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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
2部 目指せスローライフ!? 6章 金魚のフン作戦!?

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19話

ついに魔法学院対抗ランクマッチの日が始まる。


「―思えば、今日この日まで色んな困難があった。」


「――そうだ、イシュバーン、俺たちの戦いが今、ここに始まるんだ・・・!」


「―――俺たちの成長の成果を見せてやろうではないか!」


「何を言っているですか、お二人は試合にも出ないのに。何を考えているのですか?」

どこからともなく現れたソフィアが突っ込みを入れてきた。


「・・・ノリが悪いぞ?ソフィア。」


「―それは失礼致しました。」

ソフィアが少し嫌味っぽく言った。


俺たちはラズリーの付き添い人であるので、テレジア家の使用人たちと一緒に観戦することにしている。


会場は魔法学院ベリタスの模擬戦場であり、長方形状のアルトリウスとは異なり、円形ドームの形状をしている。仕様は魔法学院のものと同じで、ある程度の被ダメージが吸収されるというものらしい。


長期休暇中ということもあって、観客は誰もいないのではないかと思ったが、どうやらそういうことでもないらしい。ベリタスの制服を着た生徒で賑わっている。


「せっかくの長期休暇というのに殊勝なことだな。」

俺はふと呟く。


「この大会で成功を収めて、宮廷魔術師にまで上り詰めた方もいらっしゃるようですよ?」


「ソフィアは今日の試合に興味があるのか?」


「むしろ、イシュバーン様は興味がないのでしょうか?」

逆に質問を返されてしまった。


「イシュバーンがこんな試合に興味あるわけないよな~。」


「そりゃお前もだろうが、ルディ。」


そんなやり取りをしていると、


「―少しお水を貰えるかしら?ソフィー。持ってきたレモン入りのをお願い。」

制服を着たラズリーがやってきた。


「お嬢様、少々お待ちください。」

そう言うと、ソフィアが水筒から水をコップに汲み、ラズリーに渡す。


「ありがと。」

ラズリーは短くそう言うと、水をぐいっと飲む。


「・・・ふう。みんな、見ててよね?私、頑張るから!」


――さすがに、今日のラズリーは気合が入っている、か


改めてこの場所から試合会場を見るが、ここから試合場までの距離は迅雷の射程範囲内である。何かあったとしてもすっ飛んで行ける距離だ。


「ああ、頑張れ。」

じっとラズリーの目をみつめる。


すると、ラズリーは少し(うつむ)いて、その髪をいじりながら


「・・・ありがと。」

小さく言った。


パンっとソフィアが手を叩き、ラズリーがはっとしたような顔をして、


「それじゃ、私行ってくるから!」

そう言うと、足早に下に降りて行った。


「・・・イシュバーン様、お嬢様をからかうのは後にしてください。」


「おい、今のをどう見れば、からかっているように見えるんだよ?」


俺はソフィアに文句を言うが、それに対するソフィアの返事はなかった。




そろそろアルトリウスの第一試合が始まる頃合いになった。

第一試合は当然ハーヴェルである。結果の予想はできる。


―他のメンバーにも戦う機会があればよいが

下手をすれば、原作のように、ハーヴェルだけ戦って終わりということにもなりかねない。


「・・・ちょっと便所行ってくるわ。」

俺はそう言うと、席を立つことにした。


―たまに、何の用事がなくても行きたくなるときってあるよな?


俺は誰に言うでもなく、そんなことを考えながら、誰もいない廊下を歩いて行く。


辺りには俺の歩く靴の音だけが響く。どうやら周りには誰もいないらしい。


そうして、あと少しで目的地のトイレという曲がり角を曲がったとき。そいつはいた。


「――ご機嫌よう。お兄様。」

そう言うと、そいつは優雅なカーテシーを披露した。

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