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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
1部 転生した悪役貴族 3章 生贄イベント

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20話

「全く、役立たずめ。」


影から何かが現れる。


男か?

顔はよく見えない。ローブというより、あれも影だろうか?

黒い何か。先ほど倒した奴らと同じような姿であるが、少し異なる。非常に不気味な姿をしている。


「この俺が再利用してくれよう。―行け。」


すると、先ほどと同じように影から何か黒いものがせり上がってくる。


―なるほど。これはそうやって作られたものか。嫌な真似を。


すぐさま跳躍し、先ほどと同じように、突きを打ち込む。そして元の場所に戻る。


「ふむ。効かんか。」


パチッ

そいつは指を鳴らす。


―なんだ?


すると、後ろから悲鳴が聞こえた!

「・・・あ、が・・・!」


―しまった!

ラズリーの方に影が現れ、それが彼女の腹部を貫いていた!


転移魔法!?いや分身か??


「ではな。」


そうして、彼女をまさに影が包み込もうとする!


――させるかよ。


俺は咄嗟に魔力集中から魔力変換を行い、電撃を全力で影に向かって飛ばす!

バリバリバリッ!!


―バアン!!

という音がして影がはじけ飛んだ!


――何だこいつは?

こんな敵は原作では見たことがない。確かに人型であるが、影のような縁取りで境界が不明瞭だ。あれは本当に人だろうか?


「驚いた。―だがこれで終わりだ。」

すると、今度は俺の方向に向かっていくつもの影が伸びてくる!


もう一度魔力変換!

バチバチッ!!


こちらを取り囲もうとしてきた影を電撃でことごとく迎撃する!


「何だお前は?お前のようなやつがいるとは聞いていない。」


「さあな。貴様が襲っているのは公爵令嬢と王女殿下だ。護衛がいないとでも思ったか?」

ニヤリと笑う。


「むろん、その可能性は捨ててはいない。だが、王女の護衛は全て始末した。―であれば、そこの公爵の娘の護衛か。」


ズオオオッ

影は再度こちらに腕を伸ばしてくる!


バリバリッ!

―だがそれは俺には届かない。


こいつをどうすれば倒すことができる?迅雷は果たして有効だろうか?

決め手がない。急がなければラズリーが危ない。


しかし、今動いて魔力変換を解除することは危険だ。ラズリーとセフィリアが敵の手に堕ちる恐れがある。


魔力量も残り少ない。迅雷を放つ分の魔力は既にない。当然マナポーションを使用する余裕はない。


―せめて動きを止める手段があれば。



――その時だった。 場に複数の魔法陣が展開する。


「・・氷の女神・・・フリージアよ・・・その名において我は・・命じる」


「何!?」

やつは ラズリーに影を伸ばす!


―だが。

――させるか! 電撃で払う!


「・・凍てつく・世界よ・・・全てを・・美しく・・・閉じこめ、嗚呼・・」


「忌々しい!!」

影は焦ったように叫ぶ!


「・・・貴女は・・その手で優しく・・・包み込む。」


「おのれ!!!」

敵の焦りが伝わってくる。


―――やらせん!!!!

俺はラズリーに迫る影を全て滅する!!!!


「顕現せし・・世界は・・・コキュートス・・」




――凍てつく世界とはこのことだろうか?






辺り一面、もしかすると校舎ごと。

俺とラズリーとセフィリアの周囲を除き、氷の世界に閉ざされる。



―恐るべき威力だ。


「―やったか!?」


――しかし


「おのれ・・・。」

敵は体の半分を凍らせてなお健在だった。


やつの姿が消える!


影がラズリーの目の前に転移したその瞬間!!


―ラズリー!!!!!





「迅雷!!!!」

影に全力の迅雷を叩きこんだ!!!!!!






ズドンッ

「―む――ぐ――化物め――・・・ガッ!」

一瞬(いっしゅん)、影がこちらを見た気がした。


ドバッ!!!

影が爆散し、多量の血しぶきが舞う。



どうやら影は人であったらしい。

後にはボロキレになったローブと、おびただしい量の血が残されただけだった。


迅雷を放って硬直して動けないでいると、しばらくしてコキュートスが解除される。

「う・・あ・・イシュバーン・・・。」


ラズリーが小さく俺の名を呼んだ。


「ラズリー!」

俺はラズリーにポーションをあわててふりかける!


(いき)は?

あった。気を失っただけか。一安心(ひとあんしん)だ。



一応(いちおう)、イベントを乗り越えることはできたが、肝心のセフィリアは気絶したまま。


――これでは俺の活躍を知らしめ、セフィリアに恩を売るという当初の目的が果たせないではないか。


「全く、骨折り損のくたびれ儲けとはこのことか。」


既に魔力はとうの昔に底をついているはずだった。火事場の馬鹿力というやつだろうか?


とりあえず、気を失っているラズリーとセフィリアを救護室に運ぶことにするのだった。







「―ふう。」

救護室まで女の子二人を一人は背負って、一人は抱えて何とか持ってくることができた。


そのまま救護室に運んでから帰ろうとも思ったが、別の敵が現れるとも限らない。


「しょうがない。二人が目を覚ますまでここで待つか。」

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