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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
4部 たゆたう波音 10章 波間にたゆとうもの

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18話

すると、向こうの方から、チッカチッカと何かの光が見えて来た。


「―待て。あれは何だ?」

その光は、海賊船と思われる船から発されているようだ。


「あれは―。電信信号!?・・・ちょっと待ってね。」

レティが驚きの声を上げる。そして、どうやら海賊船から放たれる信号を読み取ろうとしているらしい。


「レティ、もしかしてあれが分かるの?」


「―うん、ラズリー。ええと、そ、の、ふ、ね、に、ち、か、づ、か、れ、ぬ、よ、う、ちゅ、う、い、さ、れ、よ。その船に近づかれぬよう注意されよ。こ、ち、ら、は、が、ら、ん、ど。こちらはガーランド!?く、り、か、え、す・・・。」


「何か心当たりがあるのか?」

ガーランドという名にレティはどうやら何か思うことがあるようだ。


「うん。きっとガーランドってガーランド海賊団のことだと思う。・・・ここ数年で有名になった海賊団だね。人を商品として扱わず、むしろ奴隷船なんかを積極的に攻撃するから、義賊として扱われることも多い。けど、反面、財宝には目がなくて、それらには手あたり次第なことで有名なんだ。」


「・・・まあ、要するに海賊としての鑑みたいなものか。」


「—うん。海賊団の団長のガーランドを始めとして、その海賊団の連中はかなりの武闘派であるらしいんだ。でも、そんなのがその船に近づかれぬよう注意されよって言うのはどういうことなんだろう・・・?」


「あの船を見つけたのは海賊団が先なので妨害しないようにということでしょうか?あるいは・・・。」

ソフィアも海賊船から放たれる光を見ている。


「・・・海賊団でも手に負えない相手ってことかも。」

レティが少し顔を引きつらせる。


「俺たちの乗る船はどういう風に対処するつもりなんだ?」


「分からないけど、ボクはあんな変な船に関わるべきじゃないと思う。」


「私もレティに賛成よ。あの船は何だかとても不気味な感じがするわ。ソフィー、何度も申し訳ないけれど、どうするつもりか聞いて来てくれないかしら?」


甲板の船首の先の方には、数人の船員が緊張した面持ちで集まっている。同じように、電信信号を読み取っているのだろう。


「はい、お嬢様。かしこまりました。」

ソフィアはペコリとお辞儀をし、船員たちのいる方向に向かって行った。



その直後、少し周囲がどよめく。海賊船の方に何やら動きがあるようだ。


見れば、数隻いる海賊船のうち、その一隻から小舟が海に降ろされているようだ。もしかして海賊の誰かがこちらに向かってくるつもりかもしれない。


ソフィアは船員と未だ何やら話し込んでいるように見える。もしかして、この船としてもどのように対処するべきか決めかねているのだろうか。


「ねえ、あれ・・・。」

ラズリーはその様子をじっと見つめている。


「―ああ、どうやらこちらに近づいて来るらしい。」


「きっと海賊の誰かだと思うんだけど、どういうつもりなんだろう・・・。」


その小舟がこちらまでの距離を半分ほど進んだところで、ソフィアがこちらに戻って来た。


「ソフィー、どうだった?」


「はい、お嬢様。とりあえず今のところ、あの小舟に乗る海賊の話を聞くまでは、この場所で待機するようです。こちらの戦船には、私たちを含め魔法使いが何名か乗り合わせていて、海賊の方にも戦闘の意思はないとのことで、数名をこちらの船に乗せたとしても問題ないと判断したとのこと。現状では、あの救難信号を出し続けている船の方が緊急度が高いとして、万が(いち)あの問題の船が動き出した場合に備えて、船をすぐ動かせる状態にしておくそうです。」


「ありがとう、ソフィー。」



「—でも、海賊を船に乗せるのはどうなのかなあ?」

レティは船員たちの対応に今(ひと)つ納得いっていないようにみえる。


そして、それから数刻後、ついに海賊の乗るであろう小舟がこちらの船に到着したのである。

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