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9日目

 突然だが、日本には小説家になろうというサイトが存在する。

 特色としては、数ある小説投稿サイトの中でもファンタジー小説が多い傾向にあり…ファンタジー小説が狂おしいほど大好きな僕はたまに利用していたのだった。


 しかし、僕はランキングの方を見ていないので、テンプレにはあまり詳しくないのだ。完全にファンタジー小説を読むためだけに使っていた。


 とはいえ、せっかく異世界に来たんだからテンプレやりたいよなあ。


 ……なろうのテンプレは奴隷、大会、学園ってとこだっけ?今はどうなっているのか知らないけど。


「そうか…奴隷購入か…」


 奴隷…slave…servant…。

 家を見渡す。まだ来て日が浅いとはいえ、掃除していないので少し埃が溜まっている。

 それに、僕とお人形さんはご飯がいらないが、赤いワニはいるだろう。

 人間のことを知りたいと言うのなら、料理も食べたいはずだ。人間とはすなわち文化であり、文化は食から知ることができる……的な。

 付き添いなしで外に買いに行かせてもいいが、何かあれば保護者ドラゴンに監督不行届を出されるかもしれない。


 ……。テンプレとか言ったが、正直なことを言うと、借りているお金でお手伝いさんを雇いたくないのだった。


 一応図書館にはドレイのことについて書いてある文献もあった。まぁ所謂奴隷とは少し違うもののような気がしたが、翻訳の都合上かドレイという名称になっている。

 大きく分けて犯罪ドレイ、借金ドレイ、輸入ドレイの3種類。


 まず犯罪ドレイ。契約書でお互いに危害を加えられないようになっているらしいが、犯罪ドレイはできるだけやめておくべきだろう。


 輸入ドレイはとても身体能力が高いがその代わり高価だ。僕が欲しいのは家事ができる人間だから正直持て余す。魔石があればお金は手に入らなくも無いが、基本1文無しの僕にはあまり適した選択肢とは言えない。


 僕が選ぶべきなのは借金ドレイだ。契約すると、金を貸す代わりに人1人分の労働力が手に入る。上手くいけば金も全額以上返ってくるしこれしかないだろう。


 近くの街はそれなりに大きいので、探せば契約できるところもあるはずだ。


「よし、お人形さん!街に連れて行ってくれ!…今回はワニさんは留守番ね!」


 セキュリティはしっかりしているが、やはり借りている家を空にしておくのは不安だ。


 

 ▫



「お金はどれだけでも出せるから、絶対に返済できる才覚があって、人格にも優れている人ですか?」


「…やっぱりそんな人いませんか?」


 やはりそんな人は借金なんてしないか……。


「…いえ、1人います」


 紹介されたのは、背の低いおじさんだった。


「なるほど…ちなみにこの人はどういう人なんです?」


「少し前まで服飾関係の大商会の会長だったんですがね、倒産してこうです」


 そう言いながら、その女の人は少し思わせぶりに目を伏せた。


「なるほど…ロプトー、どう?嘘ついてない?」


『嘘は…ついてないな。いや、私は嘘発見器もできはするが…』


 できるらしい。

 本当にすごいお人形さんである。


 それに、なんとなくこの人と契約すると良いことがある気がした。


「じゃあうん、契約しようか」


 ドラゴンの言う通りなら、この契約も僕にかかれば一方的に破棄できるようだ。しかしまぁそこは気にしなくていいか。破棄できる側は気楽なものだ。


 

 ▫



 なんだかテンプレとは少し違うような気もしないでもないが、家事を任せられるおじさんを手に入れた。……偽名で契約できるのはどうかと思うが。

 おおむね満足である。


 おそらくここで可愛い女の子を手に入れるのが通例なんだろうが……どうせ僕には美醜なんて分からないし、そもそも異世界人の男女の違いなんて僕にとって見れば大した違いじゃない。

 例えるなら、野良犬の性別がそんな気になるか?という話だ。


 どうせ最初から、家事のために金を出すと決めていた。

 そうして才覚にあるわ…おじさんに金を貸せる。

 なかなか悪くないんじゃないか?


「じゃ、家事を頼みます」


 ワニさんが手乗りサイズになった状態でじーっとこちらを見ている。

 怒っているようだ。


「…ほら、お土産に買って来たドラゴンクッキーだよ。パンもあるよ」


 クッキーを顔の前に出すと、首を背けられた。


「最初は何をすればいいですか?」


 おじさんが聞いてくる。

 ワニさんの方を見る。

 今日のご飯は買ってきたし、そうだな……。


「!ぬいぐるみを作ってくれませんか?」


「…ぬいぐるみ?」


「ええと、こう、こう…こんな感じで…」


 身振り手振りでドラゴンの形に手を動かす。


「…?」


 ……。仮にも元服飾関係の会長さんがぬいぐるみの作り方が分からないとかあるのだろうか。

 名前が違う?

 しかし、光の聖女の翻訳はここまでかなり正確だったはず。


「…もしかしてぬいぐるみが分からない?」


「…ええ。そんな名前聞いたこともありませんが…」


「ふむ…」


 ぬいぐるみの発明された時期はいつくらいか…そういえば近世くらいだったような。


 昔、中世ヨーロッパ風ファンタジーのラノベのイラストで、ぬいぐるみを抱いた女の子を見て微妙な気分になったものだ。


 しかし、情勢は中世後期くらいっぽいとはいえ、機関車も通っているのにぬいぐるみがないとは…。


「ええと、ぬいぐるみっていうのはですね───────」


 説明する。


「なるほど!作れそうですね…。しかし、これ…いや、なんでもないです」


 作ってくれるらしい。

 ワニさんの方ににこっと笑いかけておく。


 さあ、もう夜だ。

 寝よう。


 おやすみ


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