20話
ランクマッチ当日。
既に俺たちは向かい合って、これから試合を行う、そんな時である。
「やあ。イシュバーン。今日に向けてしっかり準備はしてきたかい?」
ヒューヴァの手には俺と同じような模造剣が握られている。
「無論だ。」
俺は短く答える。
もちろん、ランクマッチに向けて特別準備が必要であったということなどない。
俺の手には模造剣、使用する魔法はサンダーボルトのみ。武術は使用しない。しかし、手を抜くつもりもない。
「はじめ!」
―先手必勝!
「天に住まう神イシュヴァルよ、その名において我は命じる。唸れ!サンダーボルト!」
電撃がヒューヴァに襲い掛かる!
―しかし。
「大いなる大地の神ゴラディスよ、そのそびえ立つ大地が敵を阻むだろう。アースシールド!」
俺が詠唱を始めると同時に、ヒューヴァも詠唱を行い、電撃がヒューヴァに襲いかかる直前、ヒューヴァの前にシールドが展開された!
シュウゥゥゥ
という音とともに、俺のサンダーボルトは土壁に阻まれてしまった。
ヒューヴァはサンダーボルトの対策を十分にしていたようだ。
―ならば剣で打ち勝つのみ。
「はあああああ!」
俺はヒューヴァに駆け寄り、大きく剣を上からふるう!
ガキンッ
これに対して、ヒューヴァは剣を横にしてしっかりと剣を受ける。
それから俺たちはちょうど、つばぜり合いのような形で硬直する。
「―驚いたよ、イシュバーン。君がここまで戦うことができるなんてね。―だが!」
ヒューヴァは剣を少し引き、素早く突きを繰り出してくる!!
俺はそれを剣でガードしようとするが、突きの威力でそのまま吹き飛ばされてしまう。
「――っっつ!」
まずいぞ、やつは既に詠唱に入っている!
「大いなる大地の神ゴラディスよ、我は敵を穿つ大いなる大地の槍が欲しい。アースランス!」
すると、岩の槍がヒューヴァの周りにいくつか現れ、こちらに飛んでくる!
魔力集中を使わない以上、模造剣で受けるしかない!
「うおおおおお!!」
なんとか1発、2発は無理やり剣で叩き、防御できた!
しかし。
「っっぐっ!!」
3発目を食らってしまう。
ぬうううううう、痛ってええ。
これが、アースランスの威力!もしかすると結界を貫通しているかもしれない。
――これ以上はやせ我慢だな。
「・・・降参だ。」
「当然だろう、イシュバーン。だが君にしてはよくやった。」
「―ふん、次は俺が勝つ。」
「イシュバーン。君には無理だ。」
「勝者!ヒューヴァ!!」
審判が大きく声を上げ、周囲からヒューヴァを称える声が聞こえたのだった。
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