表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サッカー部なのに筋トレしかしてません!  作者: やしゅまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/18

第十三話「全身全霊、筋肉で止めろ」

全国大会・2回戦の相手は、大阪・神嶋工業高校しんとうこうぎょう

筋骨隆々、まるでプロレスラーのような体躯の選手がそろい、ゴール前では「壁」というより「要塞」になると噂されていた。


だが、朝日南の選手たちは臆していなかった。

むしろ――


「なんか……あいつら、ウチらと同じニオイしない?」


赤木のひと言に、皆が思わず笑う。


神嶋工業のスタイルは「前プレ&ロングボール一発」――

体力と筋力でゴリ押す、超フィジカルサッカー。

つまり、ラグカー式と似ているのだ。


「なぁ監督、ぶっちゃけ……力比べってことっスか?」


鉄之介が問うと、熊田はうなずいた。


「そうだ。ガチンコの肉弾戦になる。ただし……向こうの方が“慣れている”」


「……ッスよねえ」


選手たちは武者震いをしながら、円陣を組んだ。


「やることは変わらねえ。ぶつかって、走って、勝つだけだ!」


「オーッ!!」


キックオフ。


立ち上がりから神嶋工業は猛攻を仕掛けてくる。

前線に放り込まれるロングボール、飛び込んでくる屈強なFW。


朝日南のDF陣は、跳ね返すので精一杯だ。


「こっちも負けてられねぇッ!」


鉄之介が相手のエースを正面から受け止め、強烈な体当たりで弾き飛ばす。

ボールはラインを割ったが、会場がどよめいた。


「うお……これ、ラグビーの試合じゃね?」


「サッカーってこんなにぶつかる競技だったっけ……?」


実況席も困惑するなか、熊田は小さくつぶやく。


「体力勝負なら……後半に勝機がある」


そう、ラグカーのトレーニングは無酸素運動と有酸素運動の融合。

“走れる筋肉”を作ってきた朝日南は、スタミナ勝負で神嶋に勝る。


そして――前半を0-0で終える。


ハーフタイム。


「相手は疲れてきてる。見たろ、戻りが遅くなってる」


熊田の指摘に、翼がうなずく。


「つまり……今からは、俺たちの時間ってことですね」


「そうだ。後半は、走り勝て!」


後半開始。

ラグカーはギアを上げた。


プレッシャーの速さ、パススピード、サイドの切り替え――

すべてが相手を上回る。


神嶋の足が止まりはじめた後半20分、ついにチャンスが訪れる。


左サイドの七海がドリブルで持ち込み、相手をかわしてクロス!


ゴール前には赤木!

だが、2人のDFが立ちはだかる。


「止められてたまるかァ!」


赤木は空中で体をひねりながら、ヘディングではなく胸トラップからボレー!


ドゴォンッ!!!


凄まじい音とともに、ボールはネットを突き破りそうな勢いで突き刺さる!


「ゴオオオル!!」


1−0、朝日南、ついに先制!


そのまま逃げ切り、2戦連続で勝利を掴む。


翼は喜びながらも、次の対戦表をじっと見ていた。


「……準々決勝、次は……青森の“風”か」


熊田がつぶやく。


「今度は“空気を読まない奴ら”だ。油断するなよ」


朝日南、次なる戦いは――

俊足揃いの「風のサッカー」との勝負!


(第十三話・了)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ