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2話

「魔法陣とは、魔力を込めて特定の陣を描くことで魔法の構築を完了する。そこに改めて魔力を込めることで、発動するもの。発動させるためには、魔力を込める必要があるが、新しく魔力を込めていては時間がかかることがある。そのため、予め魔力を込めておいた状態で保存するという技術がある。」


「魔法陣を構築するためには、起動、発動条件、方向、位置、発動を特定の図形、あるいは文字として組み込む必要がある。」


「魔法陣の中には、予め魔力が込められた状態で保存され、魔法陣に接触することで発動する、いわばトラップとしての役割を果たすものがある。代表的なものはダンジョンの中に存在する、転移魔法陣である。この転移魔法陣は、予め魔力が込められており、それに触れた者が、ダンジョン内あるいはダンジョン外へと転移する、というものである。転移魔法陣の魔力については未だ研究中であるが、闇属性が関係していると言われている。」


―ふむふむ。

俺はダンジョンに潜ったことはないが、転移魔法陣というものがあることは分かった。


「ふぁ。」

思わずあくびがでる。先ほどの模擬戦で疲れがたまっているようだ。


「聞いているのかね、イシュバーン。」


―おっと。

「当り前だ。」


「・・・では先ほど私が教えたことを説明してみたまえ。」


「ええと、魔力が込められた転移魔法陣はトラップとして機能する、だろ?」


「―それは私が述べたことの一部でしかない。しっかり復習をしておくように。」


魔法の種類すら1つしか使えないのに、魔法陣は俺にとって難易度が高すぎると思うのだが。


だが、幸い、この講義は演習こそあるが、試験は筆記で魔法陣を書くことが主なもの。つまり、実際に魔法陣を発動させることができなくとも、図と形さえ記憶しておけば何とかなるものだった。


「それでは簡単な魔法陣から紹介しよう。まずは、ファイアーボールの魔法陣から。」


そう言って、教師の男が黒板に器用に2つ図形を描いていく。


完成したようだ。


「たとえば、この魔法陣に改めて炎の属性を持った魔力を流し込むことで、皆さんがよくご存知の魔法、ファイアーボールが発動する。ここでは発動させては危険であるので、魔法の発動条件を限定してある。それでは実際に魔力を込めるところまでお見せしよう。」


そう言って、教師は片方の魔法陣に魔力を込めていく。

すると、黒板に描かれた魔法陣が少しずつその図系をなぞるように光を帯びていく。そして、全て図形が光によって改めて描かれた後、魔法陣全体が光を放ち、元の図形に戻った。


「このように、肉眼では、魔力が込められた魔法陣と込められていない魔法陣の区別をつけることが難しい。」


「それでは、どうするか?魔力が込められた魔法陣を感知するためには、改めて魔法陣に魔力を流し込めばよいのである。―このように。」


教師が魔力を込めた方の魔法陣に触れないようにして、慎重に棒を使い改めて魔力を流し込む。すると、魔法陣全体が改めて少し光った。


「だが、油断してはいけない。魔法陣には様々な発動条件を組み込むことができる。例えば、魔法陣に接触すること、一定時間が経過すること、そして魔法陣に魔力を加えることなど。」


「例えば、魔法陣の発動条件が接触や、時間経過であれば、この方法は有効であるが、魔力を込めることが発動条件であれば、この方法を使用することはできない。」


―じゃあどうしろってんだよ?


「だが、幸いなことに、魔法陣の発動条件を指定する図は予め決まっている。本講義を通じて、それぞれの発動条件を覚え対処できるようにすることも、本講義の目的の一つである。発動条件を指定する図は私がお教えしよう。」


まさかの、暗記ゲーだった。

って、そりゃそうだよな。そういえば、魔法は知識と実践による体系立てられた学問だ。


「基本的な属性魔法の魔法陣の描き方や、発動条件の組み込み方。そして、それらの魔法陣への対処方法。君たちにこの講義を通じて覚えてもらうことは、様々である。一つ一つ確実に身に着けていくように。」


ガランガラン。

教師はそこまで言うと、ベルが鳴る。


「今日の講義はここまでだ。ではご機嫌よう。」



「つ、つかれた。」

ルディが机に突っ伏した。確かに思った以上に、長々とした講義だった。


「ルディ、次の講義は何かあったか?」


「・・・今日はこれまでだったはずだ。購買に行きたい。何か甘いものが欲しいんだ。」


「ああ、確かに。そうしよう。」


そう言って俺たちは講義室を出るのだった。

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