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卒業しても前途多難な日々は続く

 半年後。ついに卒業式がやって来た。

 元家族がやらかしたせいで卒業出来るか心配したけど、ゴドウィン公爵のお蔭で卒業出来た。

 卒業後の進路は予定通りの留学だが、父公爵に『留学先はヴァレー皇国』と決められてしまった。この皇国は友好国の一つで広大な国土を誇る大国だけど、ぱっと思い付く主要産業は、漁業と貿易だけか? 海に面しているのでその他の産業のイメージがない国だ。魔法金属加工研究がしたかったので、元は別の国を希望しており、公爵にもそれは伝えていた。この国を指名した理由は不明だ。何が有ったのだろう?



 講堂で学長や来賓から長い祝辞を聞き、夕刻、王城で卒業パーティーが行われた。着ているドレスと宝飾品類は全て義母と義姉が選んでくれたものだ。何故この二人なのかと言うと、義姉は将来、義母のように『デビュタントを迎える令嬢にドレスを送る側』になるのでその予行として選んでくれた。

 想像以上にかなり多くの手順を踏んでドレスを送るらしく、才女と呼ばれる義姉が『覚えきれるかしら』と不安を覚えて愚痴を零す程だった。

 それでも、女性を着飾るのは心躍る楽しい事なのだろう。二人は終始楽しそうだった。

 で、そんな二人が選んだドレスは、ルビーのような赤色のドレスだった。夜会用の細身のドレスだが、コルセットを着けるタイプではない。コルセットドレスが『やや流行遅れ』と化していて良かった。正直な話、コルセットは嫌いなんだよね。内臓を押しつぶす勢いで締め付けられるから、想像以上に苦しいのよ。今日のドレスがコルセット着用だったら、アスリートのように数日前から食事量を調整して胃の大きさを変える必要があり(やらないとコルセットを着用する時が苦しい)、本日お披露目でドレスがコルセット着用ではないタイプだったのを見て胸を撫で下ろした。

 宝飾品のブレスレット、イヤリング、ペンダントは全てブルーサファイヤが使われており、相当高価である事がうかがえる。台座も銀ではなく白金だったので『一体どんだけ金を使ったんだよ』と見た瞬間、心の中で突っ込んだ。着用したら重かったよ。

 重い宝飾品を身に着けてダンスを踊る気にはなれず、開始早々ノンアルコールカクテルが注がれたグラスを片手に、壁の花となった。

 カクテルが空になる頃になって、リースがいない事に気付いた。

 通りすがりの給仕に空になったグラスを渡して、どこにいるんだろうと会場を探し始め――同時に会場がざわついた。

 何事かと思いざわつきの中心を見ると、司会進行が『友好国ヴァレー皇国の第二皇子が来た』と会場に知らせた。

 ちなみに、同学年に王族はいない。なので、友好国を代表して祝辞を言いに来たのかと、早々に興味を無くす。留学先とは言え、王族に遭う確率は低いだろう。一瞬、脳裏に『呪いめいた加護』の存在が過ったが、この国の王族とのフラグすら立てなかったのだ。しかし『だから大丈夫』と言い切れないのが悲しい。

 会場を少し移動し――途中、知り合いと軽く話して別れ――再び壁の花になるかと考えた直後、聞き慣れた声が響いた。

「フィーナ!」

「? リース?」

 このやや中性的で落ち着いた声は、記憶が正しければ、会場に何故かいない『留学生リース・ベイカー』のものだ。自分を『フィーナ』の愛称で呼ぶのも彼しかいない。

 やっと来たのかと振り返ると、全く知らない顔がそこに在り、思わず呆然とする。いや、雰囲気自体は知ったものなんだが。

 振り返った視線の先にいたのは、華やかな印象の赤い髪に青い瞳の同年代の少年。断じて金髪ではなく眼鏡もかけていなかった。ニコニコと笑顔を浮かべているが、見覚えのない顔に、失礼だと分かっているが思わずじろじろと見てしまう。そして、少年の後ろには上位貴族の令嬢が何人もおり、全員こちらを物凄い形相で睨んでいる。周囲にもこちらの様子見をしている卒業生がちらほらといる。保護者がいなくて良かった。

 目の前の人物が誰か分からないので、失礼承知で目の前の少年に確認を取る。

「……リース、なの?」

 少年は嬉しそうな顔をして言葉を発しようとしたが、牽制するように彼の背後にいる令嬢達が烈火の如く怒り出して罵って来た。

「とんだ馬鹿ですわね! 貴女一体何を言っているのよ!!」

「こちらの方が何方か知らないなんて、恥知らずにも程がありますわ! 不敬ですわ!」

「顔に栄養が行かなかった女が何を言っていますの!」

「恥知らずな格好をしておいて、何を言っていますの!?」

「娼婦でもそのようなドレスは着ませんわ!」

 怒りよりも『嫉妬』が滲み出ている台詞の数々。卒業を祝うパーティーに、余りにも不相応な怒声に何事かと耳目が集まる。

 未だに自分を罵って来た令嬢達に背を向けている少年もこれには眉を顰めた。

 自分は額に手を当てて、嘆息を零した。

「知り合いか誰何しただけで、どうしてここまで罵られなくてはならないのかしら?」

 全くもって訳分からんと、頭を振れば令嬢の一人が柳眉を吊り上げた。令嬢の口火を制するように、少年が怒気の籠った声を漏らす。

「恥知らずな格好って言ったけど、ドレスはゴドウィン公爵夫人が選んだものだと聞いたし、アクセサリーは全部俺が贈った。俺に選ぶセンスがないと言いたいのか?」

 少年の冷え切り、怒っている事が丸分かりな台詞に、怒りで顔を赤くしてた令嬢達は顔を青くし、こちらに注目していた卒業生はさっと視線を逸らしてこちらから距離を取る。さり気なく、暴露が交じっていなかったか。

 少年が背後に向かって追い払うように手を振れば、蜘蛛の子を散らすように、令嬢達は顔を青くしたまま逃げて行った。

 自分は目の前の少年の仕草を観察していた為、令嬢達が去るのを見過ごしてしまった。顔と名前覚えるのを忘れた事に気付き、どうしようか悩んだが、忘れる事にした。周囲から冷たい視線を送られていたから、パーティー中はさぞかし居心地が悪いだろう。

 それに、少年の取り巻きをしていた事から推測するに、婚約者もいなさそう。今から男を捕まえるのは大変そうだが頑張れ。死ぬ気で探せば好色爺が選択肢に入る事はないぞ。

「全く鬱陶しい。顔と身分で近付いて来る女はこれだから……」

 黒いオーラを纏って、少年が何やら呟く。聞き取れなかったので呟きの内容は無視し、最優先事項である『この少年がリースであるか否か』の確認を行う為に呼びかけた。

「リース?」

「あっ!? 済まないフィーナ」

「いや、それよりも……」

 少年がリースである事に安心はしたが、今までと外見が違い過ぎるのでどう反応をしていいのか分からず言い淀んでしまう。

 リースもこちらの言いたい事が分かるのだろう。エスコートを申し出るように、掌を上にして手を伸ばした。

「全部説明するから、移動しよう」

「納得の行く説明を所望する」

 何時になく良い笑顔のリースの手を取り、自分はため息を吐いた。



 移動しながら改めてリースは己の事について語った。

 ヴァレー皇国からの留学生である事。耳目を集めない為に出身地を隠していた事。『リース・ベイカー』は偽名である事。

 そして、本名は『レイス』で有る事。

 これらの事を語り、リース改めレイスは謝罪して来た。

「隠し事が多くてごめん」

「誰だって隠し事の一つや二つは有るでしょ」

 気にするなと言えば、レイスは嬉しそうな顔をする。……名前をフルネームで聞かない事も含まれているだろうか? 本人が言わない事から『気にしない事』にしたのだ。聞いたら絶対に何か起きる気がしてならない。こんな時の直感は冴えるのだ。

 偏見だが、貴族は売名に忙しい。家名を名乗らない時点で『特殊な立場にいる』程度の事は容易に想像出来る。

「忘れていたけど、このアクセサリー全部レイスからだったんだよね?」

「礼は良いよ。在学中に一番世話になったのはフィーナだったし」

「そういう訳には行かないでしょ」

 レイスに礼を言ってから、改めてアクセサリーを見る。ブルーサファイアと台座の白金。

「……高かったでしょ」

「いや、父に『女性の友人にアクセサリーを送りたい』と相談したら、材料が届いたんだ」

「資金じゃなくて材料を送るか。斬新ね」

「ああ。お蔭でかかった費用は加工費のみだ」

 色々と突っ込みたいが、我慢する。沈黙は金、多弁は銀なのだ。



 到着した利用者皆無の休憩室の一室で、自分はリースから説明を受け、質問をしながら、テーブルにあった料理を頬張る。

「リース・ベイカーって偽名はどこから出て来た以前に、本名で通えなかったの?」

「うちは一応大国だから、流石に本名で通うのは駄目って言われたんだ。顔と名前で寄って来る令嬢とかも好きじゃないから、『令嬢除け』として変装して偽名を名乗った」

「そこまでやって留学する必要あるの? 皇国の方が教育機関の数も多いのに」

「いやー、この国じゃないと魔法具の性能限界試験は効率が悪いからね」

「耐久試験の為だけに来たの?」

「それだけじゃない。身分を隠すって、楽しいだろう?」

「ああ……」

「それに国にいたら、俺を王太子に据えようと躍起になっている、莫迦な老害が何を仕出かすか分からなくてね。避難の意味も含めてだ」

「成程。探索の魔法から逃げるついでに遊ぶ事にしたのか。人を図太いと言っていた以上に、お前の方が図太いな」

 不穏当な単語が紛れ込んでいたがスルーする。そんな事よりも、頬張ったローストビーフのサンドイッチが美味しい。

「そんなに図太いかな? 俺の事情そっちのけで料理を堪能するフィーナの方が図太い気がする」

 サンドイッチを嚥下してから、レイスに何となく語る。

「……ただの勘でしかないが、今後料理を純粋に堪能出来る時間がない気がしてね。今の内に楽しんでおこうかと思った」

「そうか。だったら俺も食べるか」

 何とも言えない顔をしたが、レイスも料理に手を伸ばす。

 暫しの間、共に料理を堪能した。



 しかし、休憩室に長く居られる筈もなく、時間にして僅か二十分程で会場に戻った。

 レイスのエスコートで会場に足を踏み入れると、注目が集まった。ほぼ全員がレイスに注目しているので、ふと気になった事を尋ねる。

「今更だけど、レイスが『留学生リース・ベイカー』だったって、公表した?」

「そう言えばしていないな」

「今からでも良いから公表した方が良いぞ」

「そうか、な?」

「こっちに被害が出るから早くやる事を勧める」

「こんな時でも『自分の身が優先』な辺りがフィーナだね」

「誰だって我が身が可愛いだろう? 延焼を最小限にする為にも」

「俺にも延焼するのか。それならやるか」

 レイスの傍から離れる。と言っても数歩程度だが、視線の圧は若干弱まった。レイスは自分に視線が集まっている事を確認すると、こんな時でも持っていた偽装に使用していた眼鏡を装着する。髪が金色になり、会場に動揺と騒めきが広がる。やっぱり『リース=レイス』だと気付いていない人間ばかりだったか。

 自分は声を聞いただけでよく気付いたな。動揺と騒めきを完全に無視し、レイスは改めて自己紹介を始めた。

「影の薄い留学生、リース・ベイカーって言えば分かるかな?」

 第一声を聞いて自分は心の中で突っ込んだ。それは自己紹介とは言わん。

「今日は祝いのパーティーだ。俺の事は気にせずに、楽しんでくれ」

 それだけ言い、眼鏡を外して元の姿に戻る。そして、少し離れていた自分の手を掴み、歩き出した。

 一方。言いたい事だけ言ったレイスに目を点にしていた卒業生達は数秒の間を置いて――やらかしに心当たりの有るものは顔色を変え、下心の有るものは何かを考え始めた。令嬢達の中には『あの留学生だった』事を知り、獲物を見つけた肉食獣のような目付きになるものもいた。

 しかし、レイスが彼らを無視するように自分の手を取り歩き出すと、彼らは泡を食ったようにレイスの引き留めを試み始める。

 引き留めの中には自分を貶す文句も有り……レイスが会場を一睨みして黙らせた。

「君らと違ってリース・ベイカーだった頃に『分け隔てなく』接してくれた、俺の友人を貶すのは止めて貰おうか。それに、今の彼女は『ゴドウィン公爵家』の令嬢だ。問題は一切ないぞ」

 ゴドウィン公爵家の名前が出て殆どの卒業生が口を閉ざす。

 数ある公爵家の中でも、この家は特に権力が強い。それもその筈で、王国建国時から公爵家として存続する家なのだ。現在は文官系の家だが、傭兵が公爵家となった影響でこの家の人間は何かしらの武芸を嗜む。嗜むのだが家の始まりの経緯を知り、よく脳筋家系にならなかったなと、感心する。

 家の影響力は自分も良く知っているので、可能な限り使わないように心がけていた。結果として侮られる原因にもなったが、養女としては正しい選択だ。虎の威を借る狐になったら追い出されかねないしね。

 黙り込んだ卒業生をもう一睨みしたレイスは、今度こそ自分を連れて歩き出した。

 会場テラスに移動し、人目がなくなったところで、レイスに気になった事を尋ねる。

「……いいの?」

「何が?」

「使える奴とか、目を付けていた奴とか、いたんじゃないのか?」

 過去の経験上――どこの国でもそうだったが――国の上層部の人間は優秀な人材を欲しがる傾向に有る。他国に身分を隠して留学していたのだから、レイスも一人ぐらいは見付けて居そうな気がした。

 他国からの留学生と名乗って過ごせば、目を付けた人間の『素』の状態が見れる。能力が有っても素行に問題が有るような人物はどこでも好まれない。良さそうな人間の本来の人柄を知る機会をレイスが利用しない筈はない。何となくだが、そう思った。

「気遣いありがとう。でも、男子で良さそうな奴はいなかった。女子はあの様だしね」

 レイスは嘆くように言った。言っている事は本心のようだ。

 ……ただの留学生ではなく、『影の薄い』留学生の振りをしていたレイスの魂胆が見えた気がする。該当する場面にも遭遇した経験が有る。

 いる事に気付いた時に、咄嗟に悪態を付いたりしないか見ていたんだな。

 だから、やらかしに心当たりが有る奴が多かったのか。

「そんな事よりも、フィーナの進路は留学だよね? 留学先はどこなんだい?」

 にっこり笑顔で、先の会話を『どうでも良い事』と切り捨て、レイスは話題を変えた。

 一人納得していた自分は、突然の話題転換に首を傾げるも正直に『ヴァレー皇国』と答えた。

 大国なだけあって、教育機関や研究機関は多い。

「元々はヴォルケーノ王国を希望していたんだけどね、義父から『ヴァレー皇国にしなさい』って言われたんだ」

「ヴォルケーノは鉱山狙いで戦争を良く仕掛けられる国だよ。何であそこなんだい?」

「魔法で行う金属加工の研究がしたかったの。鉱山が近いなら材料とか安く手に入れられるかなって」

 レイスが言うように、本来の留学希望先である『ヴォルケーノ王国』は『戦争の国』と言われる程に鉱山狙いで戦争を仕掛けられる事が多い。

 でも、他国から目を付けられる程に良質な鉄や鋼、金や銀などの金属と多種多様な宝石が採掘される国でもある。ヴォルケーノ王国産の金属や宝石は非常に高値で取引される。

 また、隠れた名産品として、香草や香辛料が有名だ。畜産も盛んで、ソーセージが生産されているのもこの国だけ。庶民向けの名物料理『チーズソーセージサンド』なるものが在る事を知り『ホットドッグみたいだから食べたい』と素直に思った。

 ……材料費を浮かせる為だけに留学先にヴォルケーノ王国を希望していただけなので、食欲が優先ではない。念の為。

「でも、ヴォルケーノは研究機関が少ないし、女で研究機関に入る変わり者はいないから駄目ってね」

「それは公爵が正しいだろう。あの国は女性が政治に関わる事を『良し』としない国だからね。『一人で何も出来ず、政治に口を挟まない女性を理想』とする時代遅れの国でもある」

「あー、時代遅れの理由を聞いて確かにって思ったね。今はどこの国でも『上位貴族の女』は政治にある程度の理解がないとやっていけないし」

「ヴァレーでも同じだよ。それにね、ヴォルケーノは辣腕を振るっていた宰相が先月病死した。一ヶ月経つのに未だに国内が混乱状態に有るらしい」

「宰相がいなくなって混乱って。それ、王家にまとめる能力がないって証拠じゃない」

「先代と今代の王で国内はかなりボロボロらしい。宰相が立て直しに奔走していたから、辛うじてって状態だったそうだ」

「うわぁ。内憂外患で内戦一歩手前だったりする?」

「その情報は聞いた事がないけど、かなりピリピリしているみたいだ。宰相の病死も『本当に病死なのか』って疑う連中が多いらしい」

「疑う連中がどこの派閥か知らないけど、泥沼化しそうね」

 観光客を装って名物料理を食べに行こうかと思っていたが、これは諦めた方が良さそうだ。

「材料費の工面方法もう一度考え直さないと、か」

 面倒な事になったが、ヴァレー皇国で原価の確認をしてからでも間に合うだろう。

「?」

 会話が打てば響くような状態になると、レイスの笑みが徐々に深まって行く。嫌な予感がする。

「政治への理解が適度に有るからやっぱり、フィーナは良いね」

「そう? 留学先では単独行動が基本だから、一人でも大丈夫なように情報収集をしただけ」

「ん~、でも、そこまでやる同学年の令嬢はいないよ。絶対に誰かお供を連れて行くって」

「カッシング家での私の扱いを忘れてない? あの家で専属侍女すら付けて貰えず、所持品は片っ端から妹に強奪されてたんだよ」

「ごめん。そうだったね」

 レイスの台詞に突っ込みを入れたら、素直に謝って来た。気にするなと言えば、レイスは乾いた笑いを浮かべる。

 それにしても、一つ気になる事が有った。

「ねえ、レイス。気になったんだけど、婚約者いないの?」

 本心としては『どうして自分をここまで気に掛けるのか』と尋ねたかったが、ストレート過ぎる気がしたので内容を変えた。

「いないよ。山のように勧められたけど、どの令嬢も『贅沢したい』って子ばかりだったから全部断った」

「そ、そうだったの」

 良い笑顔できっぱりと言い切られた。台詞の端々に黒い何かが見えたのは……気のせいだろう。

「でも、フィーナがそんな事を気にするなんて、意外だね」

「そうか、な?」

「うん。フィーナは学校で、人を避けるようにしていただろう。フィーナを狙っている奴は割と多かったのに、淡白な対応で鼻白む奴が多かった」

 そうだろうか。自分は男嫌いと言うか、人嫌いと言うか、人付き合いが余り好きではない。諸事情から一人でいる方が気楽だったし、姉のものに執着するしか能のない妹がいたから、特定の友人を作る事自体避けていた。

 家庭内でも孤立していたから、独りでも気にならなかった。

「あの妹がいたからだろうね」

 他人を避けるようになった最大の原因は間違いなく妹だろう。姉のものを何でも欲しがるくせに、手に入れると興味を無くす、最低なところが有った。婚約者が出来ても、奪い取りに来ただろう。両親は『姉だから譲れ』としか言わない馬鹿だから、妹の味方をする。絶対修羅場になる。

 もう会う事はないとは言え、あれが家族だったと思うと、鬱になる。菊理の記憶がなかったら、絶対グレているだろう。

 テラスの柵に寄り掛かり、夜気を吸い込む。鬱屈とした気分は晴れないが、もう起きないと思えば幾分軽くなる。

 暫しの間沈黙が下り、レイスが尋ねて来た。

「家族がいなくなって寂しいのかい?」

「まさか。家族運のなさを嘆いただけ。当分起きないのならいいかなって」

 この世界ではもう起きない。だから、もうどうでもいい、そう思えるのだ。

 でも、いつかこの世界から離れて、別の世界に転生して――また繰り返す。

 確定しているその未来が憂鬱なのだ。

「やっと、身軽になれたから、明日の事は明日になってから考えるしかない」

 これからやって来る未来を視る事は出来る。でも、一つ変えても大量の可能性が残っており、望んだ未来はその果てにある。

 視て変える事に労力を費やしては、何の為に視ているのか分からなくなる。なので、滅多な事では見ないようにしている。

 再び沈黙が下りる。先程は聞こえて来なかった、会場の喧騒が少しだけ聞こえて来る。視線を会場に向けると、出入り口のガラス戸が少し開いており、その傍にこちらの様子を窺っている複数の男女がいた。視線が合うと男女は慌てて逃げ出した。

「はぁ、出歯亀が多い」

 レイスは逃げ出した男女を見てため息を吐き、何故か自分の手を取った。

「気分転換に、一曲踊ろう」

 気分転換になるのかそれ? そう突っ込みたかったが、言葉にするよりも先に手を引かれ、会場に戻った。

 会場の中央はダンスの場となっており、少し離れたところで楽団が流麗な演奏を行っている。

 やっぱりと言うか、自分とレイスが中央でダンスを踊り出すと、視線が集まる。嫉妬に満ちた絶対零度の視線が鬱陶しい。

「フィーナって本当にダンスが上手だよね。コツでもあるの?」

 レイスとのダンスは初めてだなー、と暢気な感想を浮かべてぼんやりと踊っていたら、一曲半ばで不意にレイスが尋ねて来た。

「いや、思った通りに動けるように練習をしただけ」

「何か、戦士みたいな言い分だね」

「そうかな?」

「うん。そう言えば、剣とかも使えてたね」

「元々家を出る予定だったから、護身程度にやっていただけ」

「あれで護身か。基準が高い」

 レイスは苦笑を零した。

 ……前世で武芸をガッツリとやっているので、表向き護身程度にしておかないと目立つんだよ。騎士を目指している跡継ぎではない令息とかから『女の癖に』とか言って突っかかられないように、ある程度抑えているのだ。あとが面倒だからね。

 思い出してちょっと辟易していると、曲が終わった。

 婚約者同士ならば、このまま連続して踊っても問題はないが、自分はレイスの婚約者ではない。なので、ダンスはここで終わりだろう。

 しかし、レイスは何故かにっこりと笑って、もう何曲か踊ろうと、提案して来た。マナー的に良いのかと思わなくもないが、

「フィーナ以外の令嬢と踊ると、何人も相手をする羽目になる。フィーナと何曲か踊って、他の令嬢と踊る気はないって、意思表示しておこうかと」

「私は女除けか」

 違いないと笑うレイスはどこか楽しそうだった。

 周囲の令嬢を見やると、肉食獣のような目付きでレイスを見ている。

 態度の切り替えが早い。あの眼鏡を装着していた時は『影が薄い』とか、『どこの貧乏貴族の令息なのかしらね』だのと陰口を大量に吐いていたのに。やっぱり顔なのか? 顔なのか? 確かに、今のレイスの顔は良いけど、『絶世』って感じではない。

 銀髪碧眼のパーティメンバーを思い出す。顔が中性的過ぎて男か女か分からない上に、誰もが『絶世の美形』、『美の女神に愛された』と称える容姿の男。メンバー内では――出会った時の年齢が最年少だった事も有り――全員から弟扱いされている。そして、自分を入れた女衆四人の中で、何故か自分にだけ懐く。後ろから抱き着いて来るのは日常茶飯事で、今となっては転生先で再会した時の年齢の上下が逆転する事も有ってか、体格差が原因か、横に座るとたまに膝に乗せようとして来る。何と言うか『猫扱い』されている気分なのだ。

 そんな男を見慣れているからか、ボディタッチに慣れてしまったからか、容姿が整った男を、見ても触れても、何も思わなくなった。

 枯れているのか、目が肥えているのか不明だが、見た目で騙されなくはなった。むしろ、『男は性格』、『顔だけの男は嫌だな』と強く思うようになった。自らハードルを上げた気がしなくもないが。

 そうこうしている内に、曲が始まった。利用されている感が有るが、曲が始まってしまった以上、今から離れる事は出来ない。

 仕方なく、レイスと二曲目に臨む。令嬢達からの嫉妬に満ちた視線が背中に突き刺さる。先程よりも数が多い。鬱陶しさもアップした。

 たまにのんびりと会話をしながら踊り、二曲目が終わると、会場が再び騒めいた。

 出入り口を見やれば、盛装した保護者が入って来る。別室で行われていた、卒業生の保護者だけの歓談会が終わったと言う事か。パーティーの時間も残り僅かだな。

 曲もちょうど終わったので、義両親たる公爵夫妻に挨拶に向かう。

 一人で向かおうとしたが、レイスが『在学中に世話になったから挨拶がしたい』と申し出て来た。必要だろうかと思わなくもないが断る理由はないので、レイスにエスコートされるまま一緒に向かった。

 しかし、レイスと一緒に動くとやたらと注目を受ける。何故だろう、と内心首を傾げる。

 聞かなった事にしたセリフに秘密があったのかと思う。そして、自分達に気付いた公爵夫妻が驚き、あらまぁ、と言った感じな目で見て来る。

 今になって『レイスの正体』が気になったが、今更過ぎる。

 歩み寄った夫妻の許で合流の挨拶――とはならなかった。

「うふふ、話に聞いていた以上に仲が良かったのね! お話は受けましたの? どんな返事を返しましたの?」

「是非とも知りたい! 返事は何て返したんだい?」

 色々とすっ飛ばして、奇妙な事を尋ねられた。

 何の事だか分らず、思わず首を傾げて黙り込むと、今度は夫妻が揃って首を傾げた。

 待て。何だその反応は? てか、『お話』って何!? 

 背中に嫌な汗を感じて、ぐりんと首を動かしてレイスを見上げる。目を眇めて見詰めれば、にっこりと微笑が返って来た。

 夫妻は微妙な齟齬を感じてか、自分とレイスを見ている。

「公爵、夫人。申し訳ありませんが『まだ』その話はしていないのです」

 そう言ってレイスが軽く頭を下げれば、夫妻は揃って驚き、自分の反応に納得した。

「まぁ、そうでしたの」

「そうだったか。だが、時間はこれからたっぷりとあるから大丈夫だろう」

「ふふ、そうですわね」

 だから、何の話なの?

 そう訊ねたいけど、夫人のにっこり笑顔で拒まれた。自分で気づけって事ですかい。

 そのまま軽く談笑し、パーティーの終了時刻となった。

 会場でレイスと別れ、夫妻と共に馬車に乗って帰路に着く。馬車の中では何も聞かれなかったが、帰宅すると領地に帰った筈の義理兄夫婦がいた。妙にいい笑顔をしている。

 その後、義両親と義兄夫婦の四人から、パーティーでの事を根掘り葉掘り聞かれた。

 一番の疑問は自分とレイスが『恋仲』扱いされている事である。タメ口で会話をする程度の仲だが、何をどうしたら恋仲扱いされるのか? 

 実に不思議だ。

 ここまで来るとレイスの正体が気になるが、質問攻めで精神的に疲れ切った自分は『明日になってから考えよう』と思考を丸投げして眠った。

 翌朝、後悔するとも知らずに。



 翌日。

 公爵家としてのいつもの朝を過ごし、留学最終準備に入った。

 留学先はヴァレー皇国の皇立魔法学院である。この学院は錬成科と言う『地球で言う錬金術に似た事を学ぶ』学科が存在する。魔法具や魔法薬の事について学ぶならここが良いと勧められて決めた。

 微妙に人気がないのか、入試の倍率は想像以上に低く、推薦入学が決まった。

 入学出来るのは良いんだけど、この学院はヴァレー皇国の皇族が在籍している学院でもある。つまり、会いたくない皇族に会う確率が上がるのだ。

 地味子に徹していればいいんじゃないかと、思わなくもない。だが、自分には権力者との遭遇率が上がる『馬鹿げた加護』が有る。いつぞやかの時に、『雪原で拾った男が王子だった』がリアルに起きたから油断は出来ない。

 幸いな事に、皇族が在籍している学科は帝王学系を学ぶ学科だ。ここは跡継ぎの令息達が多く在籍している上、同じ敷地内でも校舎が違う。

 朝と昼休みと放課後、辺りの時間帯だけ気を付ければ問題ないだろう。

 心配は有ったがそう考えて自分を納得させた。

 午後。前もって寮に送る荷物の最終チェックを行い、一休みしてから作業前に作ったチェックリストを使って最終確認をしよう。

 そう思って二階の自室から居間にまで下りたところで、侍女の一人から来客の知らせを受けた。

 はて? と首を傾げるも、反射的に確認したのは自分の服装である。

 ここは公爵家。どんな来客が来るか不明。なので、急な来客対応をしても問題のない格好をしていた方が楽なのだ。着替えは面倒だからね。

 現在の服装は義母と義姉から贈られた、クリーム色のロングワンピースに白いカーディガンを羽織っている。暗色系を好む自分としては、まず選ばない色なので『いつもと違う』と自己認識させるには十分だ。ピンク系は好かないので何が何でも拒否した。

 普段着は急な来客に対応出来るものをリクエストしたので、このまま来客対応をしても大丈夫だろう。

 侍女の案内で来客が待つ応接室にそのまま向かった。

 


 応接室のドアを開けると、

「やあ」

 呼んだ覚えのない人物がいた。ドアを叩き閉めたくなったが、来客の対面に義母がいるので出来ない。内心でため息を零して入室する。

 挨拶もそこそこに、義母の隣に座る。

 正面のレイスと横の義母は何故か笑顔だ。とっても良い笑顔である。

 笑顔の理由も聞きたいが、その前に確認を取る。

「変装した状態で来たの?」

「いや。このままで来た。昨日正体を明かしたからもういいかなって」

「……変装して遊んでいたのではなかったの?」

「近い内にヴァレー皇国に帰るから、これ以上遊ぶ必要はないね」

「……そう」

 それだけ返して、出されたお茶に手を伸ばす。公爵家が来客に出すお茶なだけあって味も香りも良い。楽しむ余裕はないけど。

 沈黙が下りた。ちらりと正面と隣を見ると、大変良い笑顔を浮かべている。どうやら自分が口火を切らなくてはならないらしい。

 内心でため息を吐いてから、当たり障りのない話題を振った。

「ヴァレー皇国に何時頃帰るの?」

「荷物まとめはもう終わってるから、五日後かな」

「今日はその挨拶?」

「それも有るね」

「それも?」

 思わず聞き返してしまった。当たり障りのない話題を振った筈なのに、何だか嫌な予感がする。部屋に戻りたい。

 レイスは令嬢が見たら間違いなく落とせるだろう笑顔で宣った。

「どうせだから一緒に行こうよ」

「……」

 却下だ馬鹿! そう突っ込みたかった。発声は抑えられたが、何も返せず絶句してしまった。笑顔のレイスが恨めしい。

 額に手を数秒当てて返す言葉を探す振りをする。内心でため息を吐く。ため息を吐く機会が多いなぁ、などと思いつつ、断りを入れる。

「勘違いを受けそうなのでお断りで」

「俺は気にしないけど」

 こっちが気にするんだよ。そう叫びたかった。卒業パーティーで嫉妬に満ちた視線を大量に浴びたのだ。あれを毎日のように浴びるのは御免被りたい。そう思い『卒業パーティー』で一つ思い出した。



『うふふ、話に聞いていた以上に仲が良かったのね! お話は受けましたの? どんな返事を返しましたの?』

『是非とも知りたい! 返事は何て返したんだい?』

 


 脳裏を掠める、公爵夫妻の声に不吉な予感を感じる。しかし、聞いて置かねばならない気がする。

「……話が変わるけど、義両親と『私の返事が必要などう言った内容の話』をしたの?」

 唐突な話題変換にレイスは驚いた顔になった。だが、それも一瞬で、直ぐに笑顔に戻った。

「婚約の申し込み」

「誰に?」

「俺からフィーナに」

 降って来た爆弾に頭を抱える。

 うん。それは確かに、自分の返事が要るだろうよ。

 そして、自分に拒否権がない事にも気付く。

 両親は自分とレイスの仲が良い事を知っていた。つまり自分を養女に迎え入れたのは、打算が有ったから。

 流石公爵家。想像以上に強かで、抜け目がない。

 その後、笑みを深めた義母に無理矢理承諾させられた。

「大丈夫。後悔はさせないよ」

 と、微笑んだレイスの意味深長な台詞に戦慄した。

 ……ああ、全てを放り出して逃げ出したい。

 訪れるであろう厄介な騒動とトラブルの気配を感じて、その夜一人で嘆いた。



 五日後にレイスと共に出発し、十日近い時間をかけて目的地に着いた。

 到着したヴァレー皇国では、ある意味予想通り波乱の日々が待っていた。

 レイスの婚約者として彼の両親含む国内に紹介されると、令嬢達が挙って多種多様な嫌がらせをして来た。無論、全員撃破した。国外に出た事で魔法が制限なく使用可能となったので、手間は掛かったが撃破可能となったのだ。立ち位置確保の為に徹底的にやった。悔いはない。

 実は魔法で他者の思考や記憶が読めると言う禁じ手を持っている。

 故に、他者に知られたくもない恥ずかしい過去や後ろ暗い事の端々を言えば、令嬢達は勝手に去って行く。使用対象は令嬢に限らない。尋問や諜報にも使えるので、大変重宝している。

 代わりに人間不信が悪化し、『地獄耳』として嫌われる。過去の情報を流すなと脅迫して来る奴もいたが、脅迫した事実を以って牢屋行きにした。

 嫌がらせは入学した皇立魔法学院でも発生したが、レイスとレイス兄が色々と手伝ってくれたので対処に然したる労力は掛らなかった。

 しかし、在学中に『外野による王位継承権争い』が勃発し、その対処に三人で追われる事になり、てんやわんやの日々となった。

 なお、レイスの両親は一切手助けをしてくれなかった。この程度、自力でどうにかするのも勉強の一つだそうです。

 紆余曲折の末、レイス兄を王太子に据える事が出来た。

 出来たんだけど、今度は『レイス兄の立太子に助力した自分の婚約者がレイスで良いのか?』などと、阿呆な事を言いだす輩が出現。これにはレイスが盛大にキレた。

 更に、阿呆な輩のお蔭で落ち着いた『王位継承権争い』が再発。

 状況が二転三転したが、これも終息させた。

 けれども息つく暇はなく、今度はヴォルケーノ王国で発生した政変が原因で国際情勢が変わり、各国の上層部は対処に追われる。どさくさに紛れてヴォルケーノ王国の我が儘王女がレイスに求婚し、追い返しに骨を折り、疲れ果てて気付けば卒業目前。

 頭を抱えたが、卒業試験は突破したので留年は避けられた。

 ――そしてどうなったかと言うと、卒業後にレイスと正式に婚約&同居続行となり、王太子となったレイス兄の補佐を二人で行う日々となった。

 


 振り返ると『どうしてこうなったのか?』と首を捻るような事ばかり。対処に追われ、何度も己の事には疎かになった。直そうと思っても忘れてしまう自分に頭が痛い。

 でも、レイスから貰うフォローが嬉しかったのもまた事実。彼と共に駆けた日々は苦労ばかりだったが、不思議と嫌ではなかった。正式に婚約したのも、遠い昔の何かを思い出したからだろう。どれ程苦境であっても忙しくても、無下に扱われず一緒にいて落ち着くってのが良かったのかもしれない。

 騒がしい日々はまだまだ続くが、少なくとも『セラフィーナ・カッシング』としての物語はエンプティネス王国で終わっている。

 これからも続く未来を語り続ける気はない。これからの未来は『セラフィーナ・ゴドウィン』としての軌跡だから。

 故に、ここで筆を擱くものとする。


 

 


 Fin


 ここまでお読み頂きありがとうございます。

 連投の後半部分です。

 最後の部分はちょっと急ぎ過ぎたかと思いましたが、この話しはセラフィーナ・カッシングとしてのお話しなので、留学後の話しははダイジェスト風にしました。

 知らない間に外堀が埋まって行く菊理。恋愛ポンコツをジャンルに追加しようかと悩みました。過去の経験がしっかりと残っているので、菊理の転生先での家族への対応がこれからどんどん変わって行きます。今回投稿した話しの過去に当たる、現在投稿中の長編でそこを明らかにしたり、短編で考えが変わって行く様子も投稿する予定です。

 時間軸が前後しますが、必要と判断した場合は前後しても入れようと思っています。

 

 誤字脱字報告ありがとうございます。

 

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