20話
「―なあ、ルディ。幽霊って信じるか?」
いつものように屋上で飯を食っている中、イシュバーンがそんなことを聞いてきた。
「幽霊?幽霊ってあのお化けの幽霊か?」
俺は口を止めて、訝しげにする。
「そうだ。あのお化けの幽霊だ。」
イシュバーンはそう言ってホットサンドを一口。
「・・・イシュバーンでも怖いものがあったのか!」
イシュバーンでも怖いモノがあったと知って感動してしまう!
「おいおい、違うぞ、ルディ。例えばの話だ、例えばの。」
しかし、イシュバーンはあっさりと否定する。せっかく感動したというのに!!
「じゃあ、どういうことだって言うんだよ?」
俺は口を尖らせる。
「例えば、だ。幽霊というのは何だろうな?」
相変わらず、いつもイシュバーンの話は突拍子もない。最初は戸惑いもしたものだ。
「そんなこと俺に聞かれてもな・・・。」
お化けなんて見たことはないのだ。きっと見たらビビッて小便を漏らしちまう。
「まあ、それはそうだろうな。」
イシュバーンは頷いて、ホットサンドをまた一口。
「―なんかあったのか?」
俺は声を潜めて言う。何となくイシュバーンの雰囲気で何か幽霊に近いモノを見たのではないかと思った。
「ああ、実はな・・・。」
そう言うと、イシュバーンは休日に遭遇したという出来事について語りだした。
「男の子、ねえ・・・。」
幽霊ってそんなにはっきりと見ることができるものなのだろうか?
「ああ。そこにいたと思ったら突然姿を消しやがった。」
イシュバーンはまるで今見て来たかのように言う。
「分からないなあ。何かイシュバーンに用事があったんじゃないのか?」
幽霊がいるかどうか分からないけれど、イシュバーンの前にわざわざ現れたのであれば、それは用事があった以外に考えられない。
「だが、思い当たることはこれといってないんだよなあ・・・。」
そう言うと、イシュバーンは考え込むようにする。
「―きっとまた現れるんじゃないのか?」
イシュバーンに今思いついたことをそのまま言ってみることにした。
「・・・ああ、確かにな。」
その俺の一言に妙に納得した様子のイシュバーンである。うんうんと頷き、ホットサンドを全て平らげる。
「さて、午後の講義の準備だな。今回から剣術の講義も始まるんだ!」
俺はそう言って立ち上がる。
「随分とやる気じゃあないか?」
そう言うと、ニヤリと笑うイシュバーンだった。
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