。


だが、よくよく考えてみれば、今ラズリーとセフィリアが無事である時点でもはや原作からストーリーがずれている。

これからは俺の知らない未知のイベントがかなりあると考えるべきだろう。


――であればこそ、もっと強くならねば。


「なんだ?ハーヴェル。貴様、どういう風の吹き回しだ?」

とりあえず思ったことを口に出すことにする。


「おまえ、俺との模擬戦では本気ではなかっただろう。」


「本気?あれはまごうことなき俺の本気であった。」

ハーヴェルを倒すとかそういうことは一切考えず、魔法剣を回避する、ただそれだけを考えた偽らざる本気の迅雷である。確かにあのとき俺の迅雷は本気であった。


「あの魔法剣はお前程度には回避できない技だ。そのはずだった。」


――ふむ。魔法剣を回避されたことにプライドが傷つけられたのだろうか?


「魔法剣とやらについて俺は知らないが、必ず当たる攻撃といったものなのか?あれは。」

もちろん、魔法剣とはいえ、必ず攻撃が当たるような性質のものではないことを俺は知っている。


「いや、そんなことは・・・。」

ハーヴェルは言い淀む。


「であれば、たまたま攻撃が外れることもあるだろう。」


「そんなはずはない!あれはお前が何かの力を使って回避した!」


大声でハーヴェルが言うので、クラスルームの注目がこちらに集まってしまった。

こいつはこれが面倒なのだ。


「ハーヴェル。貴様のせいで皆がこちらを見るではないか。」

俺はハーヴェルに文句を言ってやることにする。


「あ・・・。いや、すまない・・・。」

ハーヴェルはどもるようにして言う。


常に一直線(いっちょくせん)であるのはハーヴェルの好ましい性格であるが、こういうときには勘弁願いたいものだ。


「模擬戦をして、魔法剣を俺に当てることができれば満足か?あれは人を簡単に殺すことができる技だと思うがな。」


これでも俺は面倒なことは避ける主義だ。


「いや・・・。そんなつもりは・・・。」

さらに言い淀むハーヴェル。


――カンカンカン

ゴングの鐘が鳴る。この勝負、俺の勝ちだ。


「大体、この間のランクマッチでは貴様のお得意の魔法剣とやらを使わなかったらしいではないか?他の者に使用しない技を俺に再度試すつもりか?」

俺はニヤリと笑う。


「・・・すまない。」


「では話は終わりだ。」

そう言って俺はホームルームに備えることにした。



今日は昼までであり、ホームルームが終われば、長期休暇に入る。だが、いつまでたってもホームルームが始まる気配がない。


原因は明らかである。隣のクラスルームのあれだ。ラズリーのクラスルームでは講師が集まって何か調査を行っているようだった。俺のクラスのホームルームの担当もそこに駆り出されているのかもしれない。ちなみに原作ではセフィリアとラズリーが行方不明になるので、この時点でホームルームは中止となるが、そんな様子は今のところなさそうだ。


俺はラズリーに予め自分たちが襲われたことを知らせるように、そして俺のことは聞かれたら答えてもよいと言ってある。セフィリアとラズリーを襲ったやつらがゼヘラの連中であれば、相手はあの影一人(ひとり)ではないはずだ。


「なあなあ。」

声をかけてきたのは、―ルディか。


「なんだ?ルディ。」


「おい、イシュバーン。隣のクラスの惨状を見たか?どうも昨日の夕方にセフィリア様とラズリー様が襲われたようだ。」

ひそひそ声でルディが話す。


「ああ、その件は知っている。なんせ、あの二人を見つけたのは俺だからな。」

これはいずれラズリーかセフィリアの口から報告されることだろう。


「そうなのか!?」

驚くルディ。


「ああ。その時には隣のクラスは既にあのような状態だった。」


「お前、そんな時間まで何をしていたんだ?」


「俺か?俺はいつもの屋上で少しばかり寝ちまってな。」


「お前、また屋上で寝てたのかよ。」


俺はこれまでに何度か屋上で寝て講義をサボることがあった。


「ああ、そのようだ。あの場所は寝るのにはちょうどいい。」

これは本当のことだ。特に夏は日陰があり、風が吹いていてとても気持ちがよい。


「それで、どうしたってんだ?」

ルディはこの話に興味があるようだ。


「何、血だまりの中に倒れている二人を見つけて俺が救護室に連れて行ったのさ。」

本当は途中にもっと様々なことがあったが、その様々な部分は省略する。


「ひょええ!お前も災難だったな、イシュバーン。ということはあの血の跡のようなものも詳しくはお前も知らないのか?」


「ああ。俺も詳しいことは知らない。」

そういうことにする。



「――ごほん。ああー、お前たち。早く席につけ。」

ホームルームの担当が戻って来た。


「おっといけね!」

慌てて自分の席に戻るルディだった。

2部を開始です!

定期更新していますので、しおり代わりにブクマ推奨です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ