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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
3部 見えるもの、見えざるもの 7章 見えるもの、見えざるもの

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15話

「ねえ、イシュバーン。そういや、ボク不思議に思っていることがあるんだ。」

レティがおもむろにそんなことを聞いてきた。


「―何だ?」


「あのね、学院のほとんどは君のことを評価していないのに、ラズリーなんかは君を評価しているように見える。君、何かボクたちに隠し事をしてるんじゃないかな?」


―別に何か隠し事をしているわけではない。


あのときのことを説明しようとすると、何故その状況が起きることを予測できたのかという話題になったときに説明するのが非常に面倒なのである。それに偶然俺がそのイベントが起きることを知っていたというのもあながち間違いではない。


「いや、隠し事をしているわけではないが。何故そう思う?」


「うーん、ボク、たまたまあの事件現場に通りがかっただけとかおかしいと思うんだよね。それにあんなにも血痕がクラスルームに残っていたのに、ラズリーとセフィリアは無事、残りの一人、確か公爵家の息子さんだっけ?が行方不明というのも色々辻褄が合わないんだよね。」


「・・・ならどういう話であれば納得するんだ?レティは。」


「そうだね・・・。それもよく分かんないんだよね。もしイシュバーンがラズリーたちを襲ったとしたらラズリーがあんなに君と親密になるわけないし、逆に事件を起こした相手をやっつけたのがイシュバーンなら、敵の出現を何らかの方法で予測していたことになる。でもイシュバーンが敵側なら、何のために自分の味方である敵をやっつけたのかということになって・・・。」


そこまで言うと一口料理を食べて、


「結局やっぱり偶然以外に有り得ないんだよねー。」

そんなことを言う。


「だから言っているだろう、偶然通りがかっただけだと。」

俺は改めてレティに言う。


「君はどう思うの?ルディ。」

レティはルディに話題を振った。


「また急だなあ。俺にはイシュバーンがあんな血痕を残すようなことができるとは到底思えないよ。」

ルディは素直にそう思っているようだった。


「でも・・・。何でいつもいつもそんなに偉そうにできるのかは気になるところさ。」

一言(ひとこと)多いルディである。


「あはは!それはボクもそう思う!」

にゅふふと笑うレティ。


三人でそんな話をしていると、いつの間にか料理を食べ終えてしまった。



会計を済ませた後、店の外に出ると、


「レティはこの後用事はあるか?俺たちはルディの剣を見に行く予定なんだ。」

俺はレティの予定を聞くことにする。


「剣かあ。面白そうだね!ボクも一緒していいかな?」

レティは楽し気に答える。


「いいよ!それじゃ行こう!」

若干ルディのテンションも高めだ。


一口(ひとくち)に剣と言っても様々なものがある。普通の鉄の剣から、魔法効果のある魔法の剣の類まで。


「ルディはどんな剣を買うつもりなの?」

レティがルディに訊ねる。


「そうだなあ。まずは普通の剣にしようと思うんだ。」


普通の剣。つまり一般的な騎士や冒険者が使うような鉄の剣のことだろう。


ちなみに某RPGでは木の棒や青銅の剣が出てくる。しかし、もちろん木の棒で敵と戦うのは難しく、青銅の剣は鉄に比べて脆く、柔らかいのでこちらも難しい。故に、一般的な普通の剣とは鉄の剣をいうのである。


「じゃあ、武器屋に行かないとな。」

俺たちは武器屋のある方向に足を進めることにした。




「—いらっしゃい。おや、魔法学院の生徒さんかい。これは珍しい。ゆっくりしてってくんな!」

武器屋に入ると、店主であろうおばさんが声をかける。


一応魔法学院では剣の実習もあるのだが、珍しいのだろうか?


「おばさん、俺たちが来るのは珍しいのか?」

俺はおばさんに聞いてみることにする。


「ああ、そうさねえ。お前さんたちは貴族だろう?うちに置いてある武器よりもいいのを持っているからねえ。でもどんな客でもあたいは歓迎するよ!」


―なるほど。

各自の家にはそれぞれ由緒正しき武器が伝わっていることが多いのだった。


「ルディの家には家宝はないのか?」

俺はルディに聞くことにする。


ちなみに、原作ではルディはかなり上等な剣を持っているように見えたが、俺はあれは家宝ではないかと思っている。


「あるにはあるんだけどな・・・。エミリーと結婚してからだって。」


「なるほどな。」

俺はおおよそのルディ家の事情を察する。


「ねえ!これなんかどう!?」

いつの間にかレティは壁に掛かってある上等な剣の近くに行っていて、その剣を指さす。一見すれば壁にかかっているだけだが、横に何かの装置が付いており、警備用の魔道具か何かが機能しているであろうことが分かる。


「それは魔法の剣だよ!金貨十枚は下らないねえ。買うのなら、おすすめさ!」


「いやいや、そんな剣は俺にはまだ早いよ・・・。」

仮に金貨十枚を持っていたとしても、まだ魔法の剣を扱う技量はないと言いたいのだろう。


「おばさん、普通の訓練用の剣はないかい?」

ルディは直接欲しい剣を店主に聞くことにしたようだ。


「もちろんあるよ!これなんかどうだい?」

そう言うと、店の後ろのケースの中から一振りを取り出す。


特に派手さはなく、訓練用に刃を潰してある鉄の剣だ。


「いいね!これにするよ!」

どうやらルディは自身の剣を決めたらしい。

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