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14日目

「…ここどこ」


 目が覚めたら、見たことない御屋敷の中だった。

 上等なソファに寝かせられている。

 ワニさんが僕の腹の上に乗っている。

 お人形さんは僕の隣だ。


「…やっと目を覚ましたよ。お前のお人形さん運ぶの大変だったんだからな!……はぁ」


「なんで自分を助けてくれたんです?」


 目を逸らされた。


「風の魔道士に恩を売っておきたい…、あとここの王子との交渉が有利に勧められるという下心もある」


「へえ。ちなみに自分はどれくらい寝てたんです?」


「1日」


「1日!そんなに寝たのは初めてかもしれない」


「交渉もあらかた終わらせたし、僕はもう行く。1個屋敷貸してくれるらしいからな。そこの肩乗りワニがだいたい聞いてたから事情は聞いとくといいんじゃないか」


「分かった」


 僕のボケを綺麗に無視して話を進め、僕をここまで運んだ青年はいなくなった。


 暇だったので2日分の日記を書いておく。

 もう暦も分かったし、番号で振らなくてもいいが……統一感を出したいのでこのままでいいだろう。


 ワニさんに話を聞くと、ここはどうやら僕が召喚されたあの国と仲の悪い隣国らしい。


「やあ」


 髪の長い金髪を一括りにした青年が部屋に入ってきた。片目に眼帯をしている。

 声が高い。体躯も細い。折れそうだ。


 小屋においてあった本を信じるなら、隣国は男が少なく、男女に関する法律も全く逆なんだとか。

 相続関係も全く逆でこっちは家督を継げるのは男だとか。


 ……男女だと分かりにくいから、オスメスの方が良かったんじゃ……と思わなくもないが、まぁそうじゃないってことはそれだと駄目な理由があるんだろう。

 光の魔法っていうのはそういうものだ。


「交渉したいことがあるんですか?」


「ああ、うん。しばらくオレの護衛をやって欲しいんだ。友達っていう体で。お金はいくらでも払うとも」


「…魔石貰えます?」


 必要な量を紙で見せる。


「…ま、これくらいならいけるね。じゃあ、そういうことで、約束しようか」


「契約じゃなくて?」


「ああ…もちろん署名はとるけどね。契約だと強い魔法使いは一方的に破棄できるんだろう?それはごめんだね」


 渡された紙を見る。


「王子ご本人なんですね…」


「ああ…ま、とはいえ五番目だしね。気にしないでくれ」


「自分に護衛を依頼する理由と関係ありますか?」


 聞いてみる。

 そもそも金をいくらでも出せるとか言っている王子が直接僕に会いに来ているのがおかしいのだ。

 護衛は…一応扉の後ろに1人いそうだが。


「いや、無いよ。それとは本当に関係ない。ただ…少し貴族周りが物騒でね。いざとなれば国外逃亡したくてさ」


「そうなんですね」


 これが武士とかだったら恥じさらしとか言われて切腹とか打首になるんだろうが、…身分が高いから打首は流石に無いか?

 ともかく、確かに西洋の方の王家や貴族は国外逃亡ラッシュがあったような気はする。

 国外の貴族とも親戚だったりするからな…。

 そういえば、戦国時代なら日本もそんな感じか?


「国外に親戚がいるんですか?」


「隣国の女王とはいとこだね」


 ガッツリ親戚だった。


「国外逃亡すれば…帰ってきたときに王になれるかもしれないからね…」


「ああ…王家が滅ぼされた後に政治知識と他国に対する権威が足りないって言ってる隙を狙うわけですね…」


 ルイ・フィリップみたいな感じだろうか。

 いいね、嫌いじゃない。むしろ好きまである。

 ……ってことは、人望があんまりない?まぁ第5王子だからあんまり関係ないかもしれないけど。


「…よく分かってるじゃないか。そういうことだから、頼むよ」


 王子が言う。

 頷く。しかし、


「でも貴方はあまり王には向いてないと思いますが」


「…理由は?」


「商売人は国のトップには向かないものですよ」


「ははは!このオレが商売人?オレは王子だぞ!」


 笑い続けている。

 機嫌が良さそうだ。


「…貴方が王になりたい理由はなんでしょうか?」


「お金が自由に動かせるから…だな」


 ニンマリ笑っている。


「オレのどこを見て商売人だと思った?服装か?隣国との関係悪化のせいで国の金銭は最悪だからなぁ!それにしちゃオレの格好は結構派手だ!」


「王族ってそもそもそういうものなん…いやジョークですよ。まぁ、なんとなくですかね。風の魔法とはそういうものです」


「…」


 こうして王子との話し合いは終わった。


 今日はだいたいこんな感じ。


 たくさん寝たということで心配していたが、意外と寝れそうだ。


 おやすみ


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