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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
3部 見えるもの、見えざるもの 8章 異界探訪

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12話

そんな会話があって、ホームルームの後のこと。


「―ちょっと、イシュバーン。いい?」

俺に声をかけてきたのはラズリーである。腕組をしながらクラスルームの扉の所で俺を待っているようだ。


「ラズリーか。どうした?」

俺は彼女の待つ場所まで行くことにする。


「・・・ちょっと、こっちへ来なさいよ。」

そう言うと、俺の手を引っ張っていく。


「お、おい、そんな引っ張るなって、」

だが、そのまま俺はラズリーに引っ張られながらついていくことにした。


果たして、向かった先はいつもの屋上だった。ただし、今はいつもと違い、近くにルディがいない。


「―随分と急じゃあないか。何か急ぎの用か?」

俺はラズリーに何かあったのではないのかと確認する。


最近は特に護衛らしい護衛の仕事があるわけではないが、定期的に魔眼で周囲の様子を調べることはしている。


―だが、特に異常はなかったはずだが


「ほら、これ。この前の報酬よ。・・・ありがとね。」

そう言うと、金貨を一枚(いちまい)、こちらへ手渡してくる。


「特に何かしたわけではないが、いいのか?」

俺はラズリーを見る。


すると、ラズリーは目をふいっと逸らし、


「い、いいのよ。これはあの時のお礼も兼ねているんだから!それだけ!」

そう言うと、パタパタと屋上から去って行った。


確かに、あの時のお礼を兼ねているのであれば、正当な報酬と言うことができるだろう。


「・・・これで訓練場に行く金ができたな。ありがたいことだ。」


基本的に護衛の依頼といっても、いつも一緒にいることはしないし、送り迎えもラズリーの護衛の使用人がするので、それらも俺の仕事ではない。護衛とは、前回のように特別な用事があるときに直接ラズリーから依頼されるものであると俺自身は認識している。


「何かあれば、またラズリーから声をかけてくるだろう。」


ちなみに、仮に報酬が発生しなかったとしても、しばらくの間は魔眼を使用するなどしてラズリーの周囲に異常がないか調査するつもりでいた。しかし、こうして報酬が支払われた以上、もう少し入念に周囲を確認する方がよいかもしれない。


クラスルームに戻ると、大半(たいはん)の学院生は帰宅しているようだった。


―俺も帰るか。

そのまま俺も離れにまで戻ることにした。





帰ってから、今後のスケジュールについて考えてみることにする。


まず、訓練場の費用は月謝性のようであり、月に銀貨五枚。しかし、


「そういえば、訓練の頻度や時間について何も知らないな・・・。」

今度ルディに聞いてみるとしよう。


「今日は久しぶりに剣の訓練にするか?」

こうやって剣を触るのは久しぶりだ。


――ブンッ、ブンッ

俺は剣の素振りを行ってみる。


だが、素振りだけしていても、上達しているのかどうかはっきりしない。

セバスに頼むという手もあるが、俺とセバスでは剣の腕前に差がありすぎるのも事実だ。


「―やはり訓練場に通うべきなのだろうな。」


さすがに素振りもできぬほどの初心者というわけではない。剣の基本中の基本はセバスから教わってはいる。


「とりあえず、セバスに報告しておくとしよう。」


俺は別邸に向かうことにした。






「―はっ!それ!!」


別邸に向かうと、中庭の方から何やら威勢のいい声が聞こえてくる。


「イシュト様、上達しましたね。それでこそヘイム家の跡取りというもの。」

そう言ったのは見慣れない女性である。


―初めて見る顔だな

おそらくその女性がイシュトの剣の師なのだろう。


興味本位で中庭まで来てみると、イシュトが女性を相手に、剣の訓練を行っている最中だった。


―イシュトめ、剣に関してはかなり鍛えてきているな


俺の振るう剣よりも明らかに鋭く、そして滑らかであることが分かる。


イシュトもルディの婚約者であるエミリーと共に、合同探索に加わるのである。これは原作通りの展開だ。きっとそれに合わせて、親父もイシュトも別邸にまで戻ってきているのだろう。

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