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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
4部 たゆたう波音 11章 幽霊船

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1話

それからしばらくすると、海賊船から再び船がこちらに来るのが見えた。


「ガーランドという男とはどういう関係なんだ?」

こちらに来る船を見ながら、俺はレティに訊ねる。


「ガーランドは、ボクと同じセルペタの貴族の出なんだ。いわゆる幼馴染ってやつかな。」


確かに、ガーランドの立ち振る舞いなどには、海賊に似つかわぬ気品のようなものが感ぜられる。


「レティは昔からガーランドをよく知っていたのか。」


「・・・うん。でもある日突然見かけなくなった。実家から追放されたって。ボクも何があったのか、あまり詳しくは知らないんだけどね。」

こちらに近づいて来るガーランドの船を見ながら、レティは言う。境遇(きょうぐう)としては俺と似ているのかもしれない。



「――ところで、キミは泳ぐことができるの?」

レティは、眼下に広がる今はわずかな波音を立てるだけの暗い海を見る。


「もちろんだ。レティは泳げないのか?」

一応、人並みに泳げるし、何より今回は秘密のアイテムがある。


「いや、泳ぐことはできるけど・・・。」

そう言うと、レティは船の下に暗く広がる海を見て。


「こんなところでは泳ぎたくないよね・・・。」


当然、俺もこんなところで泳ぎたくはない。秘密のアイテムがあるとはいえ、海の下にはどんな化物がいるか分からないからである。


「・・・ラズリーさ、凄いよね。」

レティが急にそんなことを言う。


「どういう意味だ?」


「あんな船、ボクは、とても乗り込もうだなんて思えないよ・・・。」

そう言うと、レティは波間に不気味に漂う光の灯いていない船を見る。


「しかし、レティもあの船に行くのだろう?」


「それは・・・。ボクだってできればあんな船の中には行きたくないさ。でも、ガーランドをこのまま放っておくのも、ちょっとどうかと思ったんだ。」


「腐れ縁ってやつか。」


「・・・そこまでの関係じゃないんだけどね?でも、いいなあ、ラズリーは。こんなナイトがいるんだから。」

そう言うと、レティは悪戯っぽく俺を見る。


「俺は単なる護衛にすぎない。それにこの仕事、金払いが良いからな?」

俺は指先で丸のマークを作ってニヤリと笑う。


「じゃあ、お金を払えば、ボクも守ってくれる?」


―やけに俺に絡んで来るな?

だが、同時に二人を護衛することなど可能だろうか?


「・・・条件次第だ。」

俺はお茶を濁すことにする。


「・・・うん。」

そう言って遠くを見るレティだった。





「さて。準備は整ったかい?」

こちらの船に乗り込み、開口一番、こちらの準備の状況を聞いてくるガーランド。しかし、こちらが準備できようができてなかろうが、これからあの不気味な船に行くのだろう。


「ああ。もちろんだ。」

これに対して、ハーヴェルが答える。その様子から、やる気に満ち溢れていることが分かる。


「他の皆はどうだ?」

そう言うと、ガーランドは俺たちを見渡す。


「―問題ないわ。行きましょう。」

ラズリーが答えた。ハーヴェルとは逆に、少し緊張した様子である。


「――良し。それでは出発する。俺たちが使った船に乗ってくれ。」

そう言うと、ガーランドは、俺たちの船にちょうど横付けされた小舟を指さした。



そうして、俺たちはゆっくりと問題の船に近づいて行く。


だが、小舟から、あの不気味な船までどうやって上るつもりだろうか?先ほどガーランドがこちらの船に乗り込むときは、俺たちの乗る船から降ろした縄梯子を使用したが、あの船にはそもそも人の気配が全くない。


「どうやってあの船に乗り込むつもりだ?」


「こいつを使うのさ。」

すると、ガーランドはカギ爪のついた縄を取り出し、俺に見せてくる。しかし、少人数とはいえ、さすがにこんな縄一本では人を運べるとは思えない。


「縄一本はさすがに無理があるだろう。」


「問題ないさ。魔法があるからな。」


そして、問題の船に近づくと、小舟にその端をくくりつけると、ロープを器用に投げ、その縁に引っ掛ける。


「風の神エアリイよ。我ら、大空を舞う鳥のように我らも羽ばたくことを願う。より遠くへ、より高くへ。我らは大空をかけよう。フライ。」

すると、俺たちの身体がふんわりと浮くのを感じた。


ガーランドは自在にフライを制御できるようで、先に船の上まで飛んで行き、こちらに、上へ行くことだけを考えれば、フライが運んでくれるはずだと言う。



―上へ

すると、俺の身体はふんわりと浮き、空中をするすろと上がっていく。少しの間浮遊して、ハーヴェル、レティ、ラズリー、そして俺の順番で船までたどり着いた。

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