第38話
今は言葉が通じる仲間を作って現在地と彼女の行方を調べなければ。
現状自分と敵対していない仲間を集めるにあたり、外すことが出来ない最強最有力候補。
『勇者ミサキ チヒロ』
まぁ『常春の花乱れ咲く森の迷宮』から瞬間移動でこのエリアに飛ばされているんですが、転送するときに「なるべく近くに転送しますから安心してくださいねぇ~」なんてレーラさんの言葉を信用した俺がバカだった。
ここどこだよ~?
人が通らない難所っぽい。
泥沼のあちこちに浮かぶ島を橋で繋いで都市と都市で連絡・交易をしているらしい。
今いるこの場所の情報を確認してみる。
<ボストクス湿地帯>
<154133世界中央大陸の中心近くにある大国ウィクシア国の東部に広がる大湿地帯、泥沼のそこかしこに浮かぶ島を浮橋でつないで生活している。
沼地に対応できる種族か空を飛べる種族にとっては良い環境といえるが適応できない種族には敬遠されている>
~DMステータス:Unknown
BGM:Field04 オマエも泥沼にハマる時が来る
エレメント分布 火:D 水:B 地:B 雷:B 風:B~
国も違う、聞いたこともない国のきいたこともない地方にいる。
ホントどこだよ、ここ?
どこかの集落にお邪魔するのも俺はモンスター扱いだから入れないしなぁ。
むむぅ、これはコミュニケーションができる相手が通るのを待って話をしてみるしかないか。
というわけで、狩りをして食欲を満たしながら機会を待つこと数日。
浮橋を全力で疾走しながら怪物から逃げている馬車がいた。
追いかけてるのは
グレード C
所属 None
名前 ??????
種族/Lv ボストクスゲーターLv19
職業/Lv 獣魔Lv04
階級 コモンリザード
HP/MaxHP 440/440
SP/MaxSP 23/23
スキル01 体術Lv04
スキル02 水中適応
スキル03 貪食Lv04
スキル04 頑丈
普通だったら喧嘩はしないこのあたりのボスクラスのワニくんだが、今は仕方がない。
一応馬車の御者に話しかけてみる。
「助けは要るか?」
「要ります!要ります!助けてぇ~!」
よし!話が通じるぞ。
ちょっと発音とか違うけど話は十分できる。
御者は鱗人の女性のようだ。
吊り上がり気味の目に手は二の腕まで鱗で覆われている。
これは助けて俺の目標にぜひ協力してもらおう。
「何とかしてやっても良いが、こっちも頼みを聞いてもらうぞ?」
「何でもします、何でもします!だから助けてー」
うん?なんでもすると、今なんでもするといったな。
「その言葉偽りないな、じゃあ助けてやるよ」
ということで追いかけまわしてくるワニさんにはご退場いただこう。
~Boss Battle~
~勝利条件:敵の殲滅
敗北条件:パーティー全員の戦闘不能
BGM:Boss Battle02 ワニワニアタック~
この近辺のボスモンスターっぽいけど今の俺にとっては問題にならない。
元々の体力ではこっちが負けるがスキル勝負なら敵にもならない。
そして自己強化として俺の仲間たちの力があればランクでも圧倒することが出来る。
<カンパニーマンLv01を発動します>
<それに伴い一時的にグレードが上昇します>
<Lv40にリミットレベルが引き上げられます>
<能力値が上昇します>
そう、スキルの加減が出来るようになった。
泥の中に引きずりこまれるのに注意して、橋の上で棒と体術を使って闘う。
俺の足先は泥上を走り回ることも出来るが、立ち止まった瞬間ズブリと沈んでしまうだろう。
通りかかった大きなナマズを食べることでHPを回復されるというミスをしたが、最後は結局体術必殺技で首の骨を折ってワニのモンスターを退治する。
「はぁ~兄さんえらい強いんでないの、助かったわ、ありがとさん。
うちの名前はシュティーナ。
よろしゅう頼みます」
「鱗語は辺境の爺様に教えてもらったのと我流が多いから、そんな正確じゃ無いかもしれんが勘弁なぁ」
少し癖があって聞きにくいところもあるがまぁどこかの方言くらい違いで理解が可能だ。
グレード UC
所属 None
名前 シュティーナ
種族/Lv 鱗人Lv14
職業/Lv 商人Lv05
階級 会頭
HP/MaxHP 182/182
SP/MaxSP 81/81
スキル01 算術Lv05
スキル02 鱗語Lv02
スキル03 御車術Lv04
スキル04 鞭術Lv03
スキル05 目利きLv03
装備品① 算盤・算木
装備品② 皮のエプロン
装備品③ 連射式ボウガン
おぉ~非戦闘職にしてはなかなかの能力、これである程度利害計算出来れば完璧。
「見ての通り鱗人や、シュティーナ商会の会長でもあるんやで、従業員はうち一人、店舗兼住居はこの馬車やがなぁ。
都市を周って商いしてるんや、最近では襲われにくいルート選んでいたつもりやったんけど、大物引っ掛けてえらい目にあったわ」
<鱗人
アトランティシアンとも呼ばれる古代に海中に没した大陸の生き残りを称する種族。
誇り高く水中の活動がかなり適性が高い。
海水が嫌いな部族が居る為、奇麗な淡水がある内陸部にもそれなりに生息する。
身体の大部分を鱗で覆われ鰓、肺、切り替え可能>
籠手のように両手が鱗に覆われていて脚も大きな爪付きだ。
大きな尻尾が生えていれば人面リザードマンになるかもしれない。
「ではこちらの頼みも聞いてもらうぞ」
「分ったわ。
なんでも、いうてもできる範囲でやで?」
「分ってる、そうそうムチャを言うつもりもない」
「出来ればもうちょっとウチの頼みも聞いて欲しいけどなぁ?」
「先に俺の頼みが聞けるかどうかだが…検討はしてやる、俺にも出来る事と出来ないことがある」
話した結果分ったことだが、ここはウィクシア王国東部のボストクス湿地帯、東に向かい国境を越えたところでアルスークの山岳地帯に入るらしい。
徒歩で大体3日でアルスークの古迷宮にたどり着くらしい。
話しながら彼女の持っている地図を確認する。
中々精巧で色々書きこまれている。
ちゃんとした見方が出来ればかなり便利そうだ。
「約束通り、この地図を貰う」
「地図、地図かぁ、いやぁそれを何でも言うたけど、これは勘弁してというかちょっと待ってもらいたいわ!
商売あがったりになってしまうよって写しではダメなん?」
本気で困っている、地図というのは文明の発達次第で重要度が段違いになるのは常識か。
「なるほど、それなら写しでいい。
その地図を写すのにどうすればいい?」
「大きな都市に行かんと地図の元があらへんで。
それでこっちの望みなんやけど、あのでっかいワニの買い取りをさせてもらえんやろか?
要するに護衛も兼ねて一緒に大きな都市に行きまへんかいうことなんやけどどないやろ?」
「ワニも買い取りしてもらって構わないが、俺もそいつの革で腰に着ける鞄を作りたいから、それの残りならばいいだろう」
「ウチの狙いは胆とか肉やからかぶらんでよかったわ」
「素材が選べるなら濡れても大丈夫な素材にしてくれ。
ところで、俺は都市には入れないんじゃないか?
モンスター扱いだろ?一応」
「せやね、兄さんは都市の近くで待ってて貰うような感じやな、なんか欲しいものがあったらお使いしたるで」
「うん、あと勇者がどこにいるか探しているんだが何か知らないか?」
「いやぁ最近の噂は、なんぞ探しているとかいう話を聞いたくらいやなぁ」
手早く先ほど倒したボストクスゲーターを処理し馬車に積み込むと、次の都市めざして走り出した。
「ほな護衛もよろしくな~」
寄り道が始まるがこの寄り道は必要なものだと割り切ろう。
俺の乗る場所がないほど荷物が満載になった馬車と高速移動形態で並走しながら一路近くの都市に向かう。
アレ、都市の名前聞いてないな。
「目的地はボスロック言う都市や。
沼の真ん中に都市が浮かんでる都市やき一遍見ておき~
ヒューマやそれに近しい人種はあまり訪れないしなぁ」
2日後ボスロックに到着する。
寝床は馬車の下で休ませてもらった。
なんだか残念そうな顔をされたが、女性と一緒の寝床で休むわけにもいくまい。
シュティーナが都市に入る前に、俺は買ってきて欲しいものを告げて馬車からするりと抜け出す。
「何もなければ3日くらいで出てくるよって待っとってなぁ」
「あぁ誠実な取引ができると信じてるよ」
「それ商人にはなかなかな重さのある言葉やなぁ…
まかしとき、最大限頑張らしてもらうわぁ」
シュティーナは手を振って都市に入っていった。
こちらも手を上げて一旦シュティーナとは別れることにした。




