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一人数鎧

 目が覚めた俺はいつの日かと同じように革鎧と布を脱ぎ捨てる。今日は革でできた兜の上から布を巻いたが、中堅の男と戦った時と同じ格好だ。血と汗と泥で汚れたうえ、ジョンの唾までかかっている。

 ジョンは確かに弱いが、勝てばいいという戦いではこれほど厄介なものはいない。剣でつばぜり合いをする傍ら相手の顔に唾を吐きかけてくるのだ。剣闘士としてどころか人間としてどうかと思うが観客にわからないようにしているのでさらにたちが悪い。



・・・・・



 「ああ、クソっ!」


 俺が壁を蹴るとパラパラと砂が落ちる。さらにたちの悪いことにあと二試合残っているのだ。次の相手は俺に勝った後にジョンと戦うことになる獣人なのだが、むろん戦わせるわけにはいかな。そのため、ジョンと獣人の試合ができなくなってしまうのであるが、そうなってしまっては一試合分闘技場の儲けが出ないことになってしまう。そこで俺がジョンと戦うことになるのだが、もちろん俺が負けることになっている。こういうことをするからさらに調子に乗るのだと思うが、やるしかないのだ。

 俺は部屋のすぐ近くにある部屋で闘技場の職員に鎧を着させられる。全身を覆う重装鎧だ。用意するのにも修理するのにも金がかかるのであまり使われていないが、唯一奴隷たちに使いまわしさせていると言い訳できる鎧だ。とはいっても俺のサイズで作られてるので着られる奴隷は限られるが・・・。

 今思えば、着ることのできる鎧もこれだけである。リヨンと戦った時や先ほどの戦いできた鎧、今着ている重装鎧といろいろあるが、俺にはいくつもの鎧が用意されている。

 その理由はただ一つ、八百長のためだ。俺が何役もの奴隷になりきることで、強く期待度の高い奴隷を実質的に増やすことができるうえ、今日のように八百長の際に死なせる役を複数確保するということができるのだ。しかし、それらも今日で最後だ。それぞれの鎧を思い出せばどれももう使うことができないのだ。



『薄く安っぽい毛皮の鎧』

 リヨンに負けたときの鎧。

 一番動きやすい格好で、斬撃はある程度防げるが突かれると貫通するかしなくても打撃としてダメージを食らってしまう。


『忍者が革鎧を着たような鎧』

 中堅と戦い、ジョンに殺されたときの鎧。

 真っ黒な洋服を着たうえに革でできた鎧を身に着け、顔を黒い布で隠した格好であり、その姿は忍者が革鎧を着たような姿だった。


『重装鎧』

 獣人の娘と戦いジョンに殺されることになる鎧。

 一般的な重装鎧で俺しか使えるものがいない上、調達や修理に金がかかるのであまり使用されない。



 これらに共通するのは着ているときに死んだということである。本来戦わされる奴隷たちにはこんなものは用意されない。そのため、こういった鎧はもともと持っていた奴隷個人の所有物、その奴隷独自のものといったことになる。そうなると、一度死んでしまうと同じ鎧で戦うことはできない。処分せずにほかの奴隷のためにそれを取っておくということもしないのだ。


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