プロローグ
僕は教室で授業を受けていた。
なんの授業だったか……ぼんやりしていたため定かではないが、おそらく古典だったかな。先生が忘れ物を取りに行っていて教室には生徒だけしかいなかった。
突然明るくなった気がして、目を覚ましたらこの真っ白い空間にいたわけである。
「やあ」
真っ白い空間で真っ白な老人が僕に声をかけてくる。声で判断すると男性のようだ。
「ああ、…どうも」
そう言って僕は頭を下げた。
そういえば、よく見ると周りには老人と僕以外誰もいない。
「これはいったいどういうことなんだ?自分は夢を見ているのか?…いいや、確かに自分は起きている。これは白昼夢なのだろうか」
困惑する僕を、老人は興味深そうに見ている。
「さあ、風の魔道士。君は確か今日誕生日だったね?」
「?…ええ、まあ。それがどうかしたんですか?」
「ふふふ、私からの誕生日プレゼントだ。視力を良くしてあげよう」
そう言って老人がこちらに近づいて来た。瞬きをすると眼鏡が消えており、老人も離れて座っていた。
……思い入れのある眼鏡だったんだけどなぁ。
「それで貴方はなんなんですか?誕生日プレゼントを渡す妖精か何かなんですか?」
「ははは!もちろん違うさ。君には今から異世界に転移してもらおうと思ってね。ここはその中継……みたいなものだよ。少し迷惑をかけるお詫びに君の欲しいものを追加で1つあげるから許して欲しいな」
まじまじとその老人を見るが、感情の読めない笑みを浮かべるだけだ。
まともに説明してくれそうになかった。
仕方がないので質問をすることにした。
「その異世界はどのようなところなんですか?」
「それが欲しいものかい?」
「いや、違いますが…」
「じゃあ話せないね」
異世界転移とはそういうものだっただろうかと考える。もっと親切なものだったような。
いや、そこまで詳しいわけではないが……。
「ううむ。そうですね、欲しいもの……。人類の最大の夢と言えば、人体錬成、不老不死、錬金ですかね?そうだな……不老不死でお願いします」
「……いいよ。君の願いを叶えてあげよう」
───────じゃあ私の戦いを始めようか。
そんな声が聞こえた気がした。
……。
………………。
…………………………。
「ええ、ええ。これで皆さん目を覚ましたようですわね」
低い、声が聞こえる。
周りはどこか見たことの建物の内装のようだった。
声の聞こえた方を見ようと少し上を向くと、紫色の目が印象的なお姫様がこちらを見おろしているのが見えた。