表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
1部 転生した悪役貴族 2章 鍛錬

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/208

8話

「・・・で、あるからにして、魔力というものは個人の生まれ持った性質ということができる。故に、魔力の強さや魔力量は個人差がある他、属性もそれぞれ異なる。そして、扱い方も人によって得て不得手がある。属性による攻撃を得意とする者、属性による防御を得意とする者、特定の属性に限られるが回復を得意とする者、あるいは思いもよらぬ方法で魔法を扱うことを得意とする者。―聞いているのか?イシュバーン。」


「え?ああ、聞いている。」


―やべ、自分の魔力練習に集中していて全く聞いていなかった。


「それでは、私が述べた魔力の性質を再度言ってみたまえ。」


「あ、ああ。それはだな。魔力についてだ。」


「それは本講義のテーマだ。今、私が先ほど何を述べたか、再度言ってみたまえ。」


「確か、魔力は人それぞれだったか?」


「―もういい、君に聞いた私が馬鹿だったようだ。」


周囲からクスクスと笑い声が漏れる。


先ほどまで俺は魔力を目立たないように足に集中させる鍛錬をしていたので、講義の方は全く聞いていなかった。

まだまだ意識しなければ、せっかく集中させた魔力を持続させることは難しい。


俺の一旦(いったん)の目標は、意識することなく、たとえ講義を聞きながらでも魔力を持続することができるという状態にすることである。


まずは目立たない足から鍛錬し、慣れてくれば、手に魔力を集中することができるように鍛錬していくつもりだ。


だが、意識して魔力を持続させることはできても、一度(いちど)意識を外せば、魔力が霧散してしまう。そういったもどかしい状況が続いていた。



ガラン、ガラン。

講義時間の終わりを告げるベルが鳴る。


講義が終わると、講義室にいた生徒は次の講義室に移動する者や、演習室に移動する者など、皆、一斉(いっせい)に動き出す。


講義後、俺は講義室から出ようとすると、廊下の少し離れた場所にハーヴェルやアイリス、プリムといった一同(いちどう)の姿を見た。


俺との模擬戦以来、ハーヴェルの評価はうなぎ上りである。魔法剣は爆裂魔法の一種であるが、そのエフェクトも威力も凄まじい。「魔法王国エルドリア」で既に目にしている俺以外の生徒が見るのは、あの模擬戦が初めてだったはずだ。今やハーヴェルは魔法学院の注目の的だった。


俺とルディはいつものように購買でサンドウィッチとホットサンドを購入し、これまたいつものように屋上へ向かう。



「ちぇ、ハーヴェルのやつ、いけすかねえ野郎だぜ。」

サンドウィッチを食べながら、ルディが呟く。


「ハーヴェルは顔もいいし、腕もたつ。女子生徒が放っておかないだろうな。」


「おいおいおいい、イシュバーン。なんだ、そのおっさんなセリフは。あれか?ハーヴェルに負けて僧侶にでもなるつもりか?」


「アホか、ルディ。ハーヴェルなんぞ俺の足元にも及ばん。」


「・・・イシュバーン。俺はお前がどんな基準で他人を評価しているのか分かんねーよ。」


「なんだ、ルディ。お前もまだまだだな。」


――相変わらずホットサンドは美味い。


「そういえば、ハーヴェルとの合宿はどうなったんだ?」


「・・・ハーヴェルだけと合宿するんじゃねーよ。今週末にヒューヴァの別荘だとよ。」


「そうか。達者でな。」


「おいおいおい、イシュバーン。戦地に向かう戦士じゃねーんだ。もっとましな言い方しろよ。」


「なんだ、ルディ。今日はひどくナーバスじゃあないか。さては、合宿に行きたくないんだな?」


「しょうがないだろ、イシュバーン。ヒューヴァの方が爵位が高いんだ。呼ばれたら行くしかないんだ。俺なんざ、どうせハーヴェルとヒューヴァの引き立て役だろうに。」


「そうか、しょうがない。俺もお前について行くとしようか。」

そう言って俺はニヤリと笑う。


「それだけはやめてくれ、イシュバーン。大体、お前はハーヴェルに負けているのに、なんで相変わらずなんだよ。」


「それは、俺がイシュバーンであるからに他ならん。」


「・・・はあ。」


そう言って、ルディは一つ大きなため息をつくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ