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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
3部 見えるもの、見えざるもの 7章 見えるもの、見えざるもの

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7話

エティナが部屋を出ていったあと


「いやあ、すまないね。イシュバーン。」

言葉の内容とは裏腹に飄々(ひょうひょう)とした感じで言うレグルス。


「・・・モノクルを持ってきていないのでは、どうしようもないのは分かった。」


「―学院長、本当にそんなものが?」

ルディが驚いたようにレグルスに言う。


「やはり、気が付いていたんだね、イシュバーン。」

レグルスは特に驚いた様子でもないようだ。


「・・・あれだけモノクルに触ってりゃ、別に俺でなくても気が付く。」

さすがにあれはモノクルを触りすぎだと思う。


「その通りだよ。私の魔道具にはそういったものが存在する。ただし、あれは貴重なものだから、普段持ち歩いたりはしないんだよ。」


「でも何故イシュバーンがそのことを知っているんだ?」

ルディが不思議そうな顔をする。


「ラズリーが襲われた例の事件の後、レグルスに呼び出されてだな。ほら、よくドラマでも言うだろう?第一発見者を疑えと。」


「ドラマ?」

ルディが気になったようで、ドラマとは何かを聞いてくる。


「―歌劇のことだ。」

つい元の世界の言葉を話してしまった。こちらにはドラマに該当する言葉がないので、ドラマと言って言葉が通じるはずもない。


「その通りだよ。イシュバーン。」

レグルスは何でもないといった具合で俺の言ったことを肯定する。


「レグルス。あれがあれば、俺の言ったことが真実であると分かるはずだ。後で試せ。」


「その必要はないよ、イシュバーン。私は君の言ったことが真実であると分かっている。」

レグルスは相変わらず飄々としたように答える。


「では何故エティナを帰らせた!?」


「あの場で彼女を悪い立場に立たせることが得策ではないからさ。それに追いつめられると、どのようなことをするのか分からないのが人間というものだろう?それは彼女には限らない。」

レグルスは淡々と言う。


―確かに一理(いちり)ある。

ここには俺以外に、ラズリーやソフィアなどの使用人、そしてルディもいる。仮に俺が無事だったとしても、皆が無事である保障はどこにもないのだ。


「・・・」

俺は黙るより他なかった。


「―少しは落ち着いたかい?」


「ああ。確かにその通りだ。確かにエティナが魔法を発動させた場合、皆が無事である保障はないな。」

おかげで少し頭が冷えたようだ。


「―ラズリー、それでは僕はこれで帰るとするよ。エティナには気を付けなければならない。けれど、君にはイシュバーンが付いている。彼の強さは誰よりも君が一番知っているだろうからね。」


「―はい。」

短く肯定するラズリー。


それを見てレグルスはうんうんと頷いて、ではね、と言って部屋から出て行った。



レグルスが出て行ってから、


「イシュバーン、一体全体どういうことだ?」

ルディが頭にハテナを浮かべて俺に聞いてきた。


「ルディ、別にどうもしない。たまたま俺がラズリーを助けたことがあったというだけさ。」


「あ、ああ。そうだよな。」

ルディは何だか釈然としないようだが、納得したようだ。


事情を詳しく知らないルディには悪いが、俺も全てを説明できるわけではない。そして、それは今回のエティナの件についても同じことだ。


―今回の件については俺自身が、誰よりも釈然としないものがある


あのとき、エティナはあの何かに食われかけていた。あれをそのまま見過ごすことがあればどうなっていただろうか?


俺は首を横に振る。きっとあの場面ではああすることがベストだったのだ。何故だか分からないが、俺の直観がそう(ささや)くのだった。

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