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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
1部 転生した悪役貴族 2章 鍛錬

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4話

「いかがでしたか、坊ちゃん。」

別邸に戻ると、セバスが声をかけてきた。


「ああ。少し埃が積もっているようだが、掃除をすれば問題ないだろう。」


「そうでしたか。あの場所はあなたのおじい様のお気に入りでした。」


「だろうな。随分部屋の数が多く見えたぞ?」

そう言って俺はニヤリと笑った。


「・・・そのことについては、私からは何も。お食事はどうなさいますか?」


「すぐ行くよ。準備を頼む。」


「かしこまりました。」


そういえば、離れにいる間、飯はどうしようか?こちらにわざわざ食べにくるのも面倒である。


それに、弟と親父は、しばらくするとまたこちらに戻ってくる。離れにいる間は、弟と親父の顔を見る必要がない。それはつまり、俺が美味しく飯を楽しむことができるということでもあるのだ。


なんなら、自分でボアを取ってくるか?いや、毎日ボアの肉では飽きるからな。


食堂に行くと、傍に控えるセバスに聞くことにする。


「なあ、セバス。離れにいる間、飯はどうすればいい?」


「どう致しますか?イシュト様やご当主様のお顔が恋しいのであれば、こちらに食べに来られますか?」

目を細めてこちらを見るセバス。


―どういう意図だ、その質問は。


「・・・いや、離れで一人で楽しむとしよう。メイドに持ってこさせてくれ。」


「承知致しました。」



しかし、親父と弟がいないというだけで、これほど飯が美味くなるとは!


先日のサラマンダーの唐揚げも、ボアのステーキも絶品だったが、それは、俺がゆっくり食事を楽しむことができたからに他ならない。また今度狩にいこう。


飯を食いながら、これからのことについて考える。


原作では、イシュバーンは今ごろ意気消沈し、ひたすらにハーヴェルを恨む日々だったが、まあ、今の俺はそんなアホなことはしない。


むしろ、肩の荷が降りた気がする。これからは世間体にとらわれず、ただひたすらに鍛錬を重ねることができるのである。


貴族の社会は面倒なお誕生会や、お茶会、ダンスパーティーなど、とかくなんやかんやとイベント(余計なこと)が多い。そんなものに参加する意義を俺は到底見出せないのだ。


原作ではハーヴェルと決闘をあと2回ほどやるのだが、いずれもこちらから決闘を吹っ掛けたあげく、ハーヴェルにやられるのである。俺はハーヴェルに決闘を申し込むつもりはない。


直近のメインイベントといえば、魔法学院の学年序列を決めるランクマッチがあるが、これはハーヴェル、ラズリー、アウグスタの3人でほぼ決まる。俺は参加することがあっても、サンダーボルトしか使用しないつもりだ。


ちなみに、ランクマッチで上位に入ることができれば、他の魔法学院との対抗戦に出ることができるが、俺には興味はない。


この国には他にいくつか魔法学院があるが、ここ魔法学院アルトリウスが、最も位が高く、才能のある者が集まっている。他の魔法学院とわざわざ魔法を競うというモチベーションはあまりない。


もっとも、俺やルディは他の魔法学院に行ったとしても、ちょっとまあ、といった感じではあるだろうが。ルディはこれを聞いたら怒るかもな。


そんなことをつらつらと考えていると、いつの間にか完食していた。




「セバス、ほうきや雑巾はどこにある?」

俺は別邸へ行き、掃除の道具はどこにあるかとセバスに聞くことにした。


「おや、ご自分で掃除をされるつもりですか?今日も森に行かれるのでは?」


ちなみに、毎日毎日森に出かけているのを知っているのはセバスだけだ。


「ああ。魔法の訓練はしばらくの間、するつもりはない。」

セバスには魔法の訓練とだけ言ってあった。


「そうでございますか。掃除は後日メイドにやらせますが?」


「いや、さっさと自分でやる。もたもたしていると親父と弟が帰ってくるかもしれない。」


来年はイシュトが魔法学院アルトリウスに入学するのである。


「承知致しました。それではほうきと雑巾を持って参りましょう。少々お待ちくださいませ。」


―さあ、離れの館に引っ越す準備をしよう。


善は急げ、である。早く引っ越しするに越したことはないのだ。

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