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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
4部 たゆたう波音 12章 Snow Labyrinth

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4話

俺は息を大きく吸い込む!


ざぱーーーん!!!


――くっそが!!!冷てえ!!とにかく浮上しなければ!!!

大きく水の中を蹴り、海の中から顔を出す!


「――ぶはっ!!!くそっ!!あの女!覚えていやがれっ!!!」





ゾクリとした気味の悪い感覚があった。


何気なく、下を見ると、不気味に暗く揺らめく海中のかなり深い場所に大きな魔法陣が描かれるのが見えた。




―何だ?何が来る??

魔法陣から、大きな頭が出てくる。



「クジラ?」


よく見ると、鯨のような恰好をしているが、違う。大きさだけ考えれば、十メートル以上は軽くあり鯨のようであるが、実際の姿形はどちらかといえば、むしろ鰐のような形をしている。仄暗く揺れる海中にあってもそのボディーは黒く鈍く輝き、それはまるで海中を縦になって垂直に上がってくる一隻の潜水艦のようにも感じる。



ニタァ

・・・そいつが笑った気がした。


ソレが大きな口を開けると、クジラにはない巨大な歯が何本も見えた。


「・・・(ひと)噛みで終わるな、これは。」

一体(いったい)どんな生物か知らないが、ロクなものではないだろう。



——何てモノを召喚しやがる!!!



「・・・海で戦闘かよ。」

もちろん、海中はもちろん水中での戦闘はこれが初めてである。こんなことは全く想定していなかった。


魔眼を通じて、俺の足元をぐるりと円を描くようにゆったりと動くソレが見えた。

動きからして、狙いを定めて、こちらへ飛び掛かって来るつもりだろう。


もう一度大きく息を吸い込み、水の中へ―


―こうなったら先手必勝!

俺は大きく水の中を蹴り、水の中へ!


案の定、口を大きく開けて、こちらへ迫って来る!!


―お見通しなんだよ!

俺は再度大きく水を蹴り、その腹に回り込む!!


―くらえ!!

電撃を込めた拳で、その腹を叩こうとするが―


――ぐるんっ

そいつは大きな巨体をぐるっと回し、俺の背後に回り込む!!


そして大きく口を開けて迫って来た!!!


―まずいっ!!


おおおおおおおおおおおおお!!!

その口で今まさに嚙み砕かんとする、咢を手と足と全身を使って、そして更に魔力と闘気も振り絞り、何とか食い止める!!!


―いてええええええ!!!!

だが、泣き言を言っている暇はない!!


―食らいやがれ!!!

顎についた手足から思い切り電流を流し込むっ!!!!


ブシュウウっという鈍い音が聞こえてくる。

その顎の圧力が弱まると同時に、黒く血煙を上げているのが見えた。


―やったか!?

俺は水を蹴り、水上へ浮上する!!!


「―ぶはっ!!!」


―水の中の戦闘は正直きっつい!!!


大きく息を吸いこみ、もう一度潜る。

下の方を見ると、



―いない!?

どこに消えた???



すると、海中の更に深い場所からこちらへ猛スピードで迫って来る何かが見えた。



!!!?

そしてあっという間にこちらに迫り、



「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!」

不気味な声を響かせながら、大きく顎を開け、今まさに俺を食らわんとする!!!



―そうはいくか!!!

素早く回避する―


ゴウッ!!!

次の瞬間、大きな衝撃を体に受け、そのまま水の上に放り出された!!!


「~~~~!!!」

危ねえ!意識が飛びそうになった!!尾で強烈な一撃を食らったのだ!


空中で下を見ると、丁度、俺を噛み殺してやろうと大きく開けた口が見えた。


「・・・舐めるなよ!!」

しかし、俺は知っている。この形は俺の必勝のパターンであることを。


「食らいやがれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

瞬時に作成したできる限り魔力を込め、思い切り投擲する―――


ズンッ

それは大きく開けた口に刺さり―


ぐわっと大きな網を作るように雷切がソレの中で大きく放電する!!!


—さらに


「―迅雷!!!」

俺は空中で迅雷を繰り出し、そのまま水中へと瞬時に移動し、ドテッパラにぶちかます——



ぐにゃり、という弾力のあるゴムのような外皮を削る感触があった。水中で迅雷の威力がいくらか削がれたようだが、それでも拳を振り切ると、巨体を押し込むような感覚とともに、その反動で自身の身体も後ろに大きく仰け反るようにして水中を押し返される!!



水中で大きくバランスを崩し、一瞬上下が分からなくなるが、未だところどころに残る船の氷に反射された光を認識し、何とか水中での自分の身体の感覚を保持することができた。



ざぱーん!!!

水の中から顔を出すと、離れた所で、黒く焦げ付き浮いて動かなくなったソレを見たのだった。


「ふぅ~~~。」

大きく息を吐く。


とりあえず、水の中に居続けるのはまずい。船の中に戻らないと。





「・・・勘弁してくれ・・・。」


何とか船によじ上り、生きていることを実感する。



「つ、疲れた・・・。」

何度目かの戦闘で、こちとら既にボロボロだ。




――少し休憩を・・・

そうして、俺は目を閉じたのだった。

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