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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
2部 目指せスローライフ!? 6章 金魚のフン作戦!?

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13話

アドカリに着くころには既に夕方になっていた。


「―やっと到着したか。」

出発したのが朝早くだから、かなり長い間、馬車に揺られていたことになる。


しばらく持ってきた本を読んでいた。しかしそれも飽きて、ルディは馬車の中で寝て、俺は適当に外の景色を眺めていた。


「――ふああ。・・・寝すぎて明日起きられるかどうか心配になってきた。」

ルディがそんなことを言う。


「ルディ、おまえは明日何か頑張る必要があるのか?」


「・・・それを言ったらイシュバーンも同じだろうが!」


「・・・それもそうだな。」

俺もラズリーの護衛という名目の付き添い人にすぎない。本当に明日から頑張る必要があるのはラズリーであるのだ。


「まあ、気楽にやろうぜ。」

ルディに言う。


馬車から降りると、ラズリーとソフィアは既に馬車から降りて俺たちを待っているようだった。


「それじゃ、行きましょうか。」

ラズリーがこちらに声をかけてきた。


ラズリーとソフィアを先頭に、俺とルディは後に続く。




宿はどうやら高級宿のようだ。ロビーに入ると、ソフィアがフロントの従業員に話しかけ、宿泊の手続きをする。


その後、ソフィアから告げられた部屋へと向かう。俺とルディの部屋は、ラズリーとソフィアの部屋の隣であるらしい。


「イシュバーン様。もし宿の外へ行かれる際には、私かラズリー様へ声をおかけください。」


「―また夕食のときにね?」


ソフィアとラズリーはそう言って、自分たちの部屋の中に入っていった。


俺はソフィアとラズリーに、分かったと返事をして、


「ルディ、部屋に入るぞ。」

緊張した様子のルディに声をかけ、部屋の扉を開ける。




「・・・これはラズリーに感謝だな。」

本来、俺の部屋は一人部屋だったはずだ。だが、目の前にあるのは二人部屋だった。


「ああ・・・。さすがはラズリー様だ・・・。」

ルディは感激している。


どうやらルディのために寝袋を用意したが、今回は使わずに済みそうだ。


「さてと。まだ夕食まで少し時間があるな。」

俺はそう言うと、カバンから本を複数取り出す。


「なあ、イシュバーン。少し町まで行ってみないか?」

ルディはそんなことを言う。


「おいおい、ルディ。お前は勉強をしにここまで来たんじゃあないか?」

浮かれ顔のルディに釘をさす。


「なんだ?イシュバーン。イシュバーンにしては随分と真面目じゃないか。」


「当り前だぜ、ルディ。俺も、お前と状況的には変わらんからな。」

ラズリーから試験範囲を聞いただけにすぎない。実力的にはルディとほとんど変わらないのだ。


「―とはいえ、喉が渇いたな。紅茶でも入れるか。」

部屋の中には水差しの準備がされていて、紅茶を入れる道具もある。


自分の分のカップを部屋の戸棚から取り出し、


「ルディ、お前も飲むか?」

ルディに紅茶を飲むかどうかを訊ねる。


「ああ、もらうよ。悪い。」


俺はもう一つカップを取り出し、ポットに水を注ぎ、茶葉をセット。そしてスイッチを押す。すると、予め魔力の蓄えられた魔石が輝きだし、湯が沸く。




「「ふうー。」」

二人してくつろいでしまう。もはや勉強どころではない。


「ああー、何もしたくねー。」

俺はそんなことを言う。


「おい、イシュバーン。さっきと言っていることが違うじゃあないか。」


「いいんだよ。さっきはさっき、今は今だ。」


「ちょっとは見直したってのに、何なんだよ、イシュバーン。」


「そう言うなら、さっさと勉強をし始めるべきだぜ?ルディ。」


「・・・俺もやりたくねー。」


いつものようにダメダメな二人である。


しばらくそうやってグダグダしていると、コンコンとノックが響く。


ちなみにオートロックとかではないので、鍵は開いている。


「イシュバーン様?」

扉が開き、ソフィアが椅子でぐったりする二人を目撃する。


「どうしたの、ソフィー。」

ソフィアの後ろから、ひょっこりと顔を出すラズリー。


ソフィアが言葉を失っていると、ダメダメな様子の二人を見て、ラズリーが悩まし気な顔をして、(ひたい)に手を当てるのだった。

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