第16話
夜が明ける。
今日はゴブリンの集落まで移動して、そのまま戦闘になるだろう。
「お前、そう、そこの黒いの、お前だ」
またクロケン軍曹に呼ばれた。
「昨夜はナンパに喧嘩であるか。
司令官に睨まれて分隊に迷惑をかけたらどうするつもりであるか!
以後気を付けるようにするである」
「了解であります、分隊長殿」
でもあれは不可抗力だと思うがなぁ。
色々な意味で相手が悪いと思う。
そういえば昨夜銀姫に会って分ったことがあったな。
グレード R
所属 キリア
名前 ??????
種属/Lv リザードマン・オブシディアンLv07
職業/Lv 剣士Lv03
階級 スカッドリーダー
HP/MaxHP 198/198
SP/MaxSP 69/69
スキル01 剣術Lv03
スキル02 ??????
スキル03 貪食Lv02
スキル04 体術Lv02
スキル05 ??????
スキル06 身体強化
装備品① 鉄の剣
装備品② 胴鎧
クロケン軍曹、あなたもやっぱりおいしい思いをしていたんでありますね(食べ物の恨みは恐ろしいですよ)?
「…」
「…」
「…!」
Ptの3人にはやっぱりジト目で見られるし。
特にシロは尻尾でぺしぺしと俺をたたいてくる。
「…」
「…」
そしてさらにアオとアカのジト目が厳しいものになる。
どういうことだってば。
昼過ぎには目的地には着くであろう。
ベルトには武器を装着しておける機構を編みこんである。
今日も手ぶらにならなければならないからだ。
なぜならば…
ぶち、スリスリスリスリ…
ぶち、スリスリスリスリ…
ぶち、スリスリスリスリ…
スリスリスリスリ…
過日のように周りの草を歩きながらむしり、手早くより合わせて縄をなうからだ。
縄をなったら今度は石の重さを確かめて大体同じ重さの石同士を縄で結ぶ。
それをいくつか束ねて完成するのがこいつだ。
<ボーラ
遠心力を利用して、縄を獲物に絡みつかせるようにして使う狩猟道具>
片手で使える遠距離武器で、今作れる物がこれしか思い浮かばなかった。
田舎の子供時代(何でもおもちゃにする)はこれでカラスとか捕まえて遊んだものだ。
その当時でもバレたらかなり怒られた怒られた。
今やったら犯罪行為なので絶対真似しないように。
(分隊で一人おいしいものを食べていた)クロケン軍曹がこっちを睨んでくる。
「そろそろ目的地も近いし真面目にやりまーす」
「信用してよいのであるな?
絶対であるな?」
無論、俺はやるときはやる男だ。
出来ることはやれたかな、さぁ本番開始だ。
俺たちはついにゴブリンの集落に到着した。
~Regular Invasion War~
~勝利条件:敵拠点の抵抗力喪失
敗北条件:勝利条件を満たさないで軍団が撤退する
戦況:布陣中
DMキリア軍
部隊/指揮官:混成Liz歩兵中隊/リザードマン・ゴルドー ユニット数 122
部隊/指揮官:混成Liz歩兵中隊/リザードマン・ジルバ ユニット数 125
部隊/指揮官:Liz輜重小隊/リザードマン・ジェダイト ユニット数 50
Vs
無所属中規模ゴブリン集落
部隊/指揮官:中規模ゴブリン集落 ??????/不明 ユニット数 50~100?
DMステータス:AUTO
BGM:War Trip05 ごらん、あれが村の灯だよW
エレメント分布 火:C 水:C 地:B 雷:C 風:B~
俺が昨夜、金ぴかに出会って戦闘指揮官の全員を認識した所為が濃厚だが、確認できる情報が増えた。
敵側はまだ見ることが出来ない情報があるが俺の視認かステータス確認が必要なのかもしれない。
『条件がクリアされることで解放される情報がある』
ということなんだろう。
<中規模ゴブリン集落(無所属)>
<154133世界中央大陸の中心近くにある小国、ノステディア王国の西部に広がるサルタージャ平原にある小さな林を利用した、個体数50~100の中規模ゴブリン集落>
<ゴブリン
緑色をした小型の鬼族。主に狩猟・採取によって生活している。
大型の、他種と見紛うばかりの個体が出現することがある>
見つけたゴブリンの集落は、中規模ということだ。
個体数50体から100体弱って多いのか?
元の世界で大都会と過疎の田舎の極端しか知らない身としては、人型の集団がどの規模なら大きくてどの規模なら小さいのか、今一つ判断つきかねるところがあった。
しかも異世界で異種族である。
つまり、
「さっぱりわからん」
草むらに身を隠し20本ほどの木に隠された集落は、オス、メス、一際小さい個体、多分子供だな、体が緑色してなかったら普通の村に見える。
「うーわ、かなり抵抗あるわ。これは」
女子供も対象ねぇ…
考えてることや気持ちを別にして、システムから神(笑)のオーダーが入れば配下のユニットに拒否権はない。
ただ、オートで命令に従わせさせられるが、そのこと以外では割と自由にできるような気もする。
武器をいじったりするのも可能だったりするあたり、割と自由行動の範囲は広いと良いなと思う。
オーダーの範囲でどこまで自由にふるまうことが出来るのか。
そのあたりを探るのが今後の行動指針だろう。
ち、神(笑)の奴、開戦だけ声入りで録画でもしてそうだな。
後は録画を編集して配信ってか。
リアルタイム受信ではなくて気分的には安心したが、神(笑)の思惑がリアルに入ってくるメリットもあるが…
「戦闘開始である!」
クロケン軍曹の号令で俺たちは突っ込む。
心が交戦エリアに向かえといっている。
電波か、神(笑)の!
~Regular Invasion War~
~勝利条件:敵拠点の抵抗力喪失
敗北条件:勝利条件を満たさないで軍団が撤退する
戦況:交戦中
DMステータス:AUTO
BGM:War Trip06 踊り疲れて眠らぬようにW~
「分隊はゴブリンを殺し尽くすのである!
この集落を破壊し尽くすのである!
各Ptは連携し必ず数で上回る戦いをするのである!
以上!
掛かるのであーーる!」
「「「「「了解!!」」」」
ぬぁー多数戦闘のログがきてすごい勢いで流れていく。
「こんなの読めるか!」
読み取りたい情報は今のところ
<全体情報On
分隊情報On
自Pt情報On
自己情報On>
といった直属の情報だけなので、そこだけ入ってくるように調整した。
何となくだが切り替え出来たっぽい。
何だろう、この操作感と操作され感は。
ステータス確認以外で初めてゲーム世界に入った俺が操作できる部分が出来た。
ゲームの世界で俺を操作する神(笑)。
システムとして流れている情報。
俺に見える部分見えない部分。
今は戦争中、もっとまじめにやらないとな。
「そこの黒いの!次の敵はお前のPtに任せるのである!」
「了解であります!」
ゴブリンが飼ってる変な鳥がノコノコ現れた。
鶏みたいなのだが若干違うのか?
「ウマソウ」
アカおちつけ。
俺も食いたいわ。
いや待てよ、チャンスかもしれない。
「(自分だけ旨いモノ食べるなんてゆるしませんよ)分隊長殿、敵を発見しましたぁ!
これより攻撃を開始しまぁす」
「あ、ちょ、待つのである!」
「いくぞー!これよりお前が晩ごはん!」
時間的にはおやつか。
グレード トラッシュ
所属 ??????
名前 ??????
種族/Lv ケコケッケLv07(Target?)
職業/Lv 家禽Lv04
階級 None
HP/MaxHP 21/21
SP/MaxSP 3/3
スキル01 嘴Lv04
スキル02 脂肪Lv04
スキル03 貪食Lv04
<ケコケッケ
餌場からあまり動くことがないため、捕まえてエサを与えておけば容易に飼うことが出来る。
適正に飼育すると太って飛べなくなるが、エサが少なくなると痩せて飛べるようになり、次の餌場を求めて旅立つ習性がある。
肉はかなり脂質が高い>
突っつきは多少痛いがなんてことはない。
捕まえて首をひねればクリティカル判定が出て、あっさり倒せてしまう。
そのまま首をねじ切ってしまおう。
首から腹にかけて縦一文字に切れ目を入れてしまえば、シャツを脱がせるようにして皮をむくことが出来る。
皮と羽毛は紐で縛ってベルトに引っ掛けてしまおう。
モモはアオ、アカに1本ずつ渡して、シロにはムネ、テバは2本とも俺が頂く。
内臓は生ではやめておいた方が良いだろう。廃棄する。
元の世界では苦い麦のジュースと焼いた鳥レバーとか大好物ったけどな。
俺的に生はダメだ、寄生虫が怖い。
で、思った。
「うっまぃ!」
「コノアジハ、イママデニナク、スバラシイ」
「ツギ、ツギ、ハヤク」
「オイシイ、モットタベタイ」
「分隊長殿ォ、あちらに敵の集団が!
吶喊します!
そーれいくぞーお前らー!(棒)」
「あ…あ…待つのであるお前ら!
なぁ、なんということであるか…」
分隊の全員が歓声を上げ、鳥の群れに我先に突っ込んでいくのを見て、呆然とするクロケン軍曹を横に鳥肉パーティーでお祭り騒ぎだ!
ヒャッハー!
分けて食うなんてことはしなくていい、1人1羽でもおつりがくるぞ!
そしてこの行動はシステムからの制止がかからない。
<勝利条件:敵拠点の抵抗力喪失>
の許容内に収まる行動であるということである。
まぁ減点対象になる可能性はあるが。
ただ、拠点の財物を奪う行動として、カウントされているから大丈夫な気がする。
クロケン軍曹には気の毒だが、これも破壊活動ってことでひとつどうか、と言えば何とかなると思うぞ割と本気で。
そしてもう一つわかったこと。
『ダンジョン領域の外では死体が普通に残る』
ダンジョン側で設定できるのかもしれないが、少なくとも『キリアの第4ダンジョン=アルスークの古迷宮』で適用されているルールと外のルールは違うらしい。
もちろんファンタジーゲームの世界であるここでは、日光で灰になってしまう種族特性を持っている連中だって、いるのかもしれないが。
『倒した敵がドロップアイテムになるのがダンジョン。
倒した敵が死体になるのが外』




