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455●『プリンセスナイン』(1998)⑦幻の“後半26話分”を推理する4:大優勝旗の意味を再考させる決勝戦! そして永遠の青春。

455●『プリンセスナイン』(1998)⑦幻の“後半26話分”を推理する4:大優勝旗の意味を再考させる決勝戦! そして永遠の青春。


       *

 聖良とヒカル、この二人がメンバーからいなくなり、哀しみを抱えながらも、決意を新たに高校野球の頂点を目指すプリンセスナイン。


 高校三年生の夏がやってきます。

 プリンセスナインは破竹の進撃で王子園球場への切符を手にします。

 そしておそらく、決勝戦まで駒を進めると思います。


 そんなバカな、とお思いのアナタに一言。


 だって、「不可能を可能にする」=「ありえねーをありえーるにする」のが、アニメ作品の使命であり醍醐味じゃないですか!

 もっとも、そこまでの過程には、なんだかんだと“努力と根性”のガンバスター的な苦心惨憺はあるはずです。

 『トップをねらえ!』は1989年、『プリンセスナイン』は1998年の作品ですから、プリンセスナインの皆様が時代錯誤な“集団ウサギ跳び”で汗だくヘロヘロになったり、いずみが鉄下駄で神社の石段を駆け昇り、下りも鉄下駄穿いていたので盛大にコケて“三段抜き跳びくだり”を強いられてしまい、股関節脱臼騒ぎになるような場面があっても不思議はありません。


 それはともかく、せっかくのプリンセスナインですから「決勝戦まで辿り着く」のは、絶対鉄板の“お約束”であるはずです。


 では、どのような男子チームと、決勝戦でまみえるのでしょうか?

 そこで対戦する相手とは……


       *


●恐るべき双子投手と敏腕女子マネージャー!


涼「明赤めいせき学園高校。盗塁を許さない迅速鋭敏な送球が特徴で、“タッチアウト軍団”の異名を取っているわ。エースピッチャーは下杉也達しもすぎなりたつ也和なりかずの双子投手」

陽湖「写真見てみて! 全然区別がつかないわ、それにどっちもイケメン! カ~ワイイ!」

涼「持ちだまは片方が剛速球、片方が変化球。二人が入れ替わっても、全くわからない。しばしば本当に入れ替わって打者を攪乱してるって話だけど、誰にも見破れないんだって」

小春「まるで忍者ぜよ。分身の術やき」

加奈子「選手だけでなく、超敏腕の女子マネージャーがついているんです。ほら、ベンチの写真で、黒いメイド服着ている子、深倉キタ。“逆転勝利ちゃぶだいがえしの家政婦”とあだ名されてて、キタさんがメイド服を着てベンチに入ると「深倉がキターーーッ!」と相手チームが悲鳴を上げて、泣きながらウェルカムダンスを踊るらしいです」

小春「どこが凄いんじゃ? ただのコスプレ女じゃが」

A子「分析と理論の鬼なんだそう。一目でバッターの癖を見抜いて、“外角低めは打てない”とか冥途のお告げをくださるんです。敵を冥途送りにする冥途服の家政婦さん。なんでも、ドラッカーを読み尽くして、免許皆伝の実力なんですって」

寧々「どら焼きのクラッカーなのか知りまへんけど、寧々さんは敗けるものですか。今日のおやつは手作りのエッグタルトとフィナンシェですよ~!」

小春「確かに勝ってる」

B子「でも最新流行、天下のドラッカーです。理論でかなうはずがありませんね」

寧々、指を振る。「チッチッチッお見それなく、この寧々さんもドラッカーを読破してきました!」

一同「えーーっ!」<のけぞり仰天する>

寧々「漫画のドラッカーで~す!」

陽湖「漫画にゃん」

寧々「でも中身は一緒ですよ! より効率的に、視覚情報ビジュアルでドラッカーを完食したのです。それにアルビン・トフラーの『第三の波』とリデル・ハートの『戦略論』も漫画で読んじゃいました。クラウゼヴィッツさんの『戦争論』も漫画で出たばかりです!」

涼「近頃は何でも漫画になってるんだ」

寧々「ノストラダムスさんの『大予言』も漫画で読みましたから、世界滅亡もドンと来いです! 去年の1999年に滅亡せずに2000年になっちゃいましたけど、ま、ドンマイ、ドンマイ」

ユキ、不敵な笑みで「ふふ、あちらが理論なら、こちらは未来予知プレコグニションで勝負よね。ノストラさんの予言は必ず当たるって評判だし」

涼「そっかー、宇宙人ユキにエスパー寧々、超能力野球だ。こりゃ心強いよね」

ユキ「それに、あたしたちには、聖良さんの祈りとヒカルさんのタマシイがついています。必ずや天のご加護がもたらされるでしょう」

小春、武者震いして「それこそ天下無敵じゃあ、せやき、わしらは勝てる! ニッポンの夜明けは近いぜよ!」

寧々「それにあたし、幼稚園に通ってた頃、あだちM先生の『タッチ&タッチ』も熟読してまーす!」

A子「あ、それって、明赤めいせき学園高校野球部をモデルにした超傑作ノンフィクション漫画じゃありません? 裏読みすれば傾向と対策を抽出できますわ」

B子「熊に鉄砲、鬼に金棒、TACОに蛸壺、蛇の道は蛇。明赤学園の双子投手と女子マネの弱点を見切ってやりましょう」

寧々「ちなみに『戦略論』のリデル・ハートさんは“兵站補給ロジスティックス”を重視した“間接アプローチ”が必勝の道とおっしゃってます。だから……」

真央「だから?」

寧々「おやつで勝利を掴むのです! スタミナ補給にドッサリお食べください!」

一同「賛成!」


       *


 ともあれ、『プリンセスナイン 如月女子高野球部』の放映は1998年。

 ですから、あだち充先生の漫画『タッチ』(1981~86に雑誌連載)は、作品の背景として十分に織り込み済みのはずです。


 プリンセスの彼女たちが高三の夏、王子園球場の檜舞台ひのきぶたいで対決するのは、タッちゃんもカッちゃんも擁する、あの超ド級にタナボタラッキーなパラレルワールドの高校である可能性、アリだと思いますよ。


 それはただ、勝った負けたの勝負では終わらない、意味深な試合になることと思われます。


 「高校野球の本質とはなにか」を問いかける、象徴的な一戦になるのではないでしょうか。

 といいますのは……


       *


●転覆する権威


 プリンセスナインが“王子園”の決勝戦にまで進む可能性が高まってくると、不安げにそわそわと浮足立つ人々が姿を現します。

 これまで、高校野球大会を支えてきた、“大人たち”ですね。

 特に、“高校野球協会”がらみの“偉い人”たち。


 だって、「あのシンクの大優勝旗グレートペナントが、今年はひょっとすると、キャピキャピ野球ガールズにキャピキャピとかっさらわれてしまう?」のですから。


 高校野球の黒歴史、じゃない白歴史に燦然と輝く、“歴史と伝統と格式と権威”を象徴する高貴な優勝旗ペナントが、あの生足なまあし娘たちのものになってしまう!!


 実現したら青天の霹靂、前代未聞の椿事です。


 まるでタイタニックのように転覆する、高校野球の権威。


 大正時代からかれこれ85年、女人禁制で連綿と引き継がれてきた“歴史と伝統と格式と権威”が、今どきの女の子たちによってチャンチャラと吹き飛ばされてしまう!

 大優勝旗を、ギャルどもに渡しちまっていいのか!?

 戦前から変わらない男尊女卑の価値観に凝り固まった偉い人々は、一斉にしかめっ面をし始めました。


       *


 女の子チームの優勝は、古今東西&万古不変&万世一系の“歴史と伝統と格式と権威”の大優勝旗に泥を塗る結果になりはしないか!?

 そんなことを内心で腹黒く、ドよ~んと考えてしまう人々がおられるのかもしれませんね。


 そんな「ドよ~ん」なオトナたちに、スカッと爽やかな場外ホームランをかましてくれるのが、プリンセスナインなのです!


       *


 “歴史と伝統と格式と権威”へのこだわりは、ありていに言って、大人のエゴです。

 プレイする少年たちにとって重要なのは、「この試合に勝つか敗けるか」であり、正直、それしかありません。

 勝たなかったら、敗退です、サドンデスですジ・エンドです。

 なのに大人たちは少年たちを気温摂氏40度クラスの炎天下で勝負させます。

 気温摂氏40度クラスの炎天下で運動会なんかやったら、児童虐待並みに社会問題化するでしょう。殺すつもりなのか! と。

 その狂気めいた異常さに気づかなくてはなりません。


 高校野球って、しょせん学校の部活動。

 みんな学生です、ちょっと前まで学童です、いたいけな子供たちです。

 大人のプロ野球じゃなくて、部活野球。

 あくまで趣味の延長なのですよ。

 だから安全に、かつ健康的にプレイすることが前提です。

 開催する季節を酷暑の時期から外せないのなら、さっさとエアコンつきのドーム球場にすればよく、そうでなければ開催地を高原の保養地か、千葉の海浜の、ホラ、日本一涼しくて快適という評判の町にすればいいのです。


 そのような改善を阻むのは、たいてい大人たちの石頭アナクロエゴ。

 “歴史と伝統と格式と権威”に拘泥するあまり、少年たちの努力と根性と闘志闘魂を美化して、優勝旗を目的化してしまうのですね。

 血と汗と涙の犠牲を払って勝ち取る優勝旗の尊さよ!

 いつの時代の話なんだか。


       *


 本来、優勝旗はスポーツを盛り立てるための“手段”だったはず。

 それがいつのまにか、“スポーツの目的”に変質してはいませんか?


 いわゆる「手段の目的化」ですね。


       *


 「野球のための優勝旗」でなく「優勝旗のための野球」になってませんか?


       *


 そんな問いかけを常々しておくことは、むしろ教育上、大切な事と思うのです。


 それを“女の子”の視点から鮮やかに見せて、かつ“魅せて”くれるのが『プリンセスナイン 如月女子高野球部』の快感であり素晴らしさではないでしょうか。


 だから、作品が“前半26話分”でプッツンと終わってしまったのが残念無念。

 「わたしたち、“優勝旗のための野球”をしていない? 本来“野球のための優勝旗”だったはず」

 そんな問いかけが、“後半26話分”のクライマックスに向けて、しっかりと語られていったのではないかと思うのです。


 いかにも“たっち”な感じの明赤学園高校と対戦することで、男子チームと女子チーム、両者揃って「優勝旗って誰がために?」と、スタンドのVIP席から球場を支配する大人たちに向けて、素朴な問いかけが為されたのではないか……と期待されるのですが。


 だから幻の“後半26話分”を私たちの想像力で補完することに、意味があるのではないでしょうか。


       *


●プリンセスナイン、ついに決勝戦に!!


 では、決勝戦は、どんな試合になったことでしょう。

 “サントラCD Vol.1”のライナーノーツでは原作&音楽プロデューサーの伊達憲星氏がこう記しておられます。

 「特に高校3年生の夏の甲子園大会あたりには、アッと驚くどんでん返しも用意されており」

 そうです、“アッと驚くどんでん返し”があるはずなのです。

 乞うご期待!! 心配ご無用!!


 と、太閤秀吉みたくドーンとハンコがつかれていたのですが……


 ここは私めが勝手に空想させていただくしかありません。

 暴論空論お許し下さい。


       *


 如月女子高vs明赤学園高校。

 両者一歩も譲らず、毎回一点を加算してゆきます。

 スコアボードはずらりと「1」が並び、後世に「ゾロ目大会」と伝えられる名勝負となりました。

 ズーッと「1」が続きまして、九対九の同点で延長戦に。


 ウィキペディアによりますと、「1998年の第80回全国高等学校野球選手権大会における準々決勝の第1試合「PL学園対横浜」で横浜高校の投手であった松坂大輔が延長17回を完投し、250球投げたことが後に論議を呼び、2000年の第72回選抜高等学校野球大会ならびに第82回全国高等学校野球選手権大会(地方大会も含む)から延長戦が従来の18回制から15回制に変更された」とありますので……


 いや、こんなことなら中途半端にせず、延長一回でやめりゃいいのに。


 ともあれ如月女子高vs明赤学園高校の決勝戦は、延長15回にして同点の15対15。

 これにて一旦打ち切り。


 日を改めて再試合が宣告されます。


 しかし……

 再試合前日、巨大台風が襲来。

 “王子園球場”では照明塔が折れ、スタンドの日除け屋根が落ちてしまいました。

 一面の池と化したグラウンドではナマズが泳いでおります。


 如月男子校の“お邪魔虫男”、ジェントルマンの高杉宏樹君が、ガラにもなく前日に黒魔術の“雨乞い”なんかをやらかした結果でした。

 なぜ雨乞いなどしたかと言えば、その昼になぜか山道を歩く涼を目撃した宏樹君は、ついついよこしまにも「突然の雷鳴→豪雨→少女の前にイケメンの俺様が出現→ついでに山小屋も出現→なぜか無施錠である→なぜか室内には暖炉とフカフカのダブルベッド→少女は服を脱いで乾かす」というアホなタナボタシチュエーションを期待したからでありました。

 しかし天の神様は太っ腹にも、宏樹の願いを快く聞き入れ、マンモスなメガタイフーンを瀬戸内海に爆誕させ、神戸へとおつかわしになったのでした。

 恵みの雨どころか、ノアの洪水。

 二人は結局、氷室財閥と高杉財閥がチャーターした海上自衛隊の最新鋭強襲揚陸艦、もとい、最新鋭輸送艦“おおすみ”のエアクッション型揚陸艇LCAC<エルキャック>に救助されたのでありました。


 ということで、再試合はお流れに。


 急遽、高校野球協会は氷室理事長の提案で規約を変更。


 決着は、両チームキャプテン同士の、ジャンケン対戦となりました。


 あみだくじ、こよりくじ等も検討されましたが、イカサマのリスクが付きまといます。結局、ビデオ撮影で判定できるジャンケンとなりました。


 ご発声は「ジャンケンポン」のはずでしたが、なぜか両者とも「アウト、セーフ、ヨヨイノヨイ」と掛け声をかけてしまいます。


 史上初の野球拳対決となってしまった決勝戦。


 しかしいつまでも「あいこでしょ、ヨヨイノヨイ。アウト、セーフ、ヨヨイノヨイ」が繰り返されてしまったのでした。

 延々と、百回も二百回も……

 「あいこでしょ」が途切れません。

 一時間、二時間と……

 ハラハラドキドキ、固唾をのんで見守る選手一同。

 なぜかユキだけが、ベントラースタイルで両腕を天に差し上げ、その頭上から七色の不思議な光が降り注いでおります。

 そして流れる曲は“アメージング・グレイス”……その意味は“大いなる神の恩寵”。

 気が付けば窓の外には夕闇が迫って……


       *


●そして同窓会。永遠の青春。


 数年後。

 おでん屋“志乃”は「本日貸切」。

 懐かしいプリンセスナインのメンバーが揃って同窓会です。

 誰もが、それぞれの道を歩んでいました。


 いずみと涼は、史上初の女性プロ野球選手となりました。

 所属チームが異なるので、伝説の両雄?対決にマスコミが沸いています。

 

 寧々はおフランスのパリでパティシエの修行中です、本日は急遽帰国。

 加奈子は医大へ進学しました。

 小春は亡き父の遺志を継ぎ、漁船団を率いて太平洋へ繰り出しています。

 真央は体育大学へ進み、憧れていた先生に弟子入りして、柔道でオリンピックを目指すことになりました。

 そして同じ体育大学で、真央は聖良に再会したのです。

 聖良は独学で大検に合格、短距離から女子マラソンへ転向し、やはりオリンピックを目指しています。

 陽湖は芸能界入りを果たしました。

 ただしアイドルでなくツッコミ専門のお笑い芸人として。

 その相方のボケ役は、ユキ。いつもジョーンズな宇宙人が乗り移って共生しているという設定で、陽湖と一緒に各種の“ずっこけファーストコンタクト・コント”をネタにした「ベントラー漫才」でM1制覇を目指しています。


 そこへ、誠四郎君がやってきます。

 彼が抱いているのは、ヒカルの遺影となった油絵。

 額の中で、ヒカルはプリンセスナインの青春の時間のまま、息づいています。

 誠四郎と涼は、お互いの心の空白を埋めるかのように、幸せな交際を少しずつ進めています。


 そして、高杉宏樹は……。

 リンカーン・コンチネンタルなバタ臭い超高級アメ車を乗りつけますが、現れた彼は黒い神父服。

 「高杉神父!」と一同、こうべを垂れます。

 「今日も迷える子羊たちに祝福を……」と手をかざす宏樹。この先、徳を積み重ねて枢機卿へ、そしていずれは日本人初のバチカン大教皇様へ???


 「君はいつも気持ちがすさんでいる。勇気を振り絞ってこの僕に懺悔し、心の中の悪魔を追い出すのです」と、いずみに説教する高杉神父。

 「エクソシストか? あんたの方が女の敵、吸血鬼ドラキュラに見えるんだけどさ」と聖良。

 「僕は大丈夫、心から悔い改めたので、貴女と違ってちゃんと極楽へ成仏できますよ。その時は地獄の貴女に蜘蛛の糸を降ろして差し上げましょう」と、何もかも吹っ切って、爽やかな笑顔の宏樹。 


 志乃の手で頭を押さえられて、神父にお辞儀をさせられる木戸監督は相変わらずのヘベレケヨッパライ。

 目指すは断酒した“下戸げこ監督”なのですが、無理そうです。

 そこへサキュバスの誘惑とばかりにビールをお酌する聖良。

 木戸と聖良は、まるで父と娘みたいな、ざっくばらんな親密さ。

 木戸は志乃にホの字なのですが、志乃は「間に合ってます」といった感じで、二人の間はいまだに“恋人もどき、夫婦めおと未満”です。

 三人して、和やかな“家族ゲーム”なのかもしれません。


 店の奥の六畳の間で、小さな卓袱台ちゃぶだいを囲んでぎっしりと集まった全員を、階段の上からA子がビデオ、B子が写真で撮影。


 音楽はいつしか、エンディングテーマの『PASSIONATE DAYS』ですね。


 卓袱台ちゃぶだいには当時の新聞記事のスクラップブック。

 記事の見出しは「野球拳も決着つかず、大会は大どんでん返し! 高校野球史上初、前代未聞のダブル優勝! 大優勝旗は両校で仲良く交互に保管」。

 一旒いちりゅうの優勝旗を囲んで、両校ナインが爆笑のVサイン。

 「もう、笑っちゃうしかなかったよね」と涼。「ジャンケンだけで、頭クラクラ、肩がガタガタに疲れちゃったもの」

 そこへ「涼ちゃん! 今日はフリーだろ、助けてくれや、投手の松じいさんがピンチなんだ!」と、草野球のおっちゃんたちが顔を出す。

 「もう! 仕方ないわねえ」と呆れる涼。

 「はい、これ!」と志乃が涼にグラブを投げてやる。


 今度こそ本当に“完”。


       *

       *

       *


 そこまで行って、初めて“完”になると思います。

 『海がきこえる』(1993)を手掛けられた望月智充監督、ラストシーンは絶対に、プリンセスナインの同窓会で飾られたと思いますよ。


 “前半26話分”でふっつりと途切れた『プリンセスナイン 如月女子高野球部』。

 放映の1998年から今年で28年が過ぎました。

 でも、プリンセスナインは全然終わっていません。

 私たちの心の中で、物語は今も続いています。


 どこが「完」だったんだよ、ねえ。


 でも本当に、良い作品でした。

 めぐり逢えてこれほどうれしかった作品、十何年ぶりかなあ。

 人間、長生きするものですねェ。

 繰返し述べますが、2026年4月の今もYouTubeで「公式」と冠して、“前半26話分”が公開されています。画質も音質も、言うことなしですよ!

 未見の皆さまは今のうちです。御見逃しなきように!


       *


 涼の母・志乃を演じられている声優さんは、ナウシカの島本須美さん。

 氷室理事長を演じられている声優さんは、クシャナの榊原良子さん。

 夢の共演ですね。

 昭和の薫り高き20世紀をしめくくる、歴史の記憶ではないかと思います。

 永遠の青春が、ここにも。



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