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16話

さて、そんなことがあってダンジョン探索の一日目が終わった。


「疲れたか?」

宿に戻って、俺はラズリーに訊ねる。


「―ええ、少しね?予想外のこともあったけれど。」

少し苦笑いをしながら言うラズリー。


「今日の食事はどうする?」

今日は食堂で食べるのだろうか?


「どうしよっか、ソフィー?」

ラズリーはソフィアに訊ねる。


「・・・申し訳ありませんが、人の多い場所は苦手です。」


「そうよね。じゃあ、今日もルームサービスにしよっか?貴方も私たちの部屋で食べる?」


「いや、見たところラズリーたちには休息が必要だ。大したことは起きなかったとはいえ、初めてのダンジョン探索だったのだろう?まだ休むには早い時間だが、二人でゆっくりしてくれ。」


「―分かったわ。ありがとう。」


「イシュバーン様、お休みなさいませ。」


「ああ、お休み。」

それから俺たちはそれぞれの部屋に戻ることにした。


―さあ、ここからが俺にとっての本番だ


まずは通路に準備しておいたテープを張り、さらに念のため、イベントの起きる場所まで行き、そこのフロアボスがいれば、それを倒す。ボスモンスターはゴブリンソルジャーだ。こいつが何かの拍子で魔法陣から召喚されており、そしてエミリーを攫うのである。


エミリーを攫った後、ゴブリンソルジャーはエミリーを抱えて、召喚魔法陣を再び起動させようとする。詳しい描写はなかったので推測になるが、おそらくはダンジョンのどこかの別の魔法陣と対になっており、二つの魔法陣の間を行き来できるのだろう。


まだ、夕方より少し前だ。夕食には少し早い時間帯なので、おそらくルームサービスが来るまでそれほど時間がかからないはず。


―ここで腹ごしらえをしてから行くか


程なくして部屋の扉がノックされ、ルームサービスが到着した。



「―さあ、行くぞ。」

俺は素早く飯を食い、ダンジョンの入り口まで来ていた。


目的地までの道は大体覚えているし、目印となる蛍石も配置済みだ。体力もまだまだあるし、魔力も充分である。


―さっさとひと仕事を終えて、今日は早く寝よう


俺は一人、ダンジョン内部へと足を踏み入れる。


カンテラを灯し、念のため魔眼を使用すると、発光草の光と相まって、ダンジョン内の詳細な様子が明らかになる。


―改めて見ると、広いな

俺のいつも入るダンジョンに比べ、このダンジョンは広大である。


「目的地は、あちらか。」

俺はついさっき通ったばかりの道を進むことにする。





「ケケケッ」

少し先から笑い声が聞こえて来た。


―何だ?

魔眼を使用すると、目的の場所付近で、ゴブリンが何かのトラップを設置しようとしているようだった。


―何のトラップかは知らないが


「食らえ。」

バチン!バチンッ!!


俺は魔力変換を使用し、電撃をゴブリンに浴びせる!


俺の高圧の電撃を受けたゴブリンはあっけなく文字通り爆散した。


「何のトラップだ・・・?」

見ると、トラバサミのようなものである。


―もしかして、エミリーはこれに引っかかったのか?

試しに空のポーション瓶をトラップの中に配置すると、バシッとトラバサミが閉じて、ポーション瓶を挟み込む。


「それほどの威力はないようだが、動きを鈍らせるのであればこれで充分だな。」


―念のため、トラップは回収しておくか

俺は持ってきたズタ袋にトラップを放り込み、


「あとは、ここにテープを張ってっと・・・。」

俺はテープを張り、『立ち入り禁止』と書かれた板をテープにぶら下げることにする。


「・・・これでよしっと。」


正直、どれほどの効果があるかは分からない。しかし、ここを通る魔法学院の学生に警戒させることぐらいはできるはずだ。


―先に進もう

既にフロアボスがいれば、これを倒して今日の仕事は終わりだ。



そして、難なく魔法陣が設置されている場所に到着した。


「・・・何も居ないな?」


すると、魔法陣がふわっと光を放ち、何かが魔法陣からせり出てくる!


途中まで顔を表したところでその正体が分かった。


―ゴブリンソルジャーだ!


大剣を持ち、おそらくは冒険者から奪い取ったのだろう、高級な防具を見に纏ったそれは、ニンマリと笑っている。


「―上等じゃあないか。」

俺も構える。一瞬で勝負をつけてやろう。


――だが

今度は魔法陣が強烈に光を発し―


「グ・・・ゲ・・・?」


ゴブリンソルジャーは一瞬に、縦に真っ二つになった。





―ガシャ


――――何か、来る


――ガシャ


――――アレは、何だ?


―――ガシャ


――――俺はそれを見たことがある


―――――ガシャリ


―――――だが、そんなはずはない・・・なぜならあれは・・・!


「ふはは。あまりに貧弱な者ゆえ切ってしもうたわ。」


そいつは、この世界の言葉ではない言葉で嗤った。だが、俺はその言葉を聞き取ることができる。


「―じゃが。おぬし。嗚呼、おぬしを一目見たときから、ひとつ、どうじゃと思うておったわ。」


山のような図体をしたソレは、俺に向かって言う。


「では、参る。――覚悟せい。」

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