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1日目

「では、そうですわね。何から始めましょうか。…ええ、ええ。ここに皆さんが召喚されてしまった理由からお話しましょうか」


 お姫様はそう低い声で話した。


 僕も少し余裕が出て来たのか、周りの詳細な景色が目に入ってくる。1つの大きな部屋にクラスメイト全員がいる。そしてその部屋は大きな御屋敷の一部屋であろうと考える。


 そうして、お姫様は僕たちより少し高いところに立っていて、その頭上に老人の絵が飾ってあった。


「あっ」


 思わず声をあげる。

 さっき話した老人にとてもよく似ている。絵画の中の老人は、目の前のお姫様と同色の配色をしており、さっきの老人とは色違いであるという点を除けば、同一人物であっても不思議ではない。


「ええ、ええ。そうですね。私のお爺様が貴方たちを召喚されました。その様子だと会ったのですね?魔王がやってくるだの妄言をおっしゃられていましたが、…優秀な人間ほどボケると恐ろしいものですわね」


 どうやら僕は無意識のうちに絵画に指をさしていたらしい。


 ……僕の腕はこんなに長かっただろうか?

 この言葉を他の人が聞いたら、奇妙に感じるかもしれない。実際僕も少し奇妙に思った。

 いや、しかし僕は困ったことに小学生の時のまま認識が成長できていないのだ。

 たまにそういう考えが出てきてしまう。

 そういう認識は成長過程である高校生ならままにしてあるかもしれない、と自身の思考に決着をつける。

 まぁ、僕は高校生になってから友達なんて1人もできたことがないのでその認識が正しいか、全く確かめようがないのだが。


 しかし、このお姫様があの老人の孫か……。

 言われてみると、確かに少し似ているかもしれない。


「1つ、いいですか?」


 クラスメイトの1人が声をあげる。


「ええ、ええ。もちろんですわ」


「貴女の声はなんでそんなに低いのでしょうか」


「ふふふ」


 お姫様は、絵画の老人そっくりの笑みをうかべた。


「ええ、それは…私が異世界人だからじゃないですか?」


 お姫様はにっこり笑っている。


「そうですね…。次は私の自己紹介でもしましょうか。この国の女王ですわ。名前は…今は教えなくても、いいですね?

「ええ…私の身内の不手際です。私が責任をとりますわ

「帰る方法を見つけるまで私が世話をします。ええ、まずは…王家に代々伝わっている紫色の宝石で皆さんの素質を見させていただきますわ」


 そうお姫様……女王様は紫色の石がついた髪飾りを触りながら言った。

 しかし僕はお姫様のほうが響きが好きなので、お姫様で呼ばせ続けてもらう。

 まぁ……心の中くらいならいいだろう。


 そうして、お姫様は1人ずつクラスメイトの素質を見て…僕の前に来た。


「貴方は…魔力が全くありませんわね。……。そんなことあるんですの?」


 驚いていた。

 クラスメイトたちが一瞬静かになった。


「え…。ま、まぁ大丈夫だよ!」


 と、クラスメイトの1人が僕に言った。

 あんまり黙るといじめにとられかねないと彼女は知っているのだ。

 僕の通っている高校は進学校だ。いじめに繋がるようなことは皆しない。理由を考えるならそんな暇がないから、なんてところだろうか。

 その代わりとても退屈で…

 ……そんなに忙しかったんなら、ついでに僕のこともすっかり忘れていてくれれば良かったのに。


「…」


 お姫様が何かを考えこんでいる。


「貴方…この後私について来てくださいな。…さぁ次です」



 ▫



「ええ、皆さんこの訓練所で好きに試し打ちして結構ですわ」


 そう言って、お姫様は訓練所を出て歩き出した。

 僕はついて行く。


「衣装部屋?」


「ええ、ええ。そうですわ。衣装部屋です」


「それで自分はここで何をすれば…」


 お姫様は目を伏せた後手を叩いた。

 そうすると、1着のローブが僕の目の前に飛んで来た。


「これを着なさい」


「はあ、これはなんですか?」


 とりあえず着てみる。少し小さく見えたが、着てみると不思議とピッタリだった。


「そのローブ…いや、その魔石は、風の魔道士の持ち物です。魔力が無尽蔵に出せる…」


「何故自分にそんなものを?」


 言ってみて、少し失礼な物言いだったかと自答する。

 お姫様のほうをちらと見てみるが、とくに気にした様子はなく微笑みを浮かべるだけだった。


「貴方の風魔法の素質はとても高い。ええ、ええ。あの名高い風の魔道士に匹敵するほどに。そうして、風の魔道士もまた、魔力が全くなかったのですわ…」


 胸に手を当て、とてもすごいことなんですよ?、とでも言わんばかりの芝居がかった身振りをしながらお姫様はにっこりと微笑んだ。

 風の魔道士、あの老人も言っていた言葉だ。


「それは貴方にあげます。ただ…1つ条件があるのです」


「はい」


「この契約書にサインしてくださいな」


 ……。

 日本語で書かれている。

 1回私が必要とする時に全面的に協力すること?


「いいですよ」


 サインをした。


「ありがとうございます」


 ちらりと見てみるが、お姫様の口元は明らかに日本語を話しているように見えない。

 口調も少し不自然だし、これは何らかの方法で翻訳されていると見ていいだろう。


 お姫様に渡しながら、契約書をもう一度見る。

 ……やはり、日本語で書かれている。


「何かありましたか?」


「……ああ、そうだ。この城?の図書館みたいなところはありませんか?」


「ええ、ありますよ。鍵を貸してあげますわ」


 今度は指を鳴らした。


 チリンチリンといいながら、鈴がついた鍵が飛んでくる。


「場所はその鍵が教えてくれますからね。訓練所?ええ、訓練なさって結構ですよ」



 ▫



「───────吹っ飛べ!」


 目の前にあるカカシが全部吹っ飛んだ。


 ゲームで見た風の盾もできる。


 周りの様子を見るに、火力は僕が1番高そうだ。

 ……あんまり嬉しくなかった。


 疲れたので、僕のために用意されているらしい部屋に案内してもらった。


 まぁ、少し早すぎるような気もするが。


 ……おやすみ


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