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回帰する未来③

「うわ、これまためちゃくちゃ美女ですね」


 紹介されたのは背の低い女だった。濃い緑色の髪を持ち、眼鏡をかけている。その奥にある鋭い目つきが印象的だ。

 部屋には沢山の本が積みおかれ、確かに頭は良さそうな感じがした。


「ん?僕は男だが」


「……」


「コイツは精霊なんだ。ほら、学校でやっただろ?『精霊に性別はない』」


 何故か着いてきた男が自信ありげにそう言った。

 道中で聞いたが、彼女はこの国で1番大きい図書館の司書をしているらしい。この建物に居ない時は大抵そちらの図書館にいるとのことだ。


「私はオスカーと違ってしっかり勉強しているので、そんなことは100も承知です!しかし、会話ができる精霊なんて初めて見ました!美人なのも納得です!精霊ですもんね!!」


 僕の容姿が褒められるということはすなわち僕そっくりである妹の容姿が褒められているということであり、悪い気はしない。

 僕の妹は世界一可愛いからな。

 ちなみに妹に似せるために髪の長さも限界まで近づけている。もうこれは僕が妹と言っても過言じゃ無いのでは?


「……それで用件だが」


 そういえば見落としていたが、この時代にも本はあるようだ。


「ええなんでしょう」


「1000年前にあった技術に興味はないか?」



 ▫



「さて……」


 まずはワイバーン討伐で肩をならすことにした。

 頭の良さそうな女に1000年前の知識を託しておいたが、文明レベルを上げるのはどうしたって時間がかかる。


「なぜ着いて来るんだ?」


「そりゃ心配だからだろ」


「そう……」


 歩いていく。

 すると、遠くから大きな影が見えた。


「……ワイバーン?」


「おい、逃げるぞ!あれはワイバーンじゃねえ!正真正銘のドラゴンだ!」


「そうだよな」


 たどり着いた先にいたのはデカイトカゲだった。ワイバーンってもっと鳥みたいだったよな?良かったよ1000年経って事情が変わってるとかじゃなくて。ただでさえモンスター類は訳の分からない強化をされている節がある。ドラゴンがワイバーン扱いされていても、そういうこともあるのかもな……と思えそうでちょっと嫌だ。


「まー問題ないだろ。見たところ知性の低い低級だろうし僕なら殺れる」


「 は?そんなわけ……」


「スパチーム・フレカース、チッ」


 避けられた。クソ、もう1個だ。


「スパチーム・フレカース、スパチーム・フレカース、スパチーム・フレカース!」


 よし、腕は1本もらった。

 ドラゴンの方は怒って動作が単調になってきている。


「思った通りだ、いける。スパチーム・フレカース、スパチーム・フレカース、スパチーム・フレカース!」


 よし、首を切れた。一応もう1発打って、と。


「すごいな!?魔力切れしないのか?あ、精霊だからか。そうか……これが直接攻撃できる上位精霊の強さか……」


 1人でブツブツと何かを言っていたが、無視をした。


「とりあえず帰るか」



 ▫



「なんだと?証拠がないから認められない?」


 ああ、鱗の1枚でも取ってくるべきだったか。

 しかし収納系の魔法は結構高等な魔法で、世界自体の文明レベルが低い今は使えない。そして僕は魔物に触れないので運べない。どう足掻いても詰んでいるな。ため息をつく。


「ほら、俺が持って来たぜ、コイツがあればいいんだろ」


 そう言ってギルドにまで着いてきた男が受付にドラゴンの目を置いた。目か。助かるが。


「これは……確かにドラゴンの目ですね」


 受付の人がモノクルをポケットから出し、そのままはめて、情報を得たらしかった。僕がドラゴンを倒したと認められたらしい。


「ケインさんと契約したんですか」


「してませんが」


 だいたいこの時代のことが分かってきた。僕のようなやつが魔物を倒す=契約の図式は確定した事実になるのだろう。もちろん今回は違う。例外ってやつだ。

 しかしそうか、この男はケインと言うのか。助けてくれた恩だ。名前くらいは覚えておいてやろうと、そう思った。


「ドラゴンはコイツが単騎で討伐したんだぞ!すごくないか?」


「にわかには信じられません……」


 そんな会話が後ろから聞こえたが、気にしないことにした。

 とりあえずお金も手に入ったし、宿に帰ろう。


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