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第34話

~Regular Mission~

~ゆっくりと体力を回復しよう

 成功条件:HPの回復

 失敗条件:なし

 

 DMステータス:Unknown

 BGM:regular days'06 日差しを浴びて 

 エレメント分布 火:D 水:B 地:C 雷:C 風:B~


<常春の花乱れ咲く森の迷宮>

<ウィクシア国の中央、諸国が不可侵協定を結ぶ地上の楽園。

迷わしの森として名高く、迷い込んだもので稀に帰還してくるものはうつろな瞳で再び森に戻って行ってしまう> 




ぴ……ちょん……




変な夢を見た。


ゲームみたいな世界で人間だった俺が、リザードマンになって生きる夢だった。

どっちの世界でも社畜(カンパニーマン)だったのが笑えるし泣ける夢だった。




ぴ……ちょ……ん




水の中に沈んでいた意識が、プカリと浮かび上がるように淡く覚醒したときそう思った。

何か温かくて良い匂いのするものが胸元に居るのを感じる。


「傷だらけだわ、バッチィわ、やっすいわ。

 どうなんかなぁと思うたが、これはなかなかでないかのぅ?お主」


「左様ですか。姫様の目にそのように見えるとあればこの者には見た目以上の何かがあるのですね…私にはちっとも分かりかねますが」


寝ています、起こさないでください。


それはそうとこの懐にある温かいものは何でしょうかねぇ…


ぼんやりとした意識で抱き込むようにすると、すべすべと肌触りの良い感触が触れる。

そういえば俺は変温なんだろうか恒温なんだろうか、考えたこともなかった。

この身体でない時は寒いのは苦手だったけど。


「ほぅほぅ…なかなか大胆に行動するの。

 なんぞ意識で抑圧はしているが本来はこうしたいという欲望があるのかのう…」


「おバカなことをやってないでさっさと覚醒させるべきでは?姫様」


「ム…これはこれで捨てがたい感触があるのだがの…

 まぁよいわい」


じんわりとした温かさが強くなり余計に眠くなってくる。


「……」


寝ています、起こさないでください。


「あり?聞いておるかの?妾の声が聞こえるかのぅ?ひょっとして死んだかぇ?」


「まだ十分に覚醒していないと思われます。

 寝ている?

 俗にいう半覚醒(タヌキネイリ)といった感じではないでしょうか、姫様」


時代がかった女の人の声とそれにかしずくような女性の声が聞こえる。

そして小さい子がぺちぺちしてくるような、柔らかい感触が顔面を何度も襲い、うっとおしくて寝ていられない。

目を開けると俺は薄桃色の鱗の大型?のトカゲを抱きしめていた。

つぶらな瞳がにこりと笑ってこちらを眺める。


「誰…?」


明るく柔らかい光も寝起きには厳しいものがある。


むしろなぜ俺が彼女?を抱きしめて寝ているのかが判らない。


眼を眇め、しばたかせていると、腕の中の大きなピンクのトカゲが喋り始めた。

すっごい色っぽい声してるんですがどなたですかねこれ。

というか胸の中で抱きしめちゃってますが良いんでしょうか。

可愛いから俺はかまわないんだけど。


「聞いて驚け。

 お主は妾の迷宮の一員となったのじゃ」


「なん…だと…」


「妾はレンゼティア、お主の(マスター)よ。

 今は傷を治してやる故、ゆっくり養生するがよいぞ」


「はい、助けてくれてありがとうございます」


俺が礼を言うと彼女はニパッと笑顔を見せた。


覚醒には程遠いぼんやりとした頭で胸の中に抱き寄せている物体を見てみる。



グレード    DM(ダンジョンマスター)

所属

名前       レンゼティア

種族/Lv    ??????

職業/Lv    創造神??????

階級       ダンジョンマスター

HP/MaxHP   ??????

SP/MaxSP   ??????

スキル01    ソルサークル魔術

スキル02    ??????

スキル03    ??????

スキル04    ??????

スキル05    ??????

スキル06    ??????

スキル07    ??????

スキル08    ??????

スキル09    ??????

スキル10    ??????

スキル11    ??????

スキル12    ??????


おぅ…

グレードと階級にダンジョンマスターって書いてあるけど詳細がさっぱりわからない。

ノイズのようなもので阻まれている感じだ。

ステどころかほぼ意味不明で何が書いてあるのかさっぱりわからない…

だが、その姿はとてもステータスのほとんどをマスクできる相手とは思えなかった。


ピンク色のトカゲ?小さいワニ?

まぁそんな感じのマスターのもとで、まずは療養の日々が始まった。


しかし、ここはどこだろう…見まわしてみると奇麗な水の流れる森だった。

こういうところもダンジョン扱いになるのか…


「そして私はレーラと申します。お見知りおきを」


メイド服を着た若い女性のようだが、うつむき加減で長い前髪、足はなく、スカートから足の代わりに蛇のような尻尾が出ている。



グレード    LR(レジェンドレア)

所属       レンゼティア

名前       レーラ

種族/Lv    ラミア

職業/Lv    聖戦士Lv17

階級       Dガーディアン

HP/MaxHP   7762/7762

SP/MaxSP   6084/6084

スキル01    ベルゼール流双剣術Lv09+3

スキル02    ラハーラ流格闘術Lv08+2

スキル03    神聖魔法Lv09+02

スキル04    統率Lv08(軍団級)

スキル05    転移Lv03

スキル06    魔術神レンゼティアの加護

スキル07    武神ベルゼールの祝福

スキル08    闘神ラハーラの加護


装備品①    ベルゼールの双剣

装備品②    メイドの制服


この上半身人間、下半身蛇の側近も能力が高い。

これだけ能力が高くても能力を見通すことが出来るのに、ピンクのトカゲは能力が一部しか見通せない。

見通せないほど高い能力なのか隠蔽の能力なのか…


俺がレーラさんを見ていると目が合い彼女はにっこりと微笑んだ。

若干爬虫類っぽい感じはするものの人間だとしたらかなりの美形だが、スッと視線を外すと鼻近くまで髪が下りてきて風貌の印象を薄くしていた。




トレードで買われていった先で俺は、日の光を浴びながらゆっくりと回復する。

身体は回復魔法で治ったとしても意思が立ち上がらない。

まどろむように過ごす日々は、回復魔法で治りきらない傷も癒してくれるかのようだ。

オレはズルズルと本物のトカゲのように生活していた。


話に聞くと、ここはダンジョンの最奥部で美しい泉の周りを清涼な感じのする森が覆っていた。

そこの水鏡に映した俺の顔は、やっぱりトカゲだったが、俺の顔って感じがした。


しかも頭頂部から多分首辺りにかけて白く色の変わった部分があり、これがシロのカンパニーマンとしてのシンボルなんだと思う。

右手には赤い炎、左手には青い波のシンボルがあるし、間違いないと思う。




「あの…あなたはダンジョンマスターなんですよね?

 なぜダンジョンにいるんでしょう?」


少なくともキリアは姿など見たことはない。


「ん?妾はここのダンジョンではこの化身(アバタール)を使っておる。

 これはダンジョンコアと一体化しているからの、ダンジョンボス型コアといったところじゃの」


「それにな、遊びは楽しんでなんぼじゃ、ならば最高に楽しめるように工夫するのが大事じゃ妾は思うておる」


「はぁ、まぁそうですねぇ」


遊びの駒の俺が言うと滑稽さが増すがな。


「お主が前に居たところでどんな扱いをされたか詳しいことは知らぬ。

 あのような状態でほったらかしにされていた理由とかの」


やさしい、透き通った瞳で俺の顔を見つめながら俺の目を見つめてくる。

そこには真摯な誠実さと、なぜか愛情が込められていた。


「…」


「お主のやりたいことが出来るまで静かに過ごす時間があっていいじゃろ。

 協力してやれレーラ。

 こやつは妾の側近でな、大概のことに目配りしておるから困ったことがあれば何でも言うがよいぞ。

 出来ぬことはあまりないと思うでな」


レンゼティアは俺と出会うといろんな話をしてくれる。

妙に事情通な気がするがどういうことだろう。

神(笑)(キリア)とは大違いだが、様々な秘奥とでもいうべき能力に関してもある程度知っているらしい。




ある日レンゼティアは俺にこんな事をたずねてきた。


「これは答えずともよいがな、お主Ex(エクストラ)スキル持ちではないのかの?」


「お主を手に入れた理由でもあるがの、DMには見えないExスキルという物があっての、それを持ってるユニットの使い方次第で天国も地獄も見れるぞ、ユニットもマスターもじゃがのぅ」


「自覚できていることを含めなるべく秘匿した方が良いじゃろうの」


「持っているかどうかはお主の顔で分かった、外で他人に話してはならぬぞ?」


「しかしお主は何者かの?

 普通のリザードマンにしてはこう…知力が高いというかなんというか」


レンゼティアは自分の考えを確かめるようにつぶやいている。


「俺の意識は元々はリザードマンではないので…」


「なんと、それはどういうことかの?」


俺はこの世界に来た時からの事情を説明した。

多少かいつまんではいるし、能力的なことは無難に濁して話したが。


「はぁ…なるほどのぅそれでか…

 異世界の知識と記憶がある…

 多少欠落はあるが、意識は異世界の人間そのままということか…」


「ふむぅ…それで元の世界に帰る方法を探したいと…

 なるほどのぅ…」


「お主の元の世界の神がこのゲームに参加していれば帰ることが出来るやもしれんのう…」


「あるいは自力で世界を渡る能力を身につけるかじゃな」


「そんなことが可能なんですか?」


俺がそう尋ねると、


「スキルは鍛えて開眼するものよ、望んで鍛錬する限りそのスキルが開眼する可能性は必ずあるわ」


確かにスキルは自分の行動に応じてそれにふさわしいものが取得された。


とはいえ別の世界に行く能力がどんな行動で身につくかさっぱりわからないが。


片手武器を取得した時とは訳が違うだろう。


これからどうしたらいいんだろう。

なにも残ってない俺は何を目的にしたらいいのだろう。


考える…


もと居た世界の生活。


そこに残してきたもの。


前のダンジョンであったこと。


知り合った仲間、闘った相手。


そしてすべてを仕組んだ奴。


俺を使い潰した奴…


意思が固まる。

このままではいられない。

俺に何ができるかわからないけれども。


「今…立ち上がる…ちょっと待ってくれ…」


「無理はせんでよい。

 まぁ仕方がないのぅ、ゆっくり養生するのがよかろうぞ」


それでも俺は膝を震わせながらようやっと立ち上がった。


「おぉよぅ立ち上がったのぅ…

 妾の予想を覆すとは(まこと)大したものじゃ…」


俺は驚きに目を見開くレンゼティアの瞳をまっすぐに見つめる。

何となくレンゼティアのピンクの体表がアカに寄ったような感じがするけど…?


「フム…よし決めたぞ!

 お主を妾のものにするぞ!」


「では証に妾の鱗を一枚授けようかのぅ。

 お主と妾の首元の鱗を一枚取り換えるぞ?」


「はぁ…構いませんが」


ペリリとお互いの首元から鱗を一枚剥がし、鱗を付け替える。

黒い首元にレンゼティアの薄桃色の鱗がかざしたようにしただけで固定された。

アオ、アカ、シロに今度はピンク色か…

どんどん色彩豊かになっていくな。

こっちに来た時は真っ黒だったのに。


「それに名前もなくば不便であろ?どうせじゃから名づけてしまおうかのぅ。

 今後はユートリアと名乗るがよいぞ?」


この世界では初めて俺に名前が付いた。


<リザードマン・オブシディアンがネームド「ユートリア」になりました>


「幾久しく、ユートリア。

 略称はユートじゃな」


側近のラミアのレーラさんが目をむいている。


「添い寝したであろ?」


「それはそうですが…」


「盛り上がらん奴じゃの、妾の初めての一枚ぞ?

 涙を流して喜べとは言わぬが、なんぞ言うてもよかろうに。」



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