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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
3部 見えるもの、見えざるもの 7章 見えるもの、見えざるもの

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8話

結局、魔法学院対抗戦を制したのは魔法学院エルディスだった。アルトリウス以外の学院が対抗戦を制したのは十数年ぶりらしい。


閉会式の挨拶の後、アルトリウスのメンバーで一旦集まったが、明らかにハーヴェルが落ち込んでいることが分かる。


「みんな、ごめんなさいね。急用で少し立て込んでいて。」

ラズリーが集まった他のアルトリウスのメンバーに謝る。


「あはは・・・。ラズリーがいなくても何とか勝ちたかったんだけどねー。」

レティがバツが悪そうに言う。


「うん・・・。俺たちにもっと力があればね・・・。」

アウグスタが少し俯きながら言う。後ろには多数のメイドが付き添っているのが印象的だ。


―こいつが本気を出していれば、この会場ぐらいはゴーレムで簡単に木端微塵になっていそうなものなんだがな


「・・・」

ハーヴェルは押し黙ったまま何も言わない。


「ちょっとハーヴェル。ラズリー様よ。何も言わないのは良くないわよ。」


プリムがハーヴェルに注意するが、ハーヴェルは何も言おうとはしない。


ハーヴェルが状態異常の耐性付のブレスレットを手に入れるのはまだ先のことだ。また、その耐性も完全なものではない。基本的に魔法王国エルドリアではパーティー戦であり、プリムが状態異常を回復する魔法を覚えるのでハーヴェルが状態異常にかかれば、プリムに治療してもらうことになる。


今のハーヴェルが、イザベラにコテンパンにされるのはどうしようもないだろう。そして、仮に俺がイザベラとやり合ったとしてもハーヴェルと同様の結果になったかもしれない。


―また(ひと)つ課題ができた。


基本的に俺はパーティーを組むことはない。


別にパーティーを組むことに抵抗はないが、ぼっちを極めたりし俺は、一緒にパーティーを組める相手がルディくらいしかいない。しかし、唯一気軽にパーティを組むことができるルディは、今のままダンジョンに連れていけば、魔物にあっというまにやられてしまうおそれがある。


ラズリーに頼み込むと、断られはしないだろう。しかし、彼女は公爵令嬢であり、万が一があっては困る。というかそれが起きないように俺が護衛しているくらいだ。


―まったく、強くなっても強くなってもキリがないな


当然と言えば当然である。そもそも魔法王国エルドリアというゲームは一人で攻略することが前提ではない。複数人とパーティーを組み、皆で助け合いながらイベントを乗り越えていくのだ。


もっとも、だからといって立ち止まるわけにはいかない。まだゲームは始まって序盤。原作ではまだまだ強力な敵が出てくるのだ。


とはいえ、俺は状態異常の耐性をつける方法を新しく装備を付ける以外知らない。


―少し魔法道具店を回ってみるか?


状態異常の耐性を持つ装備品は魔法王国エルドリアでは、ハーヴェルがプリムとのラブラブイベントを乗り越えたときにプリムからプレゼントされるものだ。アリュース伯爵家の家宝である。


当然、俺にはそんなフラグは立っておらず、そのイベントが起きたところで、関係あるのはハーヴェルなので、俺は自力で同じような装備品を手に入れる必要がある。


魔法道具店に置いてある品物は一応はある。しかし、状態異常を低確率でしか防ぐことはできず、何回か状態異常を防いだ場合、壊れてしまうという代物である。一方で、ハーヴェルがプリムからプレゼントされるものは、状態異常を完全には防ぐことはできないものの、何度状態異常を防いだとしても壊れることはない。


これは確かに家宝といえるものである。


同じようなものは店頭には並んでいないか、あるいは店頭に並んでいたとしてもかなり高額なものになることを予想することは難しくない。


―やはりダンジョンに潜るしかないか


ダンジョンには、そういった店には置いていないような珍品が宝箱の中にあるか、いわゆるボスモンスターを倒した後に報酬として手に入る場合がある。


俺の知っている、俺が一人で比較的安全に入ることのできるダンジョンはただ一つだ。これまでは深く潜る必要はないと思っていた。


しかし、そのような上等な装備品を手に入れるためには、もしかするとそのダンジョンを一人で踏破しなければならない可能性すらある。


虎穴に入らずんば虎子を得ず。そのことわざは限りなく正しいように思えた。

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