表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
3部 見えるもの、見えざるもの 8章 異界探訪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

161/199

16話

「始め!!!」

ディーンの合図とともに模擬戦が始まった!


「うおおおおお!」

ルディがいきなり声を出して突っ込んでくる!


―ボアかよ!!

その突進は確かに俺にボアのそれを思い出させた!


「うおおおおおおおおおお!」

ルディは剣を大きく振りかぶる!!


―だが、これなら受けることができる!

ルディの振り下ろす剣に対して、俺は剣を横にして受ける!!


ポキーーン


―は?

直後、ブォンっと俺の横を剣が通りすぎる!


――あぶねええ

咄嗟のことで回避するのが遅れた。剣を受けた分、軌道がズレたのが幸いした。


俺の模造剣は真っ二つになってしまった。


「待て、ルディ!剣が折れた!!」

俺はルディに声をかける!!


「うおおおおおおおおおおおおおおお!」

だが、ルディは聞いてはいない!構わずこちらへ突進してくる!


「おい、だから待てって!!」

しかし、ルディはこちらに突っ込んでくる!!


―エミリーがいるからか!

俺は短く舌打ちをする。


だが、すぐ目の前にルディが迫って来ている!!


―どうする?

このまま剣が折れている以上、このまま模擬戦を継続するのは困難だ。そもそもこの模擬戦の趣旨は、俺の剣の腕前を測定すること。これ以上の模擬戦の継続は無意味だろう。


―やむをえん!!


「だから俺の話を聞けと言っている!!!」


―ズビシ!!!!

突進してくるルディの横に素早く体捌(たいさば)きをして回り込み、その頭にチョップをかます!!!


「―許せ、ルディよ。」


「―あへえ?」

変な声を出して、ルディはその場に崩れ落ちた。



「んん!???」

ディーンの方を見ると、呆気にとられているようだ。


「・・・・」

エミリーは口を手で覆っており、そのまま硬直している。


「―すまないが、ポーションをもらえないか?」

たんこぶ程度で済んだと思うが、念のためポーションをふりかけておく必要がある。


「あ、ああ。そうだね!!」

すると、ディーンは慌ててこちらに来て、ポーションを渡してくる。


俺はそれを受け取り、ルディの頭にふりかける。血が出たりはしていないが、俺は入念にルディの頭にポーションをふりかける。


「―よし。」

これくらいふりかけておけば、内部にもポーションの効果は浸透するはずだ。


「ね、ねえ。大丈夫なの?」

おそるおそるといった感じでエミリーが訊ねてくる。


「ああ。おそらくはな。」

俺はエミリーに短く答える。


「それにしても、何があったんだい?」

ディーンもエミリーも困惑しているようだ。


「ああ。ルディの一撃で俺の模造剣が折れてしまったからな。これ以上は試合をする意味がないと判断した。正直、ルディにこのような馬鹿力があるとは思わなかった。」

俺は状況を説明することにする。


「いやいや、おかしいでしょ!急にルディが倒れたように見えたわ!」

エミリーが口を尖らせる。


今後、ハーヴェルに恋愛感情を抱く可能性があるとはいえ、さすがに今の段階ではルディのことが心配なのだろう。


「大丈夫だ、大した怪我ではないはずだ。」

俺はエミリーを安心させる。


「いや、そうじゃなくって・・・!」

エミリーが再び口を尖らせる。


「イシュバーン君、ルディ君に何かしたのですか??」

ディーンが難しそうな顔をして俺に聞く。


「何って、ただのチョップだが・・・。」


「ただの、チョップ???」

エミリーまでも難しそうな顔をする。


「そうだ。ただの、チョップだ。」

そこに嘘偽りはない。本当にただのチョップである。


「・・・イシュバーン君がそう言うなら、きっとただのチョップなのでしょう。」

ディーンが妙な言い方をするが、俺はそれ以上の説明をすることができない。


「うそよ!あなた、何か魔法を使ったんじゃないの?」

エミリーが妙なことを言い出した。


「おいおい、嘘も何も、何でこんな所で魔法を使わなければならないんだ?大体、俺が何の魔法を使用したというんだよ?」

俺はエミリーを見据える。


「それは・・・。」

エミリーは口ごもる。


「まあ、今回は剣を使った模擬戦だったからな。そういう意味ではルディに申し訳ない気もするが、そもそもコイツが話を聞かないのが悪い。」


要するに、俺の正当防衛のはずという主張だが、どうやらディーンもエミリーも納得していないようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ