表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
3部 見えるもの、見えざるもの 9章 合同ダンジョン探索

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

170/208

5話

「なあ、聞いてくれよ、プリム。イシュバーンが―」

ルディが口を開いたときのことである。


「まいった!まいった!!」

男の大きな声が聞こえてきた。


見ると、ヒューヴァが肩で息をしながら、跪いている。


訓練場にいた皆がその様子に注目する。皆が注目したのは、ヒューヴァではなく―


ゆっくり剣を降ろすハーヴェルだった。

ハーヴェルとヒューヴァの模擬戦を見ていたわけではなかったが、その様子からして、ハーヴェルがヒューヴァを圧倒したのは明らかだろう。


「なあ、プリム。ハーヴェルのやつ、また強くなってないか?」

ルディが言う。


「そうね。きっとこの学院で彼に勝てる人はいないんじゃないかな?」


「・・・ハーヴェルの奴、前の魔法学院対抗戦で敗北したのがよほど堪えたか。」

俺は肩で息をしているヒューヴァの様子を観察しながら言う。



「失礼ね!もしイシュバーンが試合に出てたら、きっともっと酷い結果になっていたわよ。」

口を尖らせるプリム。


ふと、殺気を感じて見ると、アイリスがこちらを思い切り睨みつけていた。


―くわばら、くわばら


「そういえば、プリム、どうしたっていうんだ?」

確か、ペアを替わるだの何だのという話だったような気がする。


「そうそう!アイリス、私とペアを交替しましょ。その様子だと訓練どころではないでしょ?」


「―そう。許可が出たのね。よかった。プリム、とても有難いわ。」

ほっとした様子のアイリス。


それは俺にとっても朗報である。以前はアイリスも俺のことなど、もはや相手にもしなかった気がするが、今回はやけに突っ掛かってきて非常にやっかいに感じていた。


「そういうわけで、イシュバーン、私とだからね?」

プリムが元気よく言う。


「―やれやれだ。」


「おい、イシュバーン。相手がプリムだって舐めていたら大変だぜ?」

ルディが言う。


「そういや、さっきまで地面に突き刺さっていた男がいたな?」

俺はニヤリと笑う。


「ひど!?」

ルディはショックを受けたようだ。


「―冗談だ。プリムよ。俺は、このルディよりも強いぞ?」

そう言って剣を持つ。


「え?何それ??そんな自信満々で言うことなの??」

プリムはとても困惑しているようだ。


「プリム。こいつはこういうやつなの。なんせこれまでハッタリだけで生きてきたようなペテン師よ。妙な技を使うみたいだけれど、真面(まとも)に相手をしちゃダメよ。」

アイリスがプリムに言った。


―余計なことを


しかし、アイリスやプリムがハーヴェルと共に鍛えており、現段階ではルディをも凌ぐのである。そのプリムを俺が剣の実力で上回るとは考え難い。


「・・・みんな、俺の扱いが酷いんだ・・・。本来なら、俺の方がイシュバーンより強いのに・・・。」

ルディがいじけてしまう。


「ルディ、元気を出して。私と訓練しましょう?」

アイリスがルディに手を差し伸べる。


「アイリス・・・。」

その手を握るルディ。


―おい、ルディ、おまえにはエミリーがいるのではないか?

さすがにチョロ過ぎると思うのだが、どうなのか?


そうして、アイリスに引っ張られながら、ルディは向こうに行ってしまった。


「・・・あいつは大丈夫なのか?」


「心配しなくても、アイリスならルディなんかに負けないわよ。」

呆れた様子で言うプリム。


「―いや、そうではなくてだな。」

俺はアイリスではなく、ルディの心配をしているのである。


「それじゃ、どういうこと?」


「・・・なんでもない。いいから、剣の訓練をするぞ?」


―俺がそう言ったとき。


「今日の実技はここまでとする。君たちの中には、既にかなりの上級者もいるようだが・・・。」

そう言うと、担当の教師はハーヴェルを見る。


「次回からはより基礎的な訓練をするからな。この後、合同ダンジョン探索について説明することにする。」


今回の剣の実技はここまでとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ